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100字小説バトル!!




第3回です。





 □ 作品公開


- ENTRY_1... -

「潜水艦に住む叔父さん」 アナトー・シキソ

僕の叔父さんは潜水艦に住んでいる
一年中海の底をウロウロしていて、潜水艦にはテレビもない
時々夜中に家に来て、父さんとビールを飲む
海の底のことを、叔父さんは全然話さない
いなくなった叔母さんの話ばかりする。



- ENTRY_2... -

「蝉」 さかな☆

ベランダでまた死にかけの蝉がジジと鳴いた。これでこの夏何匹目だろう。頼むからうちのベランダを死 に場所に選ばないで頂戴。
明日の朝詠むべき歌。
ベランダにまた一つ増えている蝉の 今日は死ぬのにうってつけの日



- ENTRY_3... -

「空まで届け、この声」  さかな☆

10ヵ月になった娘は頬っぺたが実に愛らしく、常に何かを頬張っているように丸く膨らんでいる。木の実 をしまい込んでいるリスのようだといつも思うのだけれど、夫に言わせると「こまわりくん」にそっくり だそうだ。



- ENTRY_4... -

「Mの悲劇」 カピバラ

二人の中年女が旅行した。
翌朝、部屋に未使用のMが落ちていた。
「これはアタシのMよ!」
と互いに譲らず
流血騒ぎにまでなった。

争わずともよかったのだ。
二人のMに用のある男性など
死ぬまで現れなかったのだから。



- ENTRY_5... -

「Mを探して」  カピバラ

小さい頃に、母と生き別れた。
覚えているのは、生まれてすぐ見た母のMだけだ。
母を捜すため、僕は中年女をこまし続ける。
しかし、
目の前で股を広げる女が母だとわかった時、
僕は息子の名乗りを上げられるだろうか。



- ENTRY_6... -

「冬眠するカエル」 アナトー・シキソ

カエルが冷蔵庫の中で冬眠している。
かれこれ、3年3ヶ月。
春が3回、夏も3回。冬は4回も来て、通り過ぎた。
カエルについて、他に言うことは何もない。
僕は、カエルが見ている長い長い夢について、思いを馳せる。



- ENTRY_7... -

「スパゲッティA面」 アナトー・シキソ

スパゲッティを茹でてる間に恋をした。
走って行って、ドアを開け、至極真面目に打ち明ける。
少し待って欲しいの。
待つわけにはいかないんだ!
スパゲッティを茹でてるんだから。
一人で帰って、スパゲッティを食べる。



- ENTRY_8... -

「スパゲッティB面」 アナトー・シキソ

スパゲッティを茹でてる間に恋をした。
走って行って、ドアを開け、至極真面目に打ち明ける。
少し待って欲しいの。
待つわけにはいかないんだ!
スパゲッティを茹でてるんだから。
二人で帰って、スパゲッティを食べる。



- ENTRY_9... -

「蜜蜂になって」 アナトー・シキソ

僕は蜜蜂になって働く。
ブンブン鳴って。
いい気分で飛び回って。
花なんか見つけたりして。
時々、刺しちゃおうかなとか思ったり。
巣になんか帰るのやめようかなあとか。
ははは!
澄まして歩く君。
僕に全然気付かない。



- ENTRY_10... -

「牛乳泥棒」 アナトー・シキソ

僕が眠っている間に、こっそり僕の牛乳を飲んでいる奴がいる。
朝起きると、減っているから、分かる。
夜中に、冷蔵庫を開けて、冷たい牛乳をゴクゴクと。
しかも、ひとの牛乳を。
いったいどんな奴だろう?

知らないわ。



- ENTRY_11... -

「高い木に登って降りられない」 アナトー・シキソ

高い木に登って降りられない。
夕方で、誰も助けに来ない。
仕方がないので、夕日を見ながら考える。
日も落ちたころ、遂にすごい事を思いつく。
きっと、世界中が腰を抜かすよ。
でも、一人じゃ、この木を降りられない。



- ENTRY_12... -

「寝言を聞きたい」 アナトー・シキソ

あの子が僕の横で寝言を言った。
とても深刻な内容だった気がする。
聞き逃してはいけなかった発言。
重要。とても重要。
だから、一晩中あの子の寝顔を眺めてた。
それが今朝の寝坊の理由。
バカみたいだけどホントの話。



- ENTRY_13... -

「本を食べる」 アナトー・シキソ

本を食べる。
厚すぎず、薄すぎず。
トースターに差し込んで。
チーズや、レタスや、トマトを挟んで。
時には、バターだけで。
こんがりいい香り。
紅茶はストレート。珈琲なら砂糖抜きのミルク入り。
素敵な朝のひととき。



- ENTRY_14... -

「うわさ」 ぽぽりん

彼とのうわさは知っていた。
私が彼に好かれていないことも。
何がいけなかったんだろう?
顔かしら?
いいえ、そんなことはないわ。
私は学校一の美男子なんだから。
うわさにならないほうがおかしいわ。
ホモじゃないのよ。



- ENTRY_15... -

「虫歯」 魚の目仰山

 歯が痛い。右側上、奥から三本目。昨日の晩からだ。
 甘いものを食べ過ぎたのかな。それとも、手入れの仕方が悪かったかな。しっかり やったつもりだけど。
 それにしても、何で虫歯になるんだろう。入れ歯なのに。



- ENTRY_16... -

「飛んだ」 魚の目仰山

パンツが飛んだ。
空を見上げていると、パンツが群れになって飛び去った。
机が飛んだ。
空を見上げていると、机が群れになって飛び去った。
母ちゃんが飛んだ。
空を見上げていると、母ちゃんが群れになって飛び去った。



- ENTRY_17... -

「幽霊、三途の川を渡る」 魚の目仰山

 幽霊が三途の川を渡った。
 渡し守の赤鬼は顔から血の気が引いて足を震わせた。泣きじゃくっていた他の乗船 者は、途端に泣き止んで顔を引き攣らせ、身を震わせた。
 船から降りた幽霊を見て、閻魔が腰を抜かした。



- ENTRY_18... -

「鳩」 魚の目仰山

 奇術師の手から、鳩が次々と飛び出した。盛大な拍手が湧き上がった。
 観客は帰ってしまった。舞台の上に一人奇術師が立ち尽くし、今も、その手から鳩 が飛び出し続けている。劇場はすでに鳩で埋め尽くされている。



- ENTRY_19... -

「at night of the storm」 風早瑞樹

 嵐の夜、わたしは傘もささずに歩き続けた。
 あなたの住む街の灯りを捜し求めて。
 お願いだ、強く抱きしめてくれ。
 お願いだ、あなたの優雅な声音を……また聴かせてくれ。
 動けない、どうしても。もう限界だ。



- ENTRY_20... -

「警句」 風早瑞樹

 世界が狂っていることに気づかない人間は幸せだ。
 何も知ることなく天寿を迎え、消えてゆくだろう……。

 傷ついた救世主(メシア)は石もて逐われ、巫女の抱擁に心を安らう。
 警世の福音は、俗世には届かない。



- ENTRY_21... -

「cuffs」 moku

日々絶間ない奉仕の結果
彼女の耳が見事に熟す。
僕らはうっとりもぎとって
24時間食べさせあう。
穴、むきだし。
彼女が顔を赤らめる。
蝶がふらふら舞ってくる。
軟弱な羽を開き
彼女の新しいくぼみに恭しく覆い被さる。



- ENTRY_22... -

「lovers」 moku

卑猥なキスを繰り返し
遂に彼女がひからびる。
ロマンティックな彼女の蜜を
悉く吸いとってしまったのだ。
一体これは…
惨澹たる結末に跪く。
己から匂い立つ芳気に噎せ返りながら
甘ったるい涙を
いつまでも滴らせている。



- ENTRY_23... -

「なけなしの勇気」 風早瑞樹

「ねえ、好きって云ってもいい?」
「え……急にどうしたのさ」
「だめなの?」
「だめじゃないけど」
「じゃ、好き」
「困ったな」
「なぜ?」
「ぼくも君が好きだからだよ」
「……ばか」
「ごめんね」
 抱擁。そして接吻。



- ENTRY_24... -

「まっかっか」 道人

あかとんぼはまっかっか

ちっちゃなほおずきもまっかっか

ちぃちゃんのほっぺもまっかっか

おっきなおひさまうみにはいると

みんなみんなまっかっか

ちぃちゃんのおててをギュッとにぎる

おねぇちゃんのおめめもまっかっか



- ENTRY_25... -

「恋するにわとり」 旅幸まりあ

私はとうとう、彼に恋をしてしまった。
彼は毎日、私のいる鳥小屋にやってきては、優しく羽をなでてくれる。
そして私の大好きなえさをくれる。
しかしある朝、愛する彼は、なでもせず私の首を、ぎゅっとしめた。



- ENTRY_26... -

「ロマンスの神様」 朝倉 瀬南

ロマンスな恋がしたいと彼女が言い出した。
私はロマンスな恋がどんなものか知っている

はたから見ればロマンスなのだがロマンスしている
当事者たちは死に物狂いで苦しい事を

いいね

私はそう言うと心の鍵をかけなおした



- ENTRY_27... -

「この世でたった一つのストーリー」 朝倉 瀬南

私は今ココから飛び降りた

私しか知らない私だけのストーリーが心によみがえる・・・


風〜酒〜詐欺〜裏切り〜妬み〜嫉妬〜愛〜恋〜失敗〜成功〜

希望〜夢〜卒業〜唇〜初恋〜おもちゃ〜病気〜父〜母〜


ありがとう・・・・



- ENTRY_28... -

「恋するミニスカート」 朝倉 瀬南

おい!そこの1年ちょっとスカート短すぎるんじゃない?

しかも靴下までルーズでさぁ

私が1年ボーだった頃はスカートこんなだったよ!

やめときなって!あの子あの有名な先輩の妹だよ

よし、かわいいから許してあげるよ



- ENTRY_29... -

「輝きの向こう」 朝倉 瀬南

たとえ貴方が一人ぼっちでも

たとえ貴方が愛を知らなくても

たとえ貴方が私を好きでなくても

たとえ私と貴方以外全て敵でも

貴方の中に輝く純粋な光とその可能性に私は気づいてる

そう私は気づいている

それが私の誇りなの



- ENTRY_30... -

「夕暮れ」 木村明日子

夕暮れ、電車の中で、向かいに座った少女が膝の上に譜面を広げる。
小さな10本の指は透明な鍵盤の上を踊りだす。
オレンジのひかりが少女をつつむ。
駅が近づく。
少女は手をとめる。
そして席を立つ。
ぼくは残される。






 □ 結果発表

●チャンピオン決定

第3回100字バトルチャンピオンは――――
魚の目仰山さん作「鳩」に決定です。
魚の目仰山さんおめでとうございます!
作 品 名作 者 名
「鳩」魚の目仰山
「高い木に登って降りられない」アナトー・シキソ
「潜水艦に住む叔父さん」アナトー・シキソ
「冬眠するカエル」アナトー・シキソ
「飛んだ」魚の目仰山
「cuffs」moku
「夕暮れ」木村明日子


感想票



推薦:「鳩」 魚の目仰山
感想:ラストの画が悲しい。

推薦:「鳩」 魚の目仰山
感想:いいねこのポッポウ。

推薦:「鳩」 魚の目仰山
感想:鳩みっしりでビックリ

推薦:「鳩」 魚の目仰山
感想:鳩鳩鳩鳩鳩鳩鴉鳩鳩鳩

推薦:「高い木に登って降りられない」 アナトー・シキソ
感想:これだけが文学だった

推薦:「高い木に登って降りられない」 アナトー・シキソ
感想:うちも降りられない。

推薦:「潜水艦に住む叔父さん」 アナトー・シキソ
感想:十字感想のほうが難題

推薦:「冬眠するカエル」 アナトー・シキソ
感想:これで決まりでしょう

推薦:「飛んだ」 魚の目仰山
感想:なんか何故か笑えた。

推薦:「cuffs」 moku
感想:蛾じゃなくてよかった

推薦:「夕暮れ」 木村明日子
感想:さりげなく心に沁みる












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