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1000字小説バトル

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1000字小説バトル stage3
第34回バトル 作品

参加作品一覧

文字数
1
小笠原寿夫
1000
2
ごんぱち
1000
3
石川順一
1026

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コミュニケーション

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ジャポニカ
小笠原寿夫

「私、日本落語協会フランス支部の角田と申します。」
そう言って、名刺を差し出した瞬間、私は、角田へと変身を遂げる。
"von gior."
受付の女性は、軽く会釈をした。視線を逸らさず、パリッとしたスーツ姿を披露すると、私は、プリンと決まっていた。
日本の未来を決める、この会談では、世界落語協会のメンバーが、舌戦を繰り広げる。
"fucking jap talks in the restraunt.it's Japanese rakugo."
(日本のクズがレストランで話してる内容。それが日本の落語だ。)
"oh、hahaha! any children enjoy funny rakugo."
(おっ、ハハハ! どこぞの子供が、けったいな落語で喜ぶんだ?)
"would you make me act Japanese rakugo、Mr.Tsunoda?"
(私に、落語をやらせてくれないか、角田さん。)
相手の連中は、皆、落語を馬鹿にしている。鼻の高い外国人を目の前に、私は、少し寒い思いをした。少し躊躇ったが、思い切って発言する事にした。
"do you know this word iki"
(あなたがたは粋ってえ言葉をご存知ですか?)
皆は、不思議そうな顔でこっちを見ている。
"what you saing、Mr.Tsunoda?"
(何言ってんだい、角田さん。)
"it's a borderline."
(線引きのことです。)
"borderline is there in the world.what's wrong?"
(ボーダーラインなら、世界中どこにだってにある。それがどうした?)
"we have borderline in our Japanese mind.iki is the rule not entering over it"
(我々、日本人なら心に一線を持っている。それを踏み越えない約束。それが、粋です。)
"if you said iki、and show us it."
(あなたが、そこまで言うなら粋とやらを見せてくれよ。)
私は、ネクタイを外して、ジャケットも脱いだ。ポケットから扇子を取り出すと、立て弁で喋り出した。
「おいとこから品川まで八つぁん、かけたかと思うと、一目散に駆け抜けた!犬畜生め鳴いてやがんな、コノヤロ!吠えるんじゃねえ。いや~寒い寒い。どこぞで火事があったんだい。風呂屋の亭主が怒ってらぁ。品川から東京までこんなに遠いと思わなかったよ。ようやく辿り着いたかと思うと、八つぁん、とうとうくたびれた。あぁ、アタシもくたびれた。」
(your place to shinagawa hattsan was running.over the dog.hattsan was tired.I"m tired.)
"what's?"
(何だコレは?)
「だってぇ、寒いんだもん。」
(shllap.it's cool.)
ジャポニカ    小笠原寿夫

ウインナーコーヒー
ごんぱち

「……あー、ボーイ?」
「ご注文、おきまりですか?」
「この……ウィンナーコーヒーというのは、その……」
「当店のお勧めメニューでございます。今のお時間なら、モーニングセットでトーストとゆで卵が付いてまいります。お時間を少々頂きますが宜しいでしょうか?」
「ああ……うん」

「お待たせしました、ウインナーコーヒーでございます」
 来た。
 ホイップクリームが乗ったコーヒーに、トースト、ゆで卵、そして……ウインナーが付いている。
 あ、は、ははは、いやぁ、そんなワケがない。モーニングセットの一つに決まっている。
 は……は……。
 けど……ボーイは何も言わなかった。モーニングセットの中身について、トーストとゆで卵とは言ったがッ! ウインナーの事には触れていなかった!
 い……。
 入れる、のか?
 まさか!
 これは引っかけだ、そうだ、ボーイが言い忘れただけなんだ!
 危ない危ない、危うく騙されるところだった。
 ……でも。
 落ち着いて考えてみると、だ。
 このままクリームの載ったコーヒーを飲んで、ウインナーを食べて帰って、それでどうなる?
 折角高い金を出して喫茶店に入ったんだ。
 日常と異なる事を期待していたんじゃないか?
 このままただ、ウインナーを食べたのでは、家でアルトバイエルンを食べるのと何が違う? コーヒーに五五〇円、ゴールドブレンドとの差額となるであろう数百円を余分に支払った、それだけが非日常だとでも言うのか。
 翻って、ウインナーをコーヒーに入れたらどうだ?
 まずは、初めての味に出会える。
 話の種になる。
 ひょっとしたら、この奇行がテレビジョッキーのスタッフの目に留まり、奇人変人大集合に出られるかも知れない。白いギターとベルボトムが貰えるかも知れない! これは何という非日常か!
 よし、やってやる、やってやるぜ!
 ウインナーコーヒー、バチコイ!
 ウインナーがウインナーが、今、まさにコーヒーに……。
 入ったあああああああ!
 そして、飲むッ! 飲むッ! 飲むッ!!

 それをじぃっと見ていた王女様は、手ずからウインナーを取り、コーヒーに入れて召し上がりました。
 エチケットとはただルールやマナーを守るだけではありません。同席した人々と心地よく過ごすためには、時としてマナーから外れた事の方が適切である場合もあるのです。そのような、生きているエチケットを身に着けていた王女様は、ほんとうの淑女と言えるでしょう。
ウインナーコーヒー    ごんぱち

大先生との俳句勝負に持ち込めるか
石川順一

「勿論高浜大先生といえどもルールには従って貰わねばなりません」
「しかしだねき、き、君、私のこれまでの実績から言っても」
「大先生は短詩形文学会において長年にわたっての多大なる貢献をなしてきたことは重々承知して居るつもりですが、ここは我々のホームグラウンドなのですから、当然外様の大先生には余計に守って頂かなくては」
「なんじゃと?では親藩や譜代のならず者どもは守らなくても良いちんけなルールなのかね」
「いいえ、あまりにも先生がルール軽視で来るものですから、極端な言い方をしただけです。もちろんなじみの者たちも順守絶対です」
「うーむしょうがあるまい」
 せっかく会場まで来て講演出来ないようでは来た意味が無いので高浜はルールを順守することにした。
「今はもう13時じゃ。朝の誓いと昼の誓いをまとめてやるぞい」
「いいですともいいですとも」
「朝の誓い、一つ立春とは陽暦では2月4日か5日ごろに当たるべし。二つ・・・」
「どうしたんです?」
「そう言えばこの前本名の高浜では無くて低浜で投稿したらえんがちょになってもうた」
「何そのえんがちょって」
「がちょーん」
「だから何ってえんがちょもがちょーんも分からん」
「つまり投稿停止になってもうたってこと」
「うっそー」
「ほんとー」
 支配人の夜半亭は高浜大先生が嘘をついて居ると思ったが、しかしこの先生は偶にしょうもないミスをしでかす人だからもしかしたらありえるかも知れないと思って詳細を尋ねる事にした。
「それで、詳細をお聞かせ願えませんかね、事情を知れば善処しようがあると思いますので」
「そうだね、頼りになる君の事だ必ず善処してくれると信じて居るよ」
「信じて下さるのであれば望外の喜びですが、詳細を言って下さらねば善処できませんよ」
「そこじゃよ、問題は。君は善処すると言った。私はその為に詳細を語らねばならん。君が善処してくれると言ったからだ」
「それじゃ堂々巡りですよ。私が望むのは先生が詳細を語ってくれることだけです」
「私が?詳細を語る?そんなことできるんじゃろうか?」
 夜半亭はほとほと困り果てて仕舞った。こうのらりくらりかわされてはいつまで経っても本題に入らない。しびれを切らした夜半亭は直接先生と俳句勝負をすることにした。
「分かりました。もうこうなったら俳句勝負しかありません、よござんすね?」
「よ?よ?よござんす?」
 大先生はあのようにとぼけて居られるが俳句勝負となればしゃんと応じてくれるだろうと言う夜半亭の読みがあった。