第83回1000字小説バトル結果

おめでとうございます!

今回のチャンピオン作品は、激戦を一歩抜け出した
ロヨラさん作の『妹の血』です。

エントリ作品作者得票
10妹の血ロヨラ4
12受験スパイラルごんぱち3
16菜の花摘んでとむOK3
05煙突のある風景藤田 岩巻2
11旋回ぼんより2
14キャプチャウェブ キャプチャネットるるるぶ☆どっぐちゃん2
19フラッシュバック弥生2
01独唱PTAようこさん1
04きみにあいにいこう。れおん1
06鳥かごTommy マルボ1
07烏奇譚瓜生遼子1
13急告ながしろばんり1
15ハイキックマンアナトー・シキソ1
17ターザン越冬こあら1


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。



推薦作品と感想

■妹の血  ロヨラさん
 
感想:意味不明、さらに主人公の思考がとても気持ち悪い。
だがなぜか後を引く気持ち悪さで心に残る。
最後の一行は少し笑った、なるほど。
票者:このバトルへの参加作者


感想:今回は多種多様な作品が揃って、一作選ぶのがまぁ大変。
再読の結果、「妹の血」に投票します。テーマは別として文体は好み。マンドラゴラってのはまた大層な植物を持ってきたもんだが、それで妹の経血が意味深になってくるのでなるほど上手いナァと思いました。

票者:その他のQBOOKS参加作者


感想:一番出来が良かったように思うこの作品に今回は投票するけれど、あんまり好きじゃないなあという感じ。1000字小説ってこういう感じに書くんだよって感じのお手本のように良く書けていると思うけれども、小さくまとまりすぎじゃあないかなあとか思ってしまうのでした。今回はこのような感じの作品が多く、感心させられたものはあまりなく、全体的にこぶりでしたね。
票者:このバトルへの参加作者


感想:結構短い方なのに、一番読み応えがあったような気がします。
連綿とした思考が拡散されずにうまく着地成功したのでは。
次点では、「○○殺人事件の怪」が典型的なショートショートらしくて好きでした。
票者:純粋読者


■受験スパイラル  ごんぱちさん
 
感想:あー、なんかマジで面白かったです!!

票者:このバトルへの参加作者


感想:うんうん、掛け合いのリズムに乗ったオーソドックスで懐かしい笑い。今回は一番安心した作品に一票。
票者:このバトルへの参加作者


感想:うーん、最近ごんぱちさんにどっぷりはまりだした気がする。
(ぼん)
票者:このバトルへの参加作者


■菜の花摘んで  とむOKさん
 
感想:一番綺麗です。笑えるのとどっち取ろうか迷いましたが。
票者:このバトルへの参加作者


感想: 今回はストーリー的に卓越したものは無かったので、どれだけ文章で読ませるかというところに重きを置いて推薦作を決めた。とむさんの話は何処にでもある家族の(それもむしろ幸せな)一場面を切り取っただけだが、なんとも言えない読後感がある。手をつながない夫、夫婦の思い出を話す妻。その描写だけで二人がどんな生活を送ってきたのかが伺える。妻にいたってはその内面も推察できる。最後に夫が妻に感じる淡い感謝の心がこの作品をよりいっそう温かいものにしていると思う。
票者:その他のQBOOKS参加作者


感想:
寄り添って、ゆっくりと年を重ねてきた二人の姿が思い浮かんで
心が温かくなるような小説でした。



票者:このバトルへの参加作者


■煙突のある風景  藤田 岩巻さん
 
感想:ふざけかたが傾いていて素敵だ。が、その反面、宗教的な静謐さも感じる(そうなのか?)。念仏唱えてるような気分にもなる。なので好み満点。アナトーの親戚か? それともどっぐちゃんの? まあ、それはどっちでもどうでもいいことで、人を嘗めてるような糸巻き、いや岩巻だ。これからが楽しみだなあ。だから一票!……(掌凸)。
票者:純粋読者


感想:なんとなくこの煙突私も知っている。かもしれない。と自分の記憶と照らし合わせながら読みました。その過程が楽しかったので一票入れさせていただきます。
偶然なのでしょうが鳥の話が続けて乗っていて両方とも幻想的で
二つとも怖かったです。
ターザンの話面白かったんですが落ちが・・・よくわからない
男の子達にしかわかんないのかな?とおもったら悔しかった。
票者:このバトルへの参加作者


■旋回  ぼんよりさん
 
感想:「烏奇譚」瓜生遼子
〈正調奇譚〉という趣の話。人面鳥が俺にも見えたよ。

「妹の血」ロヨラ
一息にわーっと行って、ぴたっと終わるタイプの書き物を、仮にインプロ(インプロビゼーション)小説と呼ぶなら、この作品はまさしくインプロ小説。これ見よがしの、大して面白くもない話でも、最後にぴたりと決まれば、妙な完結感に満足できる。イメージのテンポの良さ、つまりノリが命。そういう意味ではうまくいってるんじゃないかな。

「旋回」ぼんより
5時間も海岸線の環状道路を走り続けりゃ、頭もイカれてくるさ。逆か。
車で走り続けてる感が、ちゃんと出てる。書けてるなあ。

「受験スパイラル」ごんぱち
面白い。〈四谷もの〉はいつもバカみたいで面白い。

「急告」ながしろばんり
嫁さんより早く出勤する主人公が出勤するときに、猫から「嫁さんの乗る電車が事故る」と聞かされる。主人公は、嫁さんとのなれそめとかナントカをつらつら思い出す(語る)。駅に着くと、猫のメッセージの件を携帯電話で嫁さんに知らせようとするけど、ちょうどそのとき電車が来て、電話しないで携帯をしまう。起きたことはこれだけ。でも読むと面白い。千字は〈筋〉じゃないってことさ。

「キャプチャウェブ キャプチャネット」るるるぶ☆どっぐちゃん
相変わらず来てるねえ。台詞もイカす。今回はこれだろう。

「菜の花摘んで」とむOK
むむ! これもいいなあ。上の作品とは全然違う良さ。
同じ千字で、同じ「良い」でも、これだけ違う。

「ターザン」越冬こあら
ことわざオチかい!

「フラッシュバック」弥生
一回読んだだけだと、〈ネギ〉がわかりにくい。
「なんだ、いきなりネギって?」となる。
なぜか? それは……。


ーーというわけでどうでしょう? 

俺としてはイングランドに優勝してほしいんだけど、なんか、ベッカム試合中にゲロとか吐いてるし。ね、そっちの窓、開けてくんない? その、ボタン、そ、それ。ありがと。ま、駄目っぽいよなあ。ルーニーは変な顔だし。ジェラルドになんとかしてほしいよね。

ーーそうじゃなくて。

冗談だよ。まあ、まともに行けば、『キャプチャウェブ キャプチャネット』か『菜の花摘んで』でしょう。つまり、ブラジルかドイツでしょう。けど、決められないんだよねえ。だから、ここは敢えて『旋回』を推したい。つまりイングランドを! イギリス万歳!

ーーいい加減にしないと、怒られますよ。

マジな話、『旋回』は、読んでると、ああ確かにこいつは今、車を走らせている。結構なスピードで車を走らせながら、ウジウジ、グチグチぼやいてるって、分かって、その感じが主人公の精神状態とちゃんとリンクしてる。そこが「やるじゃないか、すんどめ」って、おい、今追い抜いてったのフェラーリじゃなかった?

ーー知りませんよ。それに、すんどめじゃなくて、ぼんよりですよ。

ぼんどめ?


(アナトー・改造ジャガーでグランツーリスモ連勝中・シキソ)
票者:このバトルへの参加作者


感想:エントリ01  独唱PTA  ようこさん
 全員で「独唱」には、やや違和感。「斉唱」じゃ野暮ったいからかな。「絶唱」「熱唱」「激唱」…どれも今イチか。何か、もっとしっくりくるのがあったらよかったのにと思う。独唱の内容自体は面白かったけど、書き出しとラストがちぐはぐ。

エントリ05  煙突のある風景  藤田 岩巻
 「真ん中の煙突のおじさん」が出てきてくれた方が好み。「青春のウホウホウンス」とか好きだなあ。もっと馬鹿馬鹿しくてよかったのでは。

エントリ11  旋回  ぼんより
 おし! 今回はぼんよりさんだなっ! 競艇の使い方がうまい。

エントリ14  キャプチャウェブ キャプチャネット  るるるぶ☆どっぐちゃん
 「落ち続けている」は好きなのだが、あらすじ部分が一見面白そうで、よく読むとあまり面白くないのがひっかかった。

エントリ15  ハイキックマン  アナトー・シキソ
 次回も期待してます! しかし今回、作者付記をつける人多かったなあ。流行り?

票者:このバトルへの参加作者


■キャプチャウェブ キャプチャネット  るるるぶ☆どっぐちゃんさん
 
感想:皆燃えてしまう。皆助からない。ああ〜。はそんなに人々の憧れの的じゃなかった。残念。言葉に押し流される。
<ロヨラ>
票者:このバトルへの参加作者


感想:烏奇譚  瓜生遼子さん
この作者の切り口は面白いんだけど、活かしきれていない感じ。
でも、中高500字の時より良くなってる。

旋回  ぼんよりさん
スッと読み始める気になれなかったのは、最初の段落に問題があるからだと思う。
一文が短すぎるからなのか、「オープンカーとはいかないけれど。」で終わるからいけないのか。多分どっちかのせい。
読んでみると、かなり面白いのに。ラストも効いてるし。

急告  ながしろばんりさん
いいねえ。
このラストみたいな人間の黒さが、作品としては美味に感じられるのだ。

キャプチャウェブ キャプチャネット  るるるぶ☆どっぐちゃんさん
1個目の「持久戦である。」は要らない気が。
ユーモアを交えながらも、切ないところが良い。

菜の花摘んで  とむOKさん
明快だし、読後感も心地良かった。
でも、作者の魅力がいつもより弱いと思う。

最も読み返したくなるのは「キャプチャウェブ キャプチャネット」ということで、1票。
今回、無粋な作者付記が多くて残念。アナトーさんのは面白かったけど。
(日向さち)
票者:その他のQBOOKS参加作者


■フラッシュバック  弥生さん
 
感想:なぜ「フラッシュバック」というタイトルにしたのかは理解し兼ねますが、最後まで退屈せずに読めたのは、こちらの作品でした。おそらく何か秘密があるのだと思います。あと、ながしろばんりさんの「急告」も好きです。
票者:このバトルへの参加作者


感想:読んでいてほのぼのと懐かしい気持ちになりました。1000文字という短い制限なのにすばらしくまとまっていたと思います。
票者:このバトルへの参加作者


■独唱PTA  ようこさん さん
 
感想:『ターザン』『菜の花摘んで』と悩みましたが、新しさを感じた方に投票してみます。
票者:その他の作者


■きみにあいにいこう。  れおんさん
 
感想: ほんわか
 遠い昔の甘い記憶
 25歳くらいいっきに若返った気持ちにさせてくれる。
 行間の取り方もいいです。 
票者:純粋読者


■鳥かご  Tommy マルボさん
 
感想:話し手が誰なのか分からなくて、延々いろいろな設定を考えながら読んでいました。最後でやっと彼女の行動の理由とか話し手と題名の絡みとか分かって納得。

ということでこれに一票。
票者:このバトルへの参加作者


■烏奇譚  瓜生遼子
 
感想: 私事ですが、どうも今回のバトル、アップされた直後に一回目を通しているらしい。というのも、いま19日なのですが、さて1000字でも読むか、と思ってどれも読んだことがあったので驚きました。いや、ボケって怖いです。もうながしろもながいことないですよ。ながしろのくせに。
「ターザン」「ハイキックマン」は黙っていても票が入る気がする。するってえと、というほどでもないけど「女の着物を着た、人面烏ともいうべき生き物がいた。猫のように丸まって、木にしがみついている。」というのが、なんとも生々しく、恐ろしく、ヴィヴィッドだったのです。
 よって、投票。(M)
票者:このバトルへの参加作者


■急告  ながしろばんりさん
 
感想: つかみどころがむずかしいというのがながしろさんの作品の印象だったのだが。嫁の事故死を予告されて、ワクワクドキドキすることってないなあ、と思い出してオイオイ嫁の心配はせんのだろうかと思い、迫られて結婚したという嫁とのなれ初めにハハアそういうものかと思い、携帯電話を取り出したはいいけれど電車が入って来て電話をやめてしまっちゃうところであーそうかーこりゃあ参ったと膝を打つ。嫁との距離感が絶妙。

気になった作品

01 独唱PTA ようこさんさん
 ああ、うまいなあ。虚実取り混ぜて楽しいブレンドになっていると思う。いつも地に足がついた作品で羨ましい。

05 煙突のある風景 藤田 岩巻さん
 ちょっと驚いた。煙を上げつづける煙突、変わらない日常。
 セカチューで猿バドール・ゴリのドラミングとか、ジョージ・ワシントンが実は斧を持ったままで、「私が桜の樹を斬りました」と罪を告白するふりで父を脅迫した逸話とか(注・引用に虚飾あり)は、うそ臭い伝説が流布する青少年期の現実と言えるかもしれない。

10 妹の血 ロヨラさん
 「土に経血」→「マンドラゴラ」→「精液との混合」→「妹の性生活」と妄想するうち、母親に堕胎費用をたかる妹の言葉が聞こえ、まるで己が孕ませたかのように、近親相姦という禁忌を破ることへの後ろめたさを感じてしまう。妄想をそのまま流して書いたようである。

12 受験スパイラル ごんぱちさん
 コメディの一場面を切り取ったよう。並行螺旋な対話のリズムが素敵。最後の言葉は「ふり出しに戻る」=スパイラルなのだろうけれど、ややいきなり戻された感があった。トロい自分がついていけなかっただけだろうけれど。

15 ハイキックマン アナトー・シキソさん
 エビボクサー対イカレスラー。エレクトリックドラゴン80000V。そんな映画を思い出した。たった一つの技をリングネームに使う珍妙なセンスに脱帽。

17 ターザン 越冬こあらさん
 やっぱ日本人だ。おあとがよろしいようで。
票者:このバトルへの参加作者


■ハイキックマン  アナトー・シキソさん
 
感想:面白かったです。人物のくせがいいと思います。素材の選択がつぼでした。
エアマスター読んでますか。
マザー3は面白いですよ。…余計なこと書いてすみません。葱

あと、るるるぶ☆どっぐちゃんさんの作品と、棗樹さんの作品がどこがどうよかったのかよく分からないけれど、面白かったです。時々、わっと思う描写があることかなと思います。
票者:このバトルへの参加作者


■ターザン  越冬こあらさん
 
感想: もう、良い大人が馬鹿馬鹿しい(褒め言葉)。
 是非、雄叫びを上げて貰いたい。
票者:このバトルへの参加作者