第10回乱取バトル小説部門

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05   セックス屋
ごんぱち

「ども……セックス屋ってここですか?」
「はい、各種取り揃えております」
「えーと、このケータイ小説セックスというと……?」
「中高生が憧れるセックスです」
「へえ?」
「堕ろしたり死んだりDVだったりしますが、最終的には幸せになります。その人の中では」
「嫌だな、なんか嫌だな、それは! おっ、AVセックスってあるじゃないか。げひひ」
「AVセックスですか……あんまりお薦めしませんが」
「何でだよ、AV女優とのセックスなんて、雑誌の後ろの方の出会い系広告とかでは理想のシチュエーションじゃないか」
「イッちゃった人の嗜好ですよ。陰茎にコンデンサを突き刺したり、真空管をしゃぶったり、鼻からダイオード出し入れしたり」
「そっちかよ! そっちのAVかよ!」
「こちらのエロマンガセックスなら、どんなサエナイ君でも大丈夫かも知れませんね」
「サエナイ君って、昭和の響きだな……でもまあ悪くないな、うむ」
「あー、ダメだ」
「なんだよ?」
「ほら、柱の影から」
「……亜グネスさんが監視してる」
「ハリウッドセックスつったら」
「胸毛が立派になります」
「古いな……どこのショーンコネリーだよ」
「音楽セックスだと、当然、ドラッグとロックンロールが付いて来ます」
「捕まっちゃうよ! 亜グネスどころじゃないよ!」
「自分の思い通りにしたいなら、エロゲセックスがありますが」
「どういうこった?」
「自分の選択次第で、様々な相手やシチュエーションでセックスが出来ます」
「それって普通の事って気もしなくはないけど」
「とんでもない。現実だと、セリフを一つ間違えたぐらいでは何も変わりませんが、この場合首を切られたり、恐怖の大王が降って来たり、男の娘としてカマを掘られたりします」
「嫌だよ! そんなヤバいの! セーブポイントもないのに、生き残れないよ!」
「ダメですか」
「ダメだよ。んーと、この人生セックスっていうのは、何なの?」
「ヒトデ好きの――」
「それは貴様にとって人生なだけだ!」
「分かるあなたも同類項」
「やかましい!」

「――ただいま、蒲田」
「おう、四谷、遅かったな、良いコークスは買えたか?」
「コークス? あれ? セックス……じゃなかったっけ?」
「おいおい、本格まる鍋を作るのに、高火力が必要だからコークスを買って来てって、ちゃんと言ったろが」
「そ……そっか、うっかりしてた、すぐに買い直して来る」
「あー、待て」
「なに」
「その本は置いといて良いよ、うん」