おめでとうございます! あなたが栄光のチャンピオンです! 『ジェノヴェーゼ』 深詰(霜月)さん 推薦作品と感想 ○推薦作:[3]ジェノヴェーゼ 深詰(霜月) 上手い。随所で表現に工夫が見られ、楽しめる。難を言えばジュノヴェーゼがわかんない田舎者の私に、味のさわりだけでも教えて欲しかったことと、「不倫してるんですか」と聞くなら、意を決して踏み込む青年の様子を書いて欲しかったこと。逆に、お姉さんの方からそれとなく、という方法もある。そして最後は赤ちゃんでなく受精感覚でもいいかもしれない。いや、赤ちゃんって早いなあって思っただけで。 ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 ○推薦作:[3]ジェノヴェーゼ 深詰(霜月) ◆エントリ1 硬貨型チョコレート 桐生遥歌 行頭の一字空けがなかったり、一文毎にスペースを打っていたり、段落毎に余白を置いていたり――改めてみるまでまったく気にならなかったあたり、雰囲気を考えて作ったんだなぁ、と思った。 硬貨と紙幣じゃまったく風味が違うと思うんだけれど、硬貨がチョコレートだとしたら、紙幣はちょっと違う味になるような気がする。酸イカとかになるんだろうか……とか考えちゃった。 ◆エントリ2 憑依体験(実話) のぼりん 途中まで「これ、どうやって落とすんだろう?」とドキドキして読んでたんだけど……。 破綻小説というか、小説として破綻しているだけでは? もうすこし落ち着いてから書くか、いま吐きながらでも書くか――じゃないと、さっぱりワカンナイです。 ◆エントリ3 ジェノヴェーゼ 深詰(霜月) 地下鉄の中の会話じゃない会話という場面が、 すごく伝わってくる書き方だと思った。 正直ジェノヴェーゼがどんな料理なのかさっぱり分からないのだけど、きっとこんな味なのかな、と想像しちゃうようなお話。という感想も分かりづらいと思うけれど、酔っ払って電車に乗った帰り道のゴトンゴトン揺れてる振動とか色とか匂いとか想像できる感じでした。 ◆エントリ4 ジャンク屋――超訳「道具屋」 ごんぱち 落語を台詞だけに文章に落とすのって、噺家がやる身振り手振りを想像させる妙――ってことだと思うのだけど、ぶっちゃけ面白いと思う。読みながら、何となく身体が動いてジェスチャーしかけてたりする。 でも……台詞毎に色分けしてほしいとか、叫ぶ所でフォントを大きくしてほしいとか、視覚的なところで注文がついちゃう。 台詞のみでの情景描写は直裁的でテンポがいい分、ずっと続くと疲れちゃうのが原因なのかな? ◆エントリ5 ケモノ道 双 北斗の拳と見せかけて、じつはスレイヤーズだと予想。 ぶっちゃけ、かなーーり読みにくい。行頭空けずに一文ごと改行して書くのなら、『硬貨型チョコレート』みたいに細かくブロックを切ってほしい。でもそうする必要がないお話みたいだから、普通に書いてもいいのでは? あと、一度くらいは読み直した方がいいですよ。絶対、「あ、ここやっぱ違う」って不満、出てきますから。 それからそれから―― ● 『最初に目覚めたのはリーダー格、カイトだった』 これだと、「リーダー格ということは、三人以上のグループなんだな」と思ってしまいます。 ● 『(レーラが)小さくコクンと頷く。 すると近くに置いてあるかばんから……』 これだと、「レーラが鞄に手を伸ばしたんだな」と見えてしまいます。 あと、この後につづく火打ち石は説明も要らないでしょう。むしろ『保存用の生肉』の説明がほしいです。生ハム? ● 『フライパンと……を取り出し、……を取り出し』 『一瞬で冷め切り、不機嫌な表情に変わり』 『その肉をぶらぶらと腰につりながらレーラを肩車しながら』 同じ言い回しや語尾が重なると、なんとなく気になります。……気にしすぎ? ● 『どうやら野盗のようで昔ならでは馬には乗っておらず現代的にバイクにのって騒音やおせじでも上品とはいえないくらいの汚く低い声をカイト達に吐き散らす。』 読みにくいです。 読点もさることながら、「昔ならでは馬に乗っておらず」が意味不明です。 ● 『「オラオラー!!……」 すると腰にかけている……』 「すると」じゃ接続詞が合ってないです。 ● 『レーラを抱え後ろへバックステップ』 前にバックステップはできません。 せっかくカイトの超人的な身体能力を表現できる場なのに、どのくらい跳躍したのかがイメージできません。 少女ひとりを抱えて、見失うほど一瞬に、バイクがものすごく速い速度で走れるほどの距離を、後ろ向きに跳んだわけです。 この小説において、義経の八艘飛び並みにインパクト強大な場面――なんですよね? ● 『「もう、いいよ?」 冷たく冷静に言い放ち』 「?」と「冷たく冷静に言い放ち」がミスマッチです。 「人はパンのみで生きるにあらず?」 って聞きたくなります。 ● 『バイクがカイトの横に来る二歩くらい手前になると素早く足を踏み込み相手の剣よりも早く腹へと深々と右手のパンチを突き刺す』 「足を」は要らないでしょう。 「早く」が重なるのはシツコイかと。あと二番目のは「速く」ですね。 「右手のパンチ」……右足でパンチはできません。 そしてここまで読んで気がついたんですが――野盗って一人だけ? 普通一般に盗賊のイメージは「徒党を組んで獲物を襲う」かと。一人だけならチンピラとかゴロツキとかの方が合っているような。 あと『敵』という表現は安っぽい印象あります。 「野盗が一匹現れた」 「野盗を倒した」 「野盗は肉を落とした」 ……みたいな印象。 いや、それを狙ったのなら成功なんですけど。 ● 『元気を出してみてはいるものの落ち込んでいるタメ声も少し元気がなかったが落ちている肉もまだ食べられると言わんばかりに拾ってゴミだけを手ではらい紐(ひも)にしばって腰につるしていた、どうやら干し肉にするようだ』 これも読点がなくて読みにくいです。というか、文を二つか三つに分けてもいいような。 それから『紐(ひも)』ってフリガナは要らないでしょう。綬だったらフリガナがほしいところだけど、ぶっちゃけqbooksのレイアウトで仮名を振るのは勇気が要ると思う! あとあと、拾った肉はもうすでに焼いてあるんですよね? 干し肉にはなりません。干し肉は生肉を乾燥させて作ります(というか、保存用の肉と言えば、干し肉の方かと)。 さらにそれから、野宿生活のアウトローで、慣れていなかったら吐くほど不味い携帯用食料を食べなれている人間にとって、肉はご馳走なんですよね? 『貧乏性』『落ちた肉でも食べるほうがよっぽどマシ』というのは「あたくし、お肉なんて食べ飽きてますのよ」ってセレブ視点での発言です。前述の『敵』云々と併せて、作り物めいた安っぽさが倍増しちゃってます。 安っぽさという点でもう少し。 生きる目的だとか自由だとか不自由だとか考える余裕があるのは、余裕のある証拠です。 全体を通して、ものすごくファミコン時代のドラクエっぽいです。緑色のマスに立つ勇者が、膝までを隠す草原を掻き分けて歩き、風に混じるすえた獣の匂いに鼻をひくつかせて棍棒を握りなおし、ざわめく風の音に紛れて足元から忍び寄る魔物の足音に反応して棍棒を振り下ろす。握った手から肩へと伝わる、水の詰まった袋を叩き潰したような手応え――とか、伝わってきません。 その理由は、書き手がモニターの前でお菓子を食べながらコントローラー握ってるゲームプレイヤーの視点でしか自作を見ていないからです。ゲームに登場するデータしか用意されていなく、街の人が普段どんなことを喋っているのか、どんなものを食べているのか、どんな仕事しているのか。お風呂に入ったり歯を磨く習慣はあるのか、魔物が村を襲うのは良くあることなのか、徴兵制度はあるのか――とか、「登場しないデータ」を考えてみてください。 ……ここまで読んで、やる気でました? ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 ○推薦作:[3]ジェノヴェーゼ 深詰(霜月) 鶏肉とテレパシー、なんの共通点もなさそうなところに話を持っていく あたりに、深詰さんらしい独特のセンスが光っている。 技術や描写云々といったことは控えさせてもらいますが、一言で言えば「巧い」です。 今回は深く考えず、一通り全部の作品を読んでみて、「ピーン」ときたものに投票しよう、と思ってました。 やっぱりインスピレーションを信じて正解。 久々に良い作品を読ませてもらいました。 ありがとうございました。(桐生) ▽投票者:このバトルへの参加作者 ○推薦作:[3]ジェノヴェーゼ 深詰(霜月) おお、エロい。 面白いです。 ところでジェノヴェーゼってなんじゃ――と、調べると、バジルと松の実のスパゲッティですか、なるほど。 後二作品。たまには。 ・エントリ1 硬貨型チョコレート えーと、シュールとかナンセンス系の話で、下手に突っ込むのは野暮なんですが。 不況だと商品は値下がりします。劇中は好況(インフレーション)です。 五倍だろうが二十倍だろうが、金があるんだから買えば良いのです。老人なら守銭奴傾向に説得力もありますが、青年ではどうにもこうにも。 硬貨を喰える事を発見しただけなのですから、そもそも特許が取れる訳ないです。 紙幣の立場は? と、アラが非常にでかいですが、何だか興味を惹くネタではありました。 ・エントリ5 ケモノ道 まずは初参加ようこそ。 描きたかった(読者に伝えたかった)部分は、盗賊との戦闘シーンの緊張感でしょうか、ヒーローの格好良さでしょうか、ヒロインの可愛らしさでしょうか。その辺を意識すると、書き易くなると思います。 著作人格権を犯すのは少々マナー違反ですが、語る言葉が他にないのでご容赦頂くとして、要するにこんな感じだと読み易く、伝わり易いです。設定やキャラづけが違うとか文句言わないよーに。 −−− 「うん……ふぁああ……」 カイトはあくびまじりに目を開けた。 ツギの当たった――というより、ツギハギのパッチワークのような寝袋から這い出す。 「朝日、か」 僅かな草しかない荒れた大地を、オレンジがかった朝日が染めていく。 「また見られた」 カイトの呟きが聞こえたのか、少し離れた場所で眠っていたレーラが、すっと身体を起こした。 自分より早起きしているのが珍しいのか、レーラはじっとカイトを見つめる。幼さが残るその顔立ちは、カイトの娘とも妹とも言い難い年齢に見えた。 「腹ごしらえしたら、西に向かおうと思うけど、いいかな?」 レーラは小さくこくん、と頷く。 「よしっ」 カイトは寝袋をざっと丸めた後、背負い袋から調理器具一式を取り出した。 コンロを置き、火打ちのローラーを親指で回す。飛び散った火花が、半分炭化した固形燃料に燃え移る。 そこに折りたたみ式のフライパンを火にかける。フライパンに残っていた前の料理の油がじくじく言い出した頃に、防腐加工した生肉を二枚置いた。 「にく?」 「道が険しそうだし、力、つけとかないとね」 じぅ、音が立ち、程なく香ばしい香りが漂い始める。 「おいしそう……」 隣で、手伝うでもなく、座って見ていたレーラが呟く。 「もうすぐ出来るから、待っててね」 言いながら、カイトもごくりと唾をのみこむ。 焼きあがった片面を確認してから、引っくり返す。 また、じゅうじゅうと賑やかな音がし始める。 「……まだ?」 「まだまだ、きちんと焼かないとっ」 じゅうじゅうじゅう……。 「まだ?」 所在なさげに、レーラが背負い袋から出したフォークを握り締めている。 「まだ」 じゅーーー。 「はいっ、出来上がりぃ!」 カイトは弾む声で言いながら、フライパンからひょいと皿に載せる。 「さあっ、冷める前に食べよう」 レーラに皿を手渡し、自分もフォークを取る。 「いただきまーす」 「いただきます」 その時。 どどどどどどどどどどどだどだどだどだ……。 けたたましいエンジン音が聞こえて来た。 肉をくわえようと口を開けたまま、カイトとレーラは音の方を見る。 「オラオラァ!」 錆の塊のようなバイクにまたがった大柄な男が、身の丈ほどもある剣を振り上げながら突進し て来た。 「持ち物全部置いて行けゴラァ!」 男はカイトとすれ違いざまに剣をふり抜いた。 先史の合金製の剣の切っ先が岩を砕く。 だが、バックステップで下がったカイトに、剣は僅かに当たらない。 「手向かいすると、許さねえぞゴルアァ!!」 大柄な男は、派手に土埃を上げながら鋭くドリフトターンし、剣を横に真っ直ぐ伸ばして構える。剣の長さを充分に使っている為、バックステップや足さばき程度の移動距離ではまず逃げられない。 「死ねやああああっ!」 剣の刃先がカイトに触れそうになった瞬間。 「もういいよ」 カイトは一歩足を出した。 剣の外ではなく、内側に。 ほとんど同時に繰り出された掌底が。 男の胸板を捉えた。 男はそのまま二回転半して地面に落ち、主を失ったバイクはそのまま走って、随分先の方で横転、炎上した。 「やれやれ」 カイトは肩を回しながら、目を回している男の手から剣を取る。 「ロストメタル製か」 昇り始めた日の光を受け、剣は光る。 「悪くないな……後はなんか金目のもの」 「……う」 「なんだ、生きてたのか」 「こ、殺せ」 「言われなくてもそのつもりだよ」 カイトは剣をふり上げる。 「うわーーー、ま、待て、待て! 早まるな、いいこと教えるいいこと!!」 「あん?」 「あんたら、西へ行くんだろう?」 「いーや、東へ行く」 「ま、まあ、いいや、んで、西の大陸で、先史文明の大遺跡が見つかったんだよ。西の聖都じゃあ、発掘だの護衛だので人手不足だってよ」 「先史……」 「あんたら、名のある盗賊だろ? 護衛が少ない今のうちに襲えばガッポリと」 がーーーーん! 甲高い音と共に、男の頭がひっぱたかれた。 レーラが、フライパンを持って、男を睨み付けている。 「おい、レーラ、ちょっと興味のある話――」 かーーん、かーーーん、かーーーん!! 「うわっ、いてっ、まてっ、おいっ!」 男へのフライパンの連打が続く。 「その辺にしときなって、レーラ」 「にく!!」 「え?」 カイトが振り向くと、バイクの轍がしっかりと肉を踏み潰していた。 「にくうううううう!」 「ちょっと、止めて、やめっ、いたい、マジいたいっ、おにーさん、ちょいと、この娘止めて っ」 「んー、これは同情できないなぁ」 「そんなぁあああ」 「にく……」 苦い粉薬をのむような顔で、レーラは灰色の携帯食を口に運ぶ。 「まあ、干せばどうにかなるな」 同じく苦い顔で携帯食をもぐもぐやりながら、カイトは潰れた肉から砂を払って布袋に入れ、背負い袋にくくり付ける。 「干す?」 「洗える水もないしね」 レーラは眉間にシワを寄せながら、携帯食をのみこんだ。 「じゃ、出発が遅くなったけど、行こうか」 「……ん」 二人は西に向け、歩き始める。 「あの……せめて縄、解いて行ってくれません?」 岩に縛りつけられた男がおずおずと言う。 「どうする、レーラ?」 レーラは親指で首を掻っ切るジェスチャーをする。 「ひいぃっ!」 「……冗談」 「OK。じゃあ解いてやるから、東へ真っ直ぐ走れ。振り向いたら、分かってるね?」 「もちろんですっ、はい」 カイトが男から取り上げた剣を一閃すると、はらりと縄は切れ落ちた。 「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 悲鳴ともなんとも付かない声を上げながら、男は地平線の向こうまで走って逃げて行った。 「……西の大陸か」 歩き始める。 「平和なとこかなぁ」 「違ったら、別のとこ」 「そうだね。まあ、少々楽しそうでもあるし」 土埃混じりの風が吹き抜け、二人の足跡を消して行った。 ▽投票者:このバトルへの参加作者 ○推薦作:[4]ジャンク屋――超訳「道具屋」 ごんぱち さすがです。 この会話文だけでも十分なくらいに頭の中で想像することができ、楽しく読むことが出来ました。 やっぱり上手い人は上手いものですね(笑) 自分はまだまだなのですが、これから3000字に投稿しますのでよろしくお願いします。 正直今までの作品見てたら勝てる自身がなくなったのですが・・・(苦笑 それでは〜 ▽投票者:このバトルへの参加作者 ○推薦作:[4]ジャンク屋――超訳「道具屋」 ごんぱち テンポ良く、落ちもおもしろくて笑えた。 脇のばあさんに声をかけたり、客に「来たな、バカ」と言うあたり、落語のリズム感そのままで、噺家に一席やらせて聞いてみたい気がする。 ▽投票者:その他の作者 ○推薦作:[1]硬貨型チョコレート 桐生遥歌 なんかもー、突っ込みどころおおくてしょーもねーなー。もっと検証しろよー、とか思いながら読んでいましたが、最後の一行でなんだか切ない気持ちになりました。 本質を捉えています。どんな逸話があろうと、社会の先生はなんか小粋なことを言おうとして失敗し、そんな先生の努力も、生徒は聞いちゃあいないのです。これでしょう、これ。 と、「ケモノ道」の人は感想が欲しそうなので書く。 結局本作、アニメや映画でやっていることを文章に並べ替えているようにしか見えません。「小説」に挑むのであれば、小説にしか出来ないこと、っちゅうものを、自分なりに考えてみたらどうじゃろうねぇ。 まぁ、興味の沸いたものだけで良いので、読んでみたらどうかと。(M) ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 ○推薦作:[2]憑依体験(実話) のぼりん 「3000字」で、オリジナルの「小説」バトルだとしたら、こういう結果になるのではないかと思う。 ラスト、意図的なものかどうかはわからないけれど、息切れせずに最後までブチ切れてしまった方が良かったんじゃないだろうか。 ▽投票者:このバトルへの参加作者 |