第32回 1000字小説バトル

参加作品
1 くるくるどーん。 小笠原寿夫1000
2 白い天使と黒い天使 ペンテ1000
3 コピー ごんぱち1000
4 石川順一930

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バトル結果発表
※投票受付は終了しました。
くるくるどーん。
小笠原寿夫

その悲鳴、基、雄叫びから、あほあほ運動会は、始まった。
「只今より、きゅぴきゅぴきゅうきゅぴぴゅー校長先生からお話があります。皆さん、静かにお聞きください。」
きゅぴきゅぴきゅうきゅぴぴゅー校長が、朝礼台に立つ。
「あ、あ、てすとー。てすとー。
えー。」
その時、マイクの音が割れ、けたたましい音が、校庭中を谺した。教頭が、替りに挨拶をした。
「只今の学校は、学校給食にまで、熱を入れております。つきましては、お昼休みの休憩の際には、お父さん、お母さんと一緒に、食事を取る様にしてください。尚、大人の都合上、飲酒、たばこ、お車でご来場の保護者の皆様は、くれぐれもお身体を慈愛してください。」
くるくるどーん。
只今を持ちまして、教頭の選手宣誓を願いました、を後ろ手に感じつつ、真っ正直な坂田くんが、手を挙げます。
「四次元空間を逆手に取り、飴を舐めながら、やきうが、終われば、開催します!」
私は、終わり次第の方が、しっくりくると思いつつ、次の雄叫びが鳴る。
くるくるどーん。後ろの方からのハイキックは、ご機嫌斜めに構えてくださりませんでしょうか?
俄かに静まり返った校庭を、ひたすら、左手に回る、本物の坂田くんが、うどんを投げつけてきた。
べちゃ。
顔面に当たり、戦意を喪失した杜若くんが、校庭の地面に落ち、砂混じりになったうどんを拾い上げ、給食袋にしまいこんだが早いか、差し詰め、そんなところではなかろうか、と思った私を尻目に、柳昇くんが、またしても、うどんを頬張ったところで、赤組にスリーポイントが、入ります。
きわきわきわ。
その雄叫び、基、悲鳴によって、白組にワンポイントが加えられたファッションが完成した。
「続いての競技は、昨日の時点で結果が出ておりますので、端折らせていただきます。」
アナウンスは、正確だった。
ここで、白組にツーポイントのアドバイスを元手に、近所の商店街で、私は、酒屋を経営する決心は、出来ました。
はい、ワンポイントの車登場。
片手間で、始まった運動会は、愈々、レッスン再開してくださった保護者の味方について、話し合うという結果から見ても、ここで、私は、空気が読めなくなりました。
ええ加減収納でもつけてくださいよ。
その悲鳴、基、嘆きを承知の上で、私は、いつも以上に鼻を鳴らした。出来ましたら、右鼻から左鼻にして頂きたいのですが、ご無理ということであれば、逆でも結構です、と肝に銘じてみた。

※作者付記:
こういう風な事もします。

白い天使と黒い天使
ペンテ

「今日から夏休みです」

その一言に歓喜するクラスメイト達。その中にはボクの好きなあの子もいる。
でも、ボクには今年の夏休みは喜べませんでした。
今月、7月の30日に、好きなあの子は死ぬことになりました。


ボクは天使、とでも言うのでしょうか。
寿命は15才で尽きます。しかし、気付けば10才の姿で生き返っています。
なぜか、生き返るまでの空白の10年間の記憶はあります。
生き返る前の記憶もあります。
死ぬ痛みも何十回と経験しました。

そして、人の魂を覗いて、消す事ができます。

人口が増えすぎると、夢の中で誰かがボクにくじを引かせ、出てきた人の魂が消え、それを確認しなければいけません。
そしてボクは、あの子のくじを引きました。

いつ死ぬか知っている僕にとって、世の中はつまらないものでした。
でも、そんな時、恋という感情を抱きました。
結局、天使だろうが、寿命が決まっていようが、感情を持っていれば後悔するんだと今知りました。

命日に近づくにつれ、ボクは迷いました。
ボクは、あの子の死ぬ瞬間を見届けなければなりません。
そして、決心しました。


あの子の命日。
あの子は道路に信号無視して飛び出してくる車に轢かれ轢死します。

目の前で、あの子が横断歩道を渡っていきます。
僕は声をかけました。

「行っちゃだめだ!」

あの子の寿命が少し延びました。

「どうして?」

あと少しで、信号無視をする車は通り過ぎます。

「どうしてって・・・」

言葉に詰まったとき、あの子は驚きの言葉を発しました。

「私が死ぬからでしょう?」

どうして?

「どうして知っているの?」

声が震えました。
あの子は機械のような冷たい声で言いました。

「簡単な推理をしてあげる。
ほかの天使に、天使が寿命を消されそうになったら、夢でだれかに告げられるの。
天使は死を見届けないといけない。だから私を消すクジを引いた天使が近くにいると考えた。
案の定、貴方だけ寿命は15才までだった。だから私は貴方を天使だと思った」

あの子は天使だった。そして僕が天使だと知っている。
呆然とするボクにあの子は続ける。

「知ってる?天使に殺された天使は、生き返れないんだって」

そう言って、ボクを横断歩道に突き飛ばしました。

「私に項意を抱いていた貴方なら止めに来ると思ったわ。でも、冷静に私の正確な寿命を一度でも見ていたら、天使だと気付けたのにね」

そう吐き捨てるようにあの子が言うと、ボクの横から大きなクラクションが鳴り響きました。

※作者付記:
天使でも、死ぬ人を止めに入るいい天使もいれば
殺す事をためらわない天使も居るのでしょう。
感情があれば、どんな生き物でも十人十色なのです。

とか、深イイ事を言ってみる。

コピー
ごんぱち

「SHIT! なんてこったい!」
「どうした、スティーブ?」
「見てくれよダニエル、このミスコピーの数!」
「OH! 会議録で壁の貼り替えでもするつもりかい?」
「前に使った奴が、枚数をリセットしてなかったのさ!」

「――というミスをなくす為に、我が社はコピー機に新システムを搭載致しました」
「ほほう、どのような?」
「本機は操作者の顔を読み取り、操作者が変わったにも関わらず、設定を戻さずに実行ボタンが押された、つまりコピーを開始しようとした時には、警告が発せられます」
「ですがミスター・ウィルソン、同じ人間でも老眼鏡のかけはずし等で、操作中に顔が変わる場合があるのでは?」
「それを解決するため、顔認識用のカメラを全五箇所に設置し、立体データとして頭蓋骨構造をシミュレートします。その認識精度は一卵性双生児の実験でも九八パーセントを超える程です」
「それは素晴らしい。ですが」
「なんです?」
「そうなると今度は、それ程の顔データが悪用される可能性がありますね。公共の場には置けないのでは」
「顔データは別の利用者に切り替わるか、操作がないまま五分以上が経過する事で完全に消去されます。それらを回避して吸い出せたとしても、高度に暗号化されたデータは再構成不可能であり、解読に失敗すると当該端末に深刻なダメージを与える攻撃性も持ち合わせています」
「なるほど。その面は万全のようですが、警告というのはどういう形で成されるのですか?」
「音声と操作パネル上のメッセージで行われます。視覚、聴覚いずれの障害があっても対応可能です」
「しかしもしも視覚と聴覚両方が失われた操作者であったら?」
「それについては、新開発の軟質ディスプレイを操作パネルに使用し、裏面に点字ディスプレイを設置する事で、点字による警告が成されます」
「ううむ、素晴らしい。これならば導入しても良さそうだ!」
「賢明な判断です。このコピー機がアメリカ全土に普及すれば、ミスコピーの割合は全体のコンマ三パーセント減るとの試算も出ている。これは、アメリカ経済の更なる発展に寄与するものと確信しています!」

「――アメリカでは、複写の枚数をうっかり間違えると一瞬のうちに数十枚単位で紙が無駄になる事があるらしいぞ、同志」
「やはり資本主義は脆弱だな、ハハハ」
「そうだろうハハハ」
「……それはともかく、さっさと鉛筆を削ってくれ、同志。今日中にもう三枚複写しなけりゃならんのだ」

石川順一

  父が階段を下りて来ると、私は二階の寝室へと引き上げる。朝の6時の寺の鐘が鳴る頃には既にかなり明るくなっている2月末だが父が降りて来た3時50分頃はまだ漆黒の闇が支配している。関東地方では雪の模様だが、私が住んでいる東海地方は雨が降って居る。私は二階へあがるまで「ぼたんと薔薇」の再放送を見て居た。パソコンに向かいながら、あるいは絨毯の上を走りながら。テレビのある一階の南東の部屋は畳の部屋だが5分の3程を絨毯が重ねて敷いてある。畳の上を走るよりは余程なめらかに走れるので私は畳のうえよりは絨毯の上を走るのを好んだ。但し絨毯よりももっと滑らかなのが玄関の三和土の上でここを走るのが一番足の裏に優しそうだった。ここで走ると二階へ向かう階段に正対して走る事になるので母からはあまりよく思われて居ない。勿論家の中なのでランニングマシンの上を走る見たいに定位置から全く進まない形で脚を動かし続けるのだが、やはり足指の裏の負担を考えると、靴下を履いて居てもなるべく走る環境は足の裏に優しい滑らかな足触りの所がいい訳だ。母は「ほら見ろ階段に向かい合って走って居るので呼鈴が強くなるんだよ。おまえは無駄な騒動を惹起するのかね」と結構本気で言っているようだった。父は朝の4時5分頃家を仕事をしに出て行く。もうこうなってから何年たっただろうか。2003年からだからもう9年近くになろうとしている。私も2008年から2009年にかけて父のまねをした訳ではないが、同じように早朝4時ごろ家を出て新聞配達の仕事をやっていたものだが2009年3月にはやらなくなっている。私は今日2012年2月28日(火)徹夜した訳だが(勿論既に29日(水)に日付は変わって居るのだが)、父が下へ降りて来ると私は2階の寝室へと言うパターンを何度繰り返した事だろうか。ここ2年ぐらいは特に顕著になっているのだが、20代のころなどは一度でも徹夜しようものなら、もう永久にしまいと心に誓った程のあのころが嘘の様だ。平気で徹夜してナチの有名人や歴代総理の動向を探っている。こんな生活が何時までも続くものかと思いつつ、こんな生活での成果がそのまま仕事につながればと言う甘い観測で時間を無駄にしている私なのだった。