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1000字小説バトル

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1000字小説バトル stage3
第17回バトル 作品

参加作品一覧

文字数
1
小笠原寿夫
1000
2
本作品は掲載を終了しました
3
ごんぱち
1000
4
石川順一
1017

結果発表

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コミュニケーション

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ゲルニカ
小笠原寿夫

 欽ちゃんの仮装大賞を夢に見た。
 海外の人が丁寧な日本語で仮装している。結果は14点。審査員の糸井重里さんが、説明を加える。
「木の枝に親鳥が止まってるんです。で、下に雛たちが餌を待ってるんですよねぇ。問題はこっからなんです。親鳥の下にカラスみたいな悪い鳥がやって来るんです。で、雛たちに象の靴の中には、こんなに面白くて楽しい世界が待ってるんだよって告げ口するんです。で、雛たちは、その鳥がなんであるかも知らずに、象の靴の中に飛び降りていくんです」
 点数は上がらない。そこで審査員の清水圭さんが補足する。
「皆さん、騙されちゃいけませんよ。この絵には続きがあるんです。親鳥がその悪い鳥のところに、文句を付けに行くんです。玄関を叩いて、出て来た奴が、まさにそいつなんです」
 絵を描いた張本人が、天然パーマの鬘をかぶり、サングラスを掛けて、ネグリジェ姿で暗闇から現れる。
 ぽつぽつと点数が上がっていく。
「何でや!?」
 ここで目が覚める。
 絵を描ける才能とは、他のどんな才能よりも優れている。頭の中に絵が描けない奴は、絵が描ける人より、損をしている。
 この夢の絵解きをしよう。私は、ある日、飛び降り自殺を図った。それ自体は、子供染みていて、さほど驚くべき事ではない。問題は、ここからである。飛び降りを図ったのには、理由がある。簡単に言えば、男女の問題。もっと詳しく言えば、電話で遣り取りしていた女性との通話を切ったあと、恋愛もののドラマに影響を受け、事件に至った。そのお陰で全治3ヶ月の入院を余儀なくされた。順をおって説明しよう。私が二階から飛び降りた。それにより、両親、特に父が、迷惑を被った。息子の私が、自殺する経緯に至った理由を、父は知っていた。それにより、絵を描いた張本人に文句をつけようと試みたのである。絵を描いた張本人は罪を被ることはない。ただ絵を描いただけなのだから。そこに登場するのが、我が師であるのだから、質が悪い。悪意があったわけではなく、単純に絵を描きたかっただけなのである。私の思い過ごしかもしれないが、父は彼に不快感を覚えていたのだろう。彼も隣のベッドに入院をしていたので仕返しめいたものはできない。それどころか、あらゆる情報を提供してくれた、師に、息子である私が、感謝と敬意を持っているのだから、始末に負えない。我が師は、絵を描くのが上手だ。すべては藪の中。
 これが、事件の真相だ。
ゲルニカ    小笠原寿夫

(本作品は掲載を終了しました)

そを遠ざけよ
ごんぱち

「何という事だ……」
 墓の前で男は涙を流します。
「何の過失もなく我が子を失ったというのに、かの会社は責任を取ろうともせず、司法もそれに追随する。世論も賠償金目当ての訴訟ゴロ呼ばわり。何という世の中だ、正義はどこにある! 正義は! 我が子はどうすれば浮かばれる? その為なら何だってするのに、そう……何だって」
『哀れな迷える子羊よ』
 その時、雲間から光が射し込み、白い羽を生やした光り輝く男とも女とも付かない者が現れました。
「あ……あなたは神様……」
『汝のその怒りと悲しみ、我らの元に届いた』
「え」
『願いを言葉にせよ。さすれば現のものとなる』
「は、はひっ」
 男は眩む目を細めながら上ずった声で続けました。
「世界から、あの商品を消して……いや、もっと沢山の子供を、救いたいのです」
 大きく深呼吸して、跪き、両手を組む。
「人から、凍らせて食べたぐらいで、喉に詰めて命を奪う全てのものを、遠ざけて下さい。そうして頂けるなら、私の全てを差し上げます」
『その願い、叶えよう。汝の全てと見合うだけの間』

「ホット・マグマド・ラム」
 地獄の四丁目のバーのカウンター席に、悪魔のヘッテルギウス氏は腰を落ちつける。
 バーテンダーのニスシチは、耐熱グラスに地獄ラムとベヒモスのバターをヒトカケ入れ、ステアする。
「お待たせしました」
「ありがとう――ふぅ」
 ヘッテルギウス氏は、カクテルを一口飲む。
「冬はこれが一番だ」
「お疲れのようですね?」
 ニスシチは、空いた手でピクルスの仕込みを始める。
「好景気の弊害ってヤツだ」
 ヘッテルギウス氏は微笑みながら、小皿の上のジャーキーを噛む。
「この一ヶ月の魂の多さと来たら!」
「はははっ、あのナベルスさんがご機嫌でしたからね。お手柄でしたね」
 ニスシチは、瓶に下処理したマンドラゴラのスライスを入れ、漬け汁を流し込む。
「ま、あの男が捧げた、自分と家族の魂と財産だけでは、渇水も後三日が限界だがね」
「そうですか」
 瓶にコルクの蓋をすると、蝋でしっかり固める。
「楽しみですね。後三日で、何人死者が出るか」
「まあ、あんまり沢山出ても、契約の手が足りないがね」
 空いたグラスと黄銅貨を置き、ヘッテルギウス氏は席を立つ。
「じゃ、ごちそうさま」
「またどうぞ」
 ニスシチは、ハンガーを指す。
「上着をお忘れなく」
「ありがとう」
 発光蛆がびっしりとたかったコートを引っ掻け、ヘッテルギウス氏は店を出て行った。
そを遠ざけよ    ごんぱち

石川順一

 ビールを飲んでから自転車をこぐと私は空を飛んでいた。
 派手なつまみだった
 ネギに豚肉、ネギに鶏肉、ネギに牛肉、の長い串。
 屋台で済ませた夕食替わりのビールと串は私を少し酔わせた。
 年々ビールの量が少なくなっている様な気がして来た。
 去年はもっと多かったのに、今年はこれだけか、多分に感覚的なもので、実際は同じ量飲んでいるが、年々同じ量では少なく感じる様になっている様だ。
 私は織物感謝祭一宮市七夕祭りに自転車で来ていた。父と母も一緒だ。
 今年は屋台で飲んだだけでは足りないのか、しこたま歩いた後に居酒屋でもビールとカンチュウハイを飲んだ。串だけで夕食になるかと海鮮どんぶり見たいなのも食べた。
 帰りは自転車だ。自転車で隣の市から来て居たので、自転車で帰るしか無い。途中で自販機でジュースを買って飲んだ。
 その時だ。バードは全てを見て居て私を空へと駆った。
 空を飛ぶと言うバードの酷使ぶりに鮮やかな天使の後光を見た。
 バードは私を思う存分飛ばし、財布が箪笥の上にあったり、交番にあったりした。箪笥の上には干支の人形が面積を占めて居た。交番へ行った時私は少し前にコンビニでアサヒSTRONGを買おうとして財布が無いのに気付いたのだった。
 空を飛ぶと言うのは爽快感以上に危惧する感じが多くて、不安に襲われ、バードにこれ以上私を飛ばすなと厳命した。
 飛ばすなと言っても飛ばせと言ったのはあなたなのです。
 今更そんな虫のい要求が通ると思うのですか。
 バードは私を諭すように、自らの後光のヘイローをますます輝かせて私の眼だけでは無く心までも幻惑した。
 バードは全身羽で覆われ顔までも羽で覆われ表情が読めなかったが、相当賢人の様な風貌やオーラを漂わせていた。
 おおバードよそんなに私を苦しめるな、バードたいじんよ。
 ならばそちは漂流記をやるか15少年の。
 な、な、なに!!!
 出来ぬか、私はそちに失望したぞ。ならばこれが受けられるか
 バードは髪を伸縮自在に伸ばし始め、魁男塾で月光を倒したラージャマハールの得意技を披露し始めた。
 うぉーすごすぎる。分かりました。あなたの真意がアラッソヨ。
 私は髪を短く切り、酒を飲んだ後は自転車に乗る事はおろか、走りに外出するのも控える様になった。
 私は2009年までは酒を飲んで自転車の乗った後は耳かきで耳を酷使する癖があったのだが、それもバードの気に障ると言うので止めた。
 やっと私は空を飛ばずに済むようになった。