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100字小説バトル!!




第1回です。





 □ 作品


- ENTRY_1... -

「漁師のことわざ」 有馬次郎

 海に出ると漁師はわがままになる。
 他人事などおかまいなしだ。
 若い衆の喧嘩が今日もはじまる。
 長老が間に入って2人をなだめる。
 「人のブリ見て、ブリ釣りなおせ。ばか者!」
 若い衆はブリを見て妙に納得してしまう。 



- ENTRY_2... -

「明太子の欲求不満」 万次郎

  男が事故ったあの晩、女は泣き続けた。
  それからご飯も喉を通らないまま1週間
  が過ぎた夜、好物の辛子明太を妬け食い
  しながら鏡に向かい、独りごちた。 
  「そう、何か文句ある。だって私の大好きな
   博多の彼氏免停よ!」



- ENTRY_3... -

「釣れるかね?」  満次郎

  名人なのだと思い訊いてみた。 
  男のクーラーには真鯛が10匹ばかり入っていた。
  無言のまま真鯛のついたハリを海へ放り続ける。
  私は唐突に訊き返した。 
  「鯛じゃないのか」  
  男は泣いていた。
  「海老が食いたいんだよぉ」 



- ENTRY_4... -

「人体模型の記憶」 北斗櫂

  空気が張り詰める。  
  一瞬の眼光。
  瑕のある男達が息をのむ。
  「猪」、「鹿」、もう1枚。
  「蝶」ふふふ。  
  「ほらね、胃の下、腸だ」 
  組長の孫は得意げに胸をはり目を閉じる。
  「そらそうだ」男衆は涙を流して笑いを堪える。 



- ENTRY_5... -

「悩殺専務」  団鬼八

  私は廊下で専務に呼び止められた。
  「営業部でパンツくれるって評判の娘は
   貴女ですか」
  「はい、パン作れます」
  「本当に」
  「はい」
  「それで、お値段は」
  「差し上げますよ」
  「ロハか」
  彼は、カニの様に泡を吹いて倒れた。



- ENTRY_6... -

「はてない夫婦」 赤松次郎

  「あああ、あなた」
  「むむむ、おまえ」
  「オイ!どうでもいいけど、何だ、それ」
  「いつもと同じですよ」
  「えい!やり直しだ」  
  昔はこうではなかったと女は思った。
  「乗るなら反るな、反るなら乗るな」
  男は、苛立つた。



- ENTRY_7... -

「スイマー」 モトヤm

仕事に遅れそうでイライラしながら山手線に揺られていると、
向うからスイマーが泳いでくる。
負けず嫌いの俺は奴を抜いてやろうと隣を泳ぎだす。
必死で頑張ったが、結局スイマに負けた俺は山手線を何周も何周も・・・



- ENTRY_8... -

「エレベーター」 岡部健吉

『プーッ』
 とっさに私は二、三歩後ずさりした。私に押されて数人が壁の方
に静かに移動し、一人の若い女性が浮かび上がった。
「えっ?ちっ違います。私じゃありません」
 あの時の潤んだ瞳を、今でも忘れられない。



- ENTRY_9... -

「ポケット」 岡部健吉

「何これ?」
「ああ、初詣の時のお御籤」
「凶?持って来ちゃだめよ」

「おい。何してるん」
「Qに載せるのよ」
「バカ」
「これ見た人に不幸を分けるだけよ」
「そんな」
「見て。願い事:僅かに叶う」
「ん〜微妙やなぁ」



- ENTRY_10... -

「金持ちの理由」 朝市九楽

パーティーでは世界の大富豪が集結していた。
「私の土地から新たな油田が…」
「我社のIT事業は世界を席巻し…」
「マネーゲームは情報が命で…」
 チャリ〜ン
それでも、給仕が落とした百円玉に誰もが振り向いていた。



- ENTRY_11... -

「酩酊」 岡部健吉

 …ピンポ〜ン…

「いらっしゃ〜い。今日は早いのね」
「おっどこや?ええ店やんけ」
「今日は泊まっていけるんでしょ」
「俺は女房も子供もおるけど…ええのんか?」
毎月、小遣いの半分はこの手で女房に獲られている。



- ENTRY_12... -

「割り勘」 岡部健吉

「いえ、ここは私が…」
「じゃ割り勘だ。ボトル2本で君の分は1/2と1/3で…」
「5/6です」
「速いね」
「2人で1万2千円か5/6だと…」
「1万円です」
「君は1万円ね、しかし計算速いねぇ。」
「恐縮です」



- ENTRY_13... -

「新人教師」 岡部健吉

 頑張るぞ!ってなんだこの騒がしさは。こらえて黒板に思いを書いた。
「へっ新米教師か」
「頑張りや」なっなんだこの口の汚さは!
「この黒板の字が読めないか」
「ばかにしろ……でしょ?」
「え?しずかにしろ…と」



- ENTRY_14... -

「山崎」 岡部健吉

 山崎はどうもあてにならない。
「今度のプロジェクトは大丈夫なんだろうね」
「課長!まかせて下さい。もう、九分九厘間違いありませんよ」
それを聞いて、みんな納得したようだ……。

…残りの九割一厘はダメなのね…



- ENTRY_15... -

「ゲ・ン・ソ・ウ」 mina

唇へのキスは彼からだ
った。私はお返しに首
筋に口づけた。彼の体
の上を滑り降りながら
、指や唇や舌を使い、
私は探し物をしていた
。とうとう爪先まで辿
り着いた後で、暗闇と
静寂を押しのけ、私は
そっと彼に重なった。



- ENTRY_16... -

「華」 那智

 萎れた花を挿した花瓶に毎日水を注いだ。
もう吸い上げる力はないだろうけど、まだ色を失わず鮮やかな薄い花弁が「終わりじゃない」そう叫んでいる様で捨てる事が出来なかった。
名も知らない、強く美しい水色の花。



- ENTRY_17... -

「開眼」 岡部健吉

 …眼に映るものは、ただ空と海のみ…
「ついに悟りを開いたゾ!」
洞窟から出ると村はお祭りらしい。おむすびが振舞われている。
「お坊さんもくうかい?」
「みんなもくうかい?」

 悟りは開かれていたのかぁ…美味い



- ENTRY_18... -

「手紙」 カピバラ

元気にしてる?

キミが笑って暮らせるように
いつも頑張っています。

できる限りの努力はしているので
もしキミが
夢見てた通りの人生を送れていなくても
どうか私を恨まないで下さい。

それじゃ、またいつか。



十年後の私へ



- ENTRY_19... -

「返事」 カピバラ

十年前の自分から手紙が来た。
キミの努力は私が一番よく知ってるから
心配するな、と返事を書いた。

さて、どうすれば届くのだろう。
返事が無いときっと心配するぞ。
なにしろ彼女のことは
私が一番よく知っているのだ。



- ENTRY_20... -

「新しい時代」 カピバラ

ヒト用人工有機筺体金城武モデルに乗換えたが
相変らず女にもてない。
同じ筺体のアイツはモテモテなのに。

有機筺体の出回り始めは「外見偏重時代の到来」と言われたが
結局来たのは、中身で差がつく時代だったらしい。



- ENTRY_21... -

「身代わり」 長島剛

「おまえが犯人だ」
「何故そう思う」
「左利きだ」
「それだけか」
「それだけで十分だ」
「刑事さんも左利きだろう。あんたも犯罪者候補だ、違うか?」 「候補じゃない。俺が殺したんだよ。だから身代わりに死ね」
銃声。



- ENTRY_22... -

「ゆっくり」 早透 光

 空が青かった。
風がひんやりと通り抜ける。
聞こえるのはエンジンが強烈に回る音だけ。
焦りも何も感じない。
「おい!そこのバイク止まりなさい!」
(うるさいな〜静かにしてくれ)
僕は300キロの空間へと向かった。



- ENTRY_23... -

「じゃいけん」 さとう啓介

じゃいけんじゃいけんよ
じゃけんがじゃいけんじゃなきゃきめれん
そげんじゃけんじゃけんにされると
そげんいわれてんでけんもんはでけんのじゃけんしょうがなかとじゃけんにせんでならよかけんじゃいけんばしょっか。



- ENTRY_24... -

「国籍・日本」 長島剛

山本鈴木佐藤篠原吉田長島葛西田中本田豊田関石塚太田阿部沢草津片桐美和安藤内藤佐々木井上加瀬大河原菊池小林根津荻原山本桑田大久保土方斉藤草薙堂島末吉鹿島水野東西中川千葉西澤山口石川十六夜紫藤野中榊赤城南



- ENTRY_25... -

「プロトタイプ T」 やす泰

博士は、自らの理論を信じていた。

苦節…十年、ついにその機械が完成した。

「で、できたぞ。これで時空間を移動できるはずじゃ。」

満面の笑みが浮んだ。

博士は、スイッチを押した。

ウィ〜ン。

機械が消えてしまった。



- ENTRY_26... -

「プロトタイプ U」 やす泰

博士は、懲りなかった。

あれからさらに…十年、ついに機械が完成した。

「で、できたぞ。今度こそ、時空間を移動できるはずじゃ。」

満足の笑みが浮んだ。

博士は、スイッチを押した。

ウィ〜ン。

博士が消えてしまった。



- ENTRY_27... -

「プロトタイプ V」 やす泰

博士は、まだ懲りなかった。

あれからさらに…十年、ついにまた機械が完成した。

「で、できたぞ。今度は座席をつけたぞ。」

やや不安気な笑みが浮んだ。

博士は、スイッチを押した。

ウィ〜ン。

肛門と睾丸の間が濡れた。



- ENTRY_28... -

「墓碑」 彩霞

くるしみの中で召されていった貴殿を
そんけいする、心から。
くらくを共にしたことは決して忘れない。
らくえんが待っていることであろう、
えいえんなる冥福を祈る。

   親愛なる貴殿の友人一同より慈愛の念を込めて



- ENTRY_29... -

「究極の幸せ」 太郎丸

「この世が幸せになる事を願うぞ」
 私は魔人に願いを伝えた。
「幸せとはどういう事だ?」
「そ、それは楽しく暮らせるという事だ」
「解った」
 魔人がそういうと、悲鳴が轟いた。

 それは長い苦しみの先に存在する。



- ENTRY_30... -

「走れ寿限無」 蛮人S

 寿限無寿限無五劫擦切れ海砂利水魚水行末雲行末風行末食う寝る処住む処やぶら小路ぶら小路パイポパイポパイポのシュリンガンシュリンガンのグリンダイグリンダイのポンポコピのポンポコナ長久命の長助は激怒した。






 □ 結果発表

●チャンピオン決定

第1回100字バトルチャンピオンは――――
蛮人Sさん作「走れ寿限無」に決定です。
蛮人Sさんおめでとうございます!
□ 作 品 名 □□ 作 者 名 □
「走れ寿限無」蛮人S
「スイマー」モトヤm
「プロトタイプ T」やす泰
「悩殺専務」団鬼八
「金持ちの理由」朝市九楽
「新人教師」岡部健吉
「ゲ・ン・ソ・ウ」mina
「開眼」岡部健吉
「手紙」カピバラ
「新しい時代」カピバラ
「身代わり」長島剛
「究極の幸せ」太郎丸


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