第4回 チャンピオン of チャンピオン
小説部門



   結果発表

 小説部門のチャンピオン作品は、中川きよみさん「miss you」、ながしろばんりさん「逸品」、蛮人S「お熱の国へ」の3作品となりました。おめでとうございます。
(2004/8/5)
エントリ作品作者得票
1miss you中川きよみ4
7逸品ながしろばんり4
11お熱の国へ蛮人S4
8掃除機越冬こあら2
9立花聡2
6いっぱいのかけそばるるるぶ☆どっぐちゃん1


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。


推薦作品と感想

miss you  中川きよみさん
 
感想:蛮人Sさんの「お熱の国へ」にしようか迷った。
「お熱の国へ」は題材が素晴らしく、不思議な世界に遊ぶ事が出来たのだが、辻褄を合わせようとする不必要な力を感じてしまって、興醒めだった。

中川きよみさんの「miss you」は、物語の自然な流れが魅力的だった。
私も吹奏楽部の部長だったということもこの作品に惹きつけられた大きな理由だ。
とにかくカモちゃんが悲しい。
票者:このバトルへの参加作者



感想:中川さんの本作を是非、推します。納豆くさいベタついた、醜悪な(でも美味しそうと思うワタクシはきっと悪食!)ミートソースのスパゲティ。さようなら、カモちゃん。ごめんね、もう世の中にあなたがいないコト、ちっとも知らなかったなんて。ごめん、ごめん。ごめんね。下手くそなフルートのピッチの狂った『over the rainbow』が、作品を読み終わっても鳴り止まず、涙がボロボロこぼれました。

中川さんの作品が好きだな、といつも思うのは、登場人物が、絶対きっとワタクシの知らない場所でだけど、生きていて、もしやしたらいつか、何処かですれ違うやも知れない、なんて思わせる、ヒトが生きている、息づいている処。中川さんの作品を拝見していて、語彙の選び方や、取り上げられる題材、作品世界を取り巻く小道具他の構成物を取ってみても、きっと生き方も、日々の過ごし方も、趣味も全然ワタクシとは異なるんだろうな、と常日頃思うのですが、好きだな、と思う。まるで全く共通する話題がないハズなのに、何故かいつも気づくと一緒に居る、何時間いても苦痛にならない、積年の友人と会話している、そんな気持ちになる。

今回、詩人部門も含めて、中川さんの作品が一等好きでした。タイトルが違ったらもっと好きだったです。これからも、ずっと楽しみに拝見したいと存じます。(詩人部門:エントリ7「リリック」佐藤yuupopic)
票者:このバトルへの参加作者


感想:いろんな意味で悲しい。しかし何が一番悲しいかというと仲が良かった友達の死を半年も過ぎてから知ったことだろう。家計簿をつける姿といい、行間に主人公の文字には書かれていない生い立ちが垣間見える。「悲しい」と一言で言うとなんかネガティブなイメージだけどいい作品だと思う。
票者:このバトルへの参加作者



感想:「いっぱいのかけそば」と悩み、こちら。
「かけそば……」は素直に笑った。「やうやう白くなりゆくかけそばは」って面白い。ただ、なんというか、面白さに一直線が感じられないというか、試食をもぐもぐ駆け回るというか、物足りなく後に腹に残るものがあまりなかったのが残念。でも面白かった、ありがとう。
「miss you」は、納豆スパゲッティの映像がものすごくて。しかも、それで和んでしまう空間というのが、なにか私が忘れてしまった空間を思い起こさせてよい。ただ最後の二行は幾分唐突な感が否めない。改行多さは、ネットという媒体を考えてのことかもしれないが読みにくい。あ、でも「高音を伸ばす途中で必ずピッチが下がるので気持ち悪いと言ったらなかった」もしくは「鈍痛」としての流れ?
票者:このバトルへの参加作者


逸品  ながしろばんりさん
 
感想:「いっぱいのかけそば」と「逸品」で悩み、結局「小説」としての正統性といった曖昧なもので選びました。
どれもおもしろかったので選びにくかったです。
票者:このバトルへの参加作者



感想:末尾の一行がなければ、間違いなく駄作になったでしょう。
長吉も千社札を剥がすまではしたけれど、鬼瓦を引っ込めることはしなかった。その優柔をついて、神は鬼瓦を割ってしまった。
小悪魔的に動く猫が、神の手足となって使われたところが面白いです。見事に完結した短編。
票者:その他のQBOOKS作者



感想:流石にチャンピオン達の作品だけあって、悩みに悩みました。もうサイコロ振って決めようかと思ったくらいです。みーんな面白いんだもん。優越が付けられない。とはいえ、該当者無しという訳にもいかないんで、私の中で最後までどうしようか悩んだ結果。こあらさんの家電親子と鬼瓦の二人対決となりました。こあらさんの作品は今までと同じ路線で勝負に対し、今までお笑い風作品が多かったばんりさんの冒険的な作品にします。

票者:このバトルへの参加作者



感想:もう四回目。過剰な期待をするのはもうやめました。今回は、まあ全体的に良かったんじゃあないですかね。平均77点くらいで。ながしろさんが82点で優勝です。おめでとう。
票者:このバトルへの参加作者



お熱の国へ  蛮人Sさん
 
感想:「家庭教師は女子大生」太郎丸
・相変わらず、アホやなあ(褒め言葉です)、太郎丸さん。
で、こいつ、何の免許取るつもりだ? SEXに免許はいらんぞ。要るのは愛だけ。
免許なしでもSEXはできるけど、愛なしでSEXしたら、そりゃただの交尾だからな。

「縁の下」紺野なつ
・ええハナシやなあ。油絵の上に水彩画描いたみたいなところがちょっとイヤだけど。

「いっぱいのかけそば」るるるぶ☆どっぐちゃん
・おもろい、おもろい。こういうのって、なんていうんだっけ? こう、みんなが知ってるような有名な場面で、肝心なものをとんでもないものに置き換える手法って? シュールな四コママンガとかでよくあるやつ。

「逸品」ながしろばんり
・いいねえ、落語の世界みたいでさあ。作者の「視線」が浮ついてない感じがいつもいいよなあ。

「掃除機」越冬こあら
・いつもながらの、ショートショートはこう書けって感じだよな。QBOOKSの王道。

「お熱の国へ」蛮人S
・こりゃいい! 今回はこれだろう。
ただ、しかし、ひとつ気に入らないところがある。
最後の方の
【布団はベッドではなく、畳に敷かれていた。
冷たい、たぷたぷと弾力のある大きなゴムの水枕が、運動場のように広がって見え、その向こうにお盆が置かれ、先刻の薬がある。
いちごミルクを思わすピンクの(でもあまり美味しくないと私は知っている)水薬のガラス瓶に、小さな紙が輪ゴムで付けられ、
(のみぐすり ゆきちゃん 1日3回)とあった。 】
の語り手は誰だ? 【私は知っている】となっているから、語り手は、「綾ちゃん」か「ゆきちゃん(ママ)」なんだろう。どっちでもいいというか、どっちだか分からないというか、どっちででもあるということなんだろう。だったら、【先刻】は気に入らない。いっそのこと【先刻】は取っ払った方がいい。いや、待て。あった方がいいのか。【先刻】があるから、「綾ちゃん」と「ゆきちゃん(ママ)」との意識(というか語り)が二枚重ねになって、最後に繋がるのか。じゃあ、どうしよう。
【布団はベッドではなく…】からの一連のくだりで、語り手が「綾ちゃん」から「ゆきちゃん(ママ)」に、二重写し的に入れ替わり、段落を変えた次の【(ゆきちゃん) そう、私はそう呼ばれていた】で、語り手は、完全に「ゆきちゃん(ママ)」になる。そうすると、その途中の、語り手が「綾ちゃん」のようでもあり、「ゆきちゃん」のようでもある段階の一連のくだりに出てくる言葉の中で【先刻】だけが、なんか、自転車に乗ってて道に転がったデカイ石に乗り上げたみたいな感じがしてしょうがない。【布団はベッドではなく…】からの一連のくだりで、この【先刻】だけが、ゴツンとしてる。この【先刻】がなかったら、うかうかと、まだ「綾ちゃん」が語り手なんだなと思って読み進んで行って、そのあとに来る【(ゆきちゃん) そう、私はそう呼ばれていた】で、「あっ」となったはずだ。けど、先に【先刻】があるんで、読んでる方は、「あ、これ、語り手が変わったぞ」と割とはっきり分かってしまう。【先刻】がなくても、あとで読み返せば、語り手が変わってるのは分かるんだけど、そういう分かり方とは違う。【先刻】のせいで、先にオチ言っちゃってるよ的な、服の袖に隠してあったハトの頭がちょっと見えてたよ的な分かり方になってしまっている。だから【先刻】みたいな、言葉の方が語り手を選ぶような言葉じゃなくて、「さっきもらってきた」とかの、誰が使っても不自然じゃない言葉にしたほうが、そのあとに続く【(ゆきちゃん) そう、私はそう呼ばれていた】の効果が、より強く出せたはずだ。というか、オレはその方が「気持ちがいい」。【先刻】なんて言葉は、小さい子はまあ使わないから、【先刻】が出た時点で、語り手はもう「綾ちゃん」じゃありませんって宣言してるのと同じになってるんだよな。とかなんとか書いたけど、今回の中ではこの「お熱の国へ」がダントツで好きだなあ。他は全部周回遅れみたいな感じで一等だ。

というわけで、今回は蛮人Sさんの「お熱の国へ」が一番でしょう。

(アナトー)
票者:その他のQBOOKS作者



感想:子供の頃に熱出した時の事を思い出しました。あの頃は熱が出てもなんだか楽しいんですよね。水枕してもらえるとか、アイスクリーム食べさせてもらえるとか。
票者:このバトルへの参加作者



感想:可愛い感じがする。
どの作品もそれぞれ良くて、好きだったので好みで選びました。
鬼瓦も、かけそばもすきだったんですけど
可愛い女の子すきなんでこっちで。
票者:このバトルへの参加作者



感想:風邪ひいたときのぽやぽやした感覚の文章が心地よかったです。
かる〜く悩んで、これかな?って感じで一票〜。
票者:このバトルへの参加作者



掃除機  越冬こあらさん
 
感想:面白い!ラストに1000字の巧さを感じます。冷蔵庫とラジオ付電子レンジの放蕩息子が掃除機で、BGMが邦楽ってのも、粋ですね。何だかハナっから父親の威厳、ないなぁ……
票者:このバトルへの参加作者



感想:異様に面白かった。
それに、こんな風に書けるって、すごいな、って
心底から思った。
だから、投票します!
票者:このバトルへの参加作者



蛍  立花聡さん
 
感想: 今回、個人的な事情から全感想を差し控えております。いや、精神的に荒んでるな、というわけで、書くものが悪口雑言モードじゃあまずかんべぇ、という精一杯の配慮です。申し訳ない。
 でも、今回のCoCは面白かったのかな。CoCなのに情けない、という感想票が一つや二つある気がする。というのも、全体的な印象として、どうも何かしらの手落ちが目立つのです。各作品とも、ですね。
・蛮人S(~Q~)「お熱の国へ」→そつなく書き上げてはいると思うけれども、結局、話の型のアーキタイプ以上ではない。どうも、無難な線で小さくまとまってしまったので「これでいいのか!」と問うてみたい。
・るるるぶ☆どっくちゃん「いっぱいのかけそば」→面白かった。イメージのインパクトにしても格別で、普通ならこれに入れるのだろうけれども。でも、この小説を許してしまうと、極論100字×10本でも1000字小説、になってしまう。全体を通す関連性なんざあとからでもつけられるので、これに投票するわけにはいかないのである。個人的には選考対象外。
 でまぁ、投票先は立花聡「螢」であります。最後の締め方なんざ余韻も何もあったものでは無いけれども、あえて余情を否定した、という読みかたをしよう。踏んだホタルの死骸なぞ、指で弾こうったってそううまくはいかないだろうのに、そこに却って作者の意志を感じるのである。(M)
票者:このバトルへの参加作者



感想: この美しさと儚さの同居。蛍は決して夜を彩るために光っているわけではない。子孫を残すための生命の営みなのである。それを主人公が意図せず叩き落した結果、親子連れたちの営みの結果にして無垢な少女に踏み潰される様には、江戸の「無惨」の絵に通じる痛みがあると思う。寡黙な主人公の感情の流れを、淡々と抑えた文章が支えている。

票者:このバトルへの参加作者



いっぱいのかけそば  るるるぶ☆どっぐちゃんさん
 
感想:この作品が一等賞になっていいのだろうか?
なるべきではない、という気がする。
でも、一番、これが好きだったので。
票者:このバトルへの参加作者




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