500字挿し話バトル
  挿し絵を彩る挿し話 500字のメッセージ。

第5回 500字挿し話バトル

  • 小説・詩・随筆など形式は自由です。
  • 投稿締め切り: 2011年 4月30日(終了しました)
  • 投票の受付:  2011年 5月 7日
  • 投票締め切り: 2011年 5月31日(終了しました)

結果発表ページ


課題絵(クリックで拡大します) 課題絵
(Illustration: 塔南光器)

千早丸
灯台木馬

 目の前にライオンがいた。
 タテガミの短い雄で、まだ若いのか痩せて、座り込んでいる。よく見ると左前脚がない。千切れたか腐ったか、傷口が痛々しい。
 でも変だ、色がない。ライオンと分かるし、状態も仔細に見えるのに、周囲の闇に溶け込みそうで、荒く吐く白い息だけが自己主張していた。
 それにもっと変だ。ライオンの前にいて怖がりもせず、同じ白い息を吐くのに寒くなく、暗闇なのに見えていて、そもそも此処は何処だ?
 蹲るライオンは僕に興味がないらしく、一点を見据え、視線の先に光る木馬が揺れていた。リアルなライオンに比べ、漫画的な眺め。
 と、ライオンが立ち上がる。痛ましい傷なのに、跳ね返すような意思が漲り、光る木馬に背を向けた。三本足はしっかと地を踏んで、闇に向かい進むライオンは最後に色を取り戻し、消えた。
 僕は木馬へ向き直る。吐き出される息が霧のようで、光る木馬はただ揺れている。
 ああ、そうか。
 ここが、ヘリだ。
 この白い息を超えて、木馬に近付けば……
 普通は花畑や川とかが定番じゃないか。分かりにくい。
 僕は自虐的に笑って、溜息をつく。悠長に迷ったが、つまり決めてるってコトで。

 僕はもう一度木馬を見た。




ネコとライオン

「命って何色?」
 気難しい彼女が、またロクでもない質問を投げた。
 そこは日常のリビングで、TVの幼児向け番組を見ていた。成人男性の俺は興味ないが、チャンネル権は彼女にある。以前に勝手に変えて、三日も無視される生活はコリた。
 番組はサバンナの動物について。場面は雄ライオンがシマウマを狙い茂みに伏せ、タイミングを計っていた。彼女も興味なさそうに、もう転寝するかと思っていたが、この複雑怪奇な脳味噌は突飛な連想で疑問にたどり着く。
 ソファで本を読んでいた俺の脚に寄りかかり、床に座る彼女は、しかしご機嫌斜めに「何色?」ジト目で再度聞く。
 無難な「血の赤とか」答えにヒネクレ猫は納得しないし、なんで毎回面倒な問答になるのかと、もう一度TVを見る。
 そういや雄が狩りをするのは珍しい。若いし、安全な群れから追い出され、初めての狩りか。腹が減って食べたくて、でも画面のシマウマは逃げた。
「光、かな」
 色じゃなく、イメージ。切望するモノ、命の力。
 彼女は「ふぅん」目を細め、俺の脚に抱きつく。胸が当たる、胸が!
「あったかいね」
 猫のようにすり付く彼女から目を逸らし、と、すぐ「鈍感」不機嫌に。
 本当に、気難しい。




 ここが王の最期の地。なにもない、墓すらない。彼は王として、国の生贄になったのです。この寂しい街の外れで。

 出会ったのは、彼が王に即位したばかりの頃でした。若い王は生まれながらにして王位を継ぐ運命だったのです。だからでしょうか、王は吟遊詩人に憧れていました。そんな時に私がこの国を訪れたのです。


 王宮に招かれ、芸術や神話、他の国の文化、風習など様々なことを語り合いました。
 王は吟遊詩人の端くれである私から見ても、詩と旅に対する素晴らしい情熱を持っていました。そばに控えている大臣が露骨に眉を顰めるほどに。

 王が即位する前から、この国の政情は危うくなっていました。王がどう努力しても立て直すことは不可能だったでしょう。
 大臣達は王を生贄として民衆に差し出し、王政から議会政へとの革命を密かに謀っていたのです。

 私は一緒に逃げようと言いました。
 彼は首を横に振りました。
「王として生き、死ぬことまでが私の役目。この国が生まれ変わるため私の命が必要なのだよ」

 でも、最後に微笑みながらぽつりと言われました。
「心は私だけのもの。心は野生馬のように大地を駆けよう」

 王、今はどのあたりを駆けておいでですか。





石川順一

 武満徹作曲の曲で「エクイノックス」と言う名前の曲があったと思う。
 私はタイトルしか知らないのだが、ラテン語で「馬」と言う意味のあるその曲のタイトルに惹かれたのを覚えて居る
 13歳の中学一年生の時だ。学校の合唱コンクールで我々のクラスは「馬」と言うタイトルでは無かったと思うが、馬の疾走が印象的な自由曲を歌った事があったのをおぼろげながら思い出した。
 リトルワールドで馬を見た時は初めて馬を見たと思った。そう思わざるを得ないほど馬の大きさに圧倒された。実は小さい時に大島で馬に祖母と乗った写真が残って居るのだが、小さすぎて記憶に残って居ない。
 馬に関しては「派出所」と言う漫画で主人公の両さんが馬主になる話があって馬が騎手を落下させて、2足歩行でゴールする場面が面白すぎてクロッキー帳に模写した記憶があって、発想が幼稚だが馬の自意識と言う事について真剣に考えた事もあった。
 馬と言えば音の類似からどうしても水の通路として使用するホースと混同して仕舞いがちだし、実際ウマウマウマと考えて居るとよくホースから出る水に再開する。しかし実際はhose(ホウズ)とhorse(ホース)で全く別物だ。