第10回乱取バトル詩人部門

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07   セックスと料理に関する小説と詩
石川順一

「次に詩(セックスと料理に関する)」
 
工員のストリップショーは
自らの右手を襲撃して
あっと言う間に終わった
10月19日のスーパーの駐車場で
車の扉が閉まると同時に
リヨンはレアルマドリードの傲慢さが
許せなかった
のか
セックスしても許せなかった
のか

図書館の二階右へ左へ予測のつかない
動きをしながら
おまえは本当に切ない
人形とのセックスを
して居る

リヨンは工員服を着てはいけなかった
おじきの花村千月から厳しいお達しが
スキンヘッドでデラゴンズの優勝パレードにも来て居た
千月は目が異常に光った
光った眼でセックスするおじきは最高にかっこいい

工員服でスーパーに来ていたチョロは
建築現場では必ず目に付いたゴミを拾い
乞食と罵られながらも拾い
美化コンクールで優勝しても拾い
豊臣秀吉の夭折した息子の名前が
お拾いと言う名前でも拾い
とうとうセックスまで拾って仕舞った
カップヌードルを食べながらセックスするのが
この工員のささやかな唯一の楽しみであった
残った汁に御飯を入れて作ったおじやは
おこげのこおばしい風味と共に
工員の心を温めたの
だろうか
 
ゴビ砂漠に居ると工員は自分の心を炒めた
工員は自分の心を料理してセックスへと導いた
 グレイの女とキスをして
 グレイの女とまぐわえば
 グレイはあまりにひとときの
 樽を蹴飛ばす女なり
 料理は歌舞伎の五人盛り
 岩をも砕くフルコース
 信じられないアップルの
 正解集めたフルコース
工員は無性に電子メールがしたくなってセックスを止めた