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第51回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1S A I双破無我瑠79
2春が来た麻倉未羽119
3HOSPITAL香月朔夜91
4にほん軍にはいろう〜追悼・高田渡〜ながしろばんり373
5宇宙影法師385
6Чистый 【穢れなき】望月 迴138
7幸福の正体ヨケマキル458
8ルール藤原 けゐこ214
9孤独有機機械310
10海を見に行く日大覚アキラ168
11淋漓ぼんより267
12生まれようと欲する者は納谷美 十三460
13空を見上げて岸野 雅也303
14ほねのうた岡崎龍夫483
15チリ紙とパラレリア歌羽深空506
16彼岸箱根山険太郎71
17顔無き罪早透 影331
18S.B.O.L.イグチユウイチ256
19ラパンク影山影司672
20路上で佐藤yuupopic868
 
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エントリ1  S A I   双破無我瑠


 何もする気が起きないのは
 やる気を誰かに拒絶されたから

 何もする気が起きないのは
 やる気を誰かに否定されたから

 だから
 今日も一日

 日永に過ごすあたしがいる





エントリ2  春が来た   麻倉未羽


春が来た

春が来た

風を乗せて やって来た


春が来た

春が来た

花を咲かせに やって来た


春が来た

春が来た

別れを交えて やって来た


春が来た

春が来た

出逢いを捧げに やって来た


花が散る 草が啼く

愛が咲く 風が吹く

雪が止む 粉が降る



・・・僕は 今日も 生きている・・・

作者付記:花粉症に泣かされてます;;





エントリ3  HOSPITAL    香月朔夜


現代社会は病が蔓延

濁った眼球
弱った瞳
腐った手足
狂った世界

ウイルス名は『諦念感』

進行は誰に求められない

緩和するのは幻覚剤

「テレビ」に「音楽」「ファンタジー」

あなたに合うのはどれかしら?







エントリ4  にほん軍にはいろう〜追悼・高田渡〜
   ながしろばんり


お集まりの皆様方は
日の本のいい人ですんで
昔の女が騒いだところで
頷くばかりで、偉うございます
そんなつつしまやかな皆様のために
今日は日本軍への入隊をオススメに上がりました
日本はお米の国ですんで
尊称として「米軍」とでも呼びましょうか

米(にほん)軍にはいろう はいろう はいろう
米(にほん)軍にはいろう はいろう はいろう
男の人も 女の人も
米(にほん)軍に入って 華散る

にほん軍に御入隊の方には
特典としてもれなく
中近東へのツアーパックがついてきます
雨の変わりに鉄弾が降ったり
水の代わりに重油が飲めたり
日本じゃ想像できないような
貴重な体験でダイエットにも効果てきめん

米(にほん)軍にはいろう はいろう はいろう
米(にほん)軍にはいろう はいろう はいろう
アジアの極の 米国だから
米(にほん)軍に入って 華散る





エントリ5  宇宙    影法師


何故、人は宇宙を見上げるのだろう
まだ、「そこ」には行ったことが無いから
それとも、人は「そこ」からやってきたから

しかし、青空によって宇宙は隠される
まるで、干渉を排除するかのように
けれども、人は技術によって宇宙に上がった
 飽くなき探求を求めて
 未知の大地という幻想を抱いたまま

何故、宇宙の果てをしろうとするのだろう
知ったところでどうなるのか
辿り着いたところで何があるのか
 自然を開拓し生命を弄び
 自らの存亡の危機すら迎えたというのに

それでも人は宇宙を知ろうとする
まるで
ここには宇宙が存在していないかのように

 この地球もまた宇宙
 この青空もまた宇宙
 この大地もまた宇宙
 この大海もまた宇宙
 この木々もまた宇宙
 この動物もまた宇宙
 この皮膚もまた宇宙
 この指先もまた宇宙

そう
宇宙は我らの中に溢れている

身体に刻まれたすべての記憶こそ宇宙のすべて
すべては「ここ」から始まっているのだ







エントリ6  Чистый 【穢れなき】   望月 迴


無垢な瞳で見つめた先は

何処までも深い陰鬱な闇

あまりに穢れない硝子の様な其れは

純粋すぎる漆黒にすぐ融ける



呑み込んだ罪の香り

いとおしく馨しい

紅に染まり行く空は

狂気を彩る味がする



美しく燃える夢を見て

手の中に灯した熱は

帯びてゆく 帯びてゆく

赤と黒の交じり合う

愛 響動もする 恍惚の日々





エントリ7  幸福の正体   ヨケマキル


私はアルバイトの面接で昔の女と再会した
話が弾み彼女が一人暮らしをしているアパートへ行った
テレビもパソコンも無い質素な部屋
私達は気分が盛り上がり再び関係をもった

その日の夜彼女の母親がいきなり部屋に入ってきて
「あなたなんのつもり?」と私に詰め寄った
「この娘には離婚したカメラマンをしてる夫がいて
 そいつがちょくちょくお金を取りにここへ来るのよ
 そういうの平気なの?」と言ったので
「引っ越せばいいさ」と言うと
「それもそうね」と言った

3人で母親の持って来た高級なウニをつまみに酒を飲んだ
母親の方もなかなかいいなと思ったし誘われているような気もした

私は幸福だった

次の日の朝荷物をとりに家に帰った
妻が死んでいたので着替えを鞄に詰め
また彼女のアパートに向かった

曲がり角で適当に曲がって行くと
巨大な倒れた塔の前に出たり
動物の死骸を見たりした

途中4人の若者が路上で生き物の真似をしていて
「あなたも一緒にやりませんか?」
というので1時間ほど仲間に入り
みんなでかけっこをしたりして楽しんだ

彼女のアパートへの道順がどうしても思い出せずにいた






エントリ8  ルール    藤原 けゐこ


1+1=2。
教えてくれたのはせんせい。
「あかいりんご一つとあおいりんご一つ。あわせていくつ?」
「二つです。」
元気に答えたあのころの私。

1+1=コタエガナイ
知ったのはいつだったろう。
善悪にさえ答えはないと知ったとき、
自分が広大な宇宙のチリになったように思えた。

1+1=1。
教えてくれたのはあなた。
あなたとは二人で一つのような気がする。
でもときどきこたえがかわるの。
ただ、一人の時ほど不安じゃない。
あなたというルールに縛られたから。






エントリ9  孤独    有機機械


自分は孤独だと感じていた

誰にも必要とされず毎晩暗い部屋で震え

街ですれ違う恋人達を羨んだ

寂しさに耐えきれず他人を傷つけ自分を損なっていった

青春時代は恋愛が最高の人生勉強だと誰かが言ったが

僕はこのまま悪循環を繰り返し

大人になりきれずに一人で生きていかなければならないんだと諦めていた

でも僕の求める幸せは突然やってきた

あの長い冬に震えていた僕を馬鹿にするように

その春はあっと言う間に僕の生活と僕自身を塗り替えた

僕はこれこそ僕の本当の人生と僕の本当の姿だと思った

でも一方で

僕は孤独によって研ぎ澄まされてきた僕の中の何かが鈍っていくのを感じていた

僕はその何かを失いたくなかった

そうしてやっぱり僕は一人ぼっちで生きていくことになった






エントリ10  海を見に行く日    大覚アキラ


約束のすべてに
火を放って
いま

ゼロに向かって
光の速さで遡っていく
裏切り者を乗せた
クリーム色の機械が
淫らな静謐の中
波ひとつ立てず
貫くように音もなく
飛ぶ

やがて
海が見えるだろう

潮の匂い
遠い記憶の中の
夏の日の水色
よみがえる
あの波音
まどろみの午後

そうさ

たとえば
世界中の海が
目隠しされた鳩たちの涙で
できているとしても

燃えろ
燃え尽きてしまえ
すべての約束





エントリ11  淋漓     ぼんより


空間
硝子がきらきらひかる
粉塵になって 
ただ固唾をのむ 眼差しは遠くて近い
ノドだけが音を知っている

押し殺す ひたすらに押し殺す
震える 歓喜と怯え 睫毛はすでに雪化粧
ノドだけが意志をもっている

揺れない どれだけ姿勢が悪くても
こんなにか細い体でも
不思議と傷つかない いや折れない
ノドだけが攻めている

悪魔の瞳 泡沫の夢
惹かれていく そこはかとなく惹かれていく
背中には零度の水
ノドだけが情熱を帯びている

そして空気が張り詰めた
おもむろに優しく歪みはじめて
ささやかで冷血な時間のすべてが終着する
もうノドは何もできない
できない
できない

それは数秒の世界








エントリ12  生まれようと欲する者は    納谷美 十三


慢性的に続く寝不足は体力と思考力を奪い
やる気を削ぎながら少しづつ精神を蝕む
こんな生活を続けていたら、駄目になってしまう
何が?
何が、何が、何が
何が駄目になってしまうのだ
もう少しで心の抵抗力が無くなろうとした時
始めて私は理解する


生まれなければ
脱皮しなければ
生を受けなければ

地表の生物達はまだ理解していない
小さな地面にへばりつき
短い生を往き逝き生きて行く
かりそめの幸せを求め彷徨っている

それが本当の姿なのか?
それが幸せなのか?

本当の目的は生まれるためなのに
今の姿は生まれる前の姿なのに
それを地表の生物達は理解していない


私は変身する
生まれるために、生きるために

地中に向かった私はマグマとひとつになる
そして私は地球を破壊する
始めは二つに、そして四つに、八つに地球を分けていく
細かく細かく分裂し
繰り返し、繰り返す
そして私(地球)は別のものへと変わっていく

いつの間にか現れた臍の緒はどこに繋がっているのか
宇宙は羊水
太陽系はすぐ私に退かされ、銀河系も変形する
暗闇の中を漂う胎児は、どこへ行くのか

そうして宇宙は破壊され、ワタシが生まれる





エントリ13  空を見上げて    岸野 雅也


星のまたたく夜に 僕は歌う 誰もいないステージで

流れ星 一瞬だけれど それは力強くその存在を示す
人は皆そこにそれぞれの想いを残してゆく
再び夜空に静寂が戻るまでの短すぎる時間

一雫の涙が頬を伝う
それは温かく 消えぬ痛みを優しく包み込んでくれる
忘れかけていた温もり 優しい想い そして誰かの微笑み

知らず知らずのうちに心に刻み込まれた無数の傷
消えないのなら消えなくても良い
痛みがなくなる喜びよりも
自分が自分でなくなってしまう事のほうが恐いから

星のまたたく夜に 僕はまた1人歌いだす
誰もいないステージで
人生という名の果てしない草原のどこかで 
いつか光輝く事を信じて

ほら 見えてきた
あの太陽のように輝く未来つかむために






エントリ14  ほねのうた    岡崎龍夫


ないしょのおかのうえにすわり 
ふたりでほしをみています
ふもとのまちはパレードが 
にぎやかなおとをたてている
あー
はなやかなふくのきけいじが 
わらわれながらあるいていく
あなたのよこがおきれいだな 
おとがやむまえにさわりたいな

よるなぎ まあたらしい かびのけはいをはこんでくる
よるむし ちりり ないていた あなたがしゃがむかたわらで
しろいはだにらくがきしたくなっている

まちのひぜんぶがきえたら
どこかとおいとこへでかけよう
どうせふたりはかげろうだから
いなくなってもわかりはしない
あー
あなたのうでのかさぶたを
ほしあかりがかすかにてらす
ふえとたいこのおとがしている
だきよせてべろでなぞれたなら

よるなぎ ささやかに ぼくのこきゅうをかきけした
よるむし ささやいた さそりのきもちかきむしる
あなたのがいこつたぶんきれいで そのせいでなんども
よるなぎ まあたらしい かびのけはいをはこんでくる
まえのきせつのざんぞうでぼくはすこしどうかしている
しろいはだにらくがきしたくなっている
ぼくらどうなるんだろう

パレードがとおざかりながらつづく
あなたはかわゆくあくびしていた
ぼくらどうなるんだろう









エントリ15  チリ紙とパラレリア    歌羽深空


AM7:00 しゅんしゅんて音で目を覚まし
AM7:05 5秒後ちゅんちゅんじゃないのかとつっこんだ
AM7:06 隣で知らない人が鼻をかんでいて
AM7:07 しゅんしゅんてその音かよと言う
(時の流れが今日はなんだか遅いなんて思ったのは、5月だからか)

AM7:09 ていうかアンタ一体誰だ
AM8:00 ご飯勝手に作ってるし
AM8:01 無駄にうまいし
AM8:02 アンタも食うのか
(そのしゅんしゅんって音が変わらないのは、4月が終わったからか)

AM8:15 しゅんしゅんがぐちゅんに変わる
AM8:16 アンタ、人のチリ紙をなんだと
AM8:19 やっと、花粉症ですかと聞く体勢ができる
AM8:20 無視
(ちゅんちゅんって鳴かないのは、今日が雨だからか)

AM8:23 鼻がむずむずしてきた
AM8:24 チリ紙がない
AM8:27 知らない人もいない
AM8:31 朝飯作るチリ紙泥棒なんて、聞いたことない

ハウスダストは目まで駆け抜け
どろどろ感当社比率30%の涙を流す
信じられるかそんなこと

ぐちゅん ぐちゅん
しゅんしゅんしゅんしゅん

もし今いたならあのチリ紙泥棒はなんてないたんだろう

ああきっと、ホーホケキョって
ないたんだと思う





エントリ16  彼岸    箱根山険太郎


寺の一室
畳の上に座り込み

薄汚れたサラシにくるまれた
両親の骨を前にして

手を合わせるでもなく

泣くでもなく

サラシの結び目を
茫然と眺めて過ごす

春の彼岸





エントリ17  顔無き罪    早透 影


  
  スピードを出しすぎました
  
  だから 僕が悪いのです
  だから 許して下さい
  だから 怒らないで下さい
  
  だから
  だから
  言ったじゃないですか
  
  言ったつもりが
  つもりだけ
  
  僕は
  顔の無い貴方らが
  怖いのです
  
  僕への錘は
  どんどん ぶら下げられ
  どんどんどんどん 沈んで
  辿り着く所は
  やっぱり
  こんな暗くて
  冷たくて
  淋しい 所でした
  
  ばらばらになっても
  みんなを守っていた
  なんて
  訳じゃないんです
  
  ただ ただ
  ただ ただ ただ
  怖かった だけ
  あの人等の目が
  怖かった だけ
  
  僕を責める 顔の無い貴方等
  その無責任な目
  それが ただ ただ
  怖かった の です
  





エントリ18  S.B.O.L.     イグチユウイチ


俺の両足が、肉筋が、

滑らかに発電する推進力の、

風、フェザー、

集中線、軌跡長く、

血流れ、鼓動打つ、増幅回路、

日に青で晴れの、白の、向こうの空の、

発熱するダイナモ、憧れ、光速には遠く、及ばず、

意識はニアサイド、ブラインド、空白を振り絞って、前へ、

高まりを飲み込んで、燃やす、

焼き切る、気管支鳴り、鳴る、

エンドレスな、リピートを、

イン、アウト、幻、まぼろし、光の、

影は、花、踏絵の横顔を、アウト、

砕け散る、高まり、滴る、逆光の笑み、

意識は、ライト、昇華し凌駕する、レフト、

振り絞って前へ、その先へ、

我れ、彼れ、突破す。






エントリ19  ラパンク    影山影司


 RAPUNK! RARA! PUNK!
 操るギミック 括るリリック スタイルでロック
 垂れ流される大衆流行歌にどれだけの意味
 聞こえは良い大衆流行曲にどれだけの意義

 真実、って奴は何処へ消えた?
 驚きマジック 踊るパニック スタイルは真実
 前衛プラック 骨法ストック スタイルは絶叫
 それが俺達 近寄らば一太刀 尖って生きるぜ

 青臭い馬鹿と笑う民衆 捕らえろと叫ぶ軍衆

 飛んでけロジック 時代バック 流儀は全力
 版権とか利益とか難しいことは分からないけど
 GOOD ずっと マジに純で粋に生まれ変われ

 裏路地グラフィティ 踊るMC ラライライライム
 悠々語り継がれるリリック 刺激的グラフィティ
 暴力無き喧嘩 即ちR A P
 暴力無き絶叫 即ちPUNK
 合わせてRAPUNK
 響けウーハー これでどうだ

 金という餌よりも 愛という餌で生きたい
 青臭い? A/OK
 BAGにBAD BLACK BREAK 詰め込み
 社会なんて狭い檻でも壊すぜB-BOY
 返事は? YES! SAY OK!

 RA/PUNK! RARARAPUNK!
 RA−PUNK! RAY RARARA!
 一切合切実際天才拍手喝采 RAPUNK!

 BEE BEE 泣くよかB-BOY 今此処でBE叫べ
 踊れB-DANCE 生きるか死ぬか何て問題無い
 返事は YES! 生 OK!
 なんてHAHAHA HIGH-HIGH

 劣化ギミック 駄作リリック スタイルでホット
 そう思うならお前が歌え 今日からドンとbe叫べ
 俺達RAPUNK! 今日も回る廻る D&E!
 ディスクと地球が回り廻るぜ ザ・世界はBePeace
 響けウーハー これでどうだ D&E&B!





エントリ20  路上で    佐藤yuupopic


(本当はね
 いつかこの日がやってくるって、
 わたし。
 知っていたよ)
 

菜食主義者で
煙草なんてとうに止めていて
お酒は食前酒程度でね
とても綺麗な身体で暮らしていたはずの
あなたが
路上で。

『薬物摂取撲滅運動のコマーシャル撮影の合間を縫って
 毛皮反対運動のポスター撮りを終えて
 街に緑を取り戻す運動
 ゴミも拾うよ
 日曜日は
 教会へ
 僕は
 クリーン
 クリーン
 クリーン、
 次の参議院選にでも立候補しようかな』

あんなふうに惨めに無様に苦しみ抜いてのたうち廻ッてクタばるなんて思いも寄らなかったよ
(水が欲しかったンだッてね
 うんと、うんと
 欲しかったンだッてね)


「果汁100%のオレンジジュースが飲みたくなった」
なんて
「ちょっとコンビニに」

なんて
ベッド
抜け出した
背中
網膜の裏
何遍も何遍も
巻き戻されて
ドアに吸い込まれる
背中
「ゆかないで」
が、こぼれ落ちそうになる

あなた、
ので
塞ぐから
「いってらっしゃい」
て、云う他なかった


ずッと
嘘ついてたんだね
でもね
本当はね
知っていたよ、
いつもバスルームに長い間一人籠もっている時何をしていたかも
あんなに喉が渇いて渇いて
焼け付く程渇いて仕方なかった理由も
眠れなくて
時折、
真夜中に
部屋の
灯りも点けずに
窓枠に
もたれて
両手を組んで
祈るみたく
声を立てずに
泣いていたのも
わたし、
わたし
知っていて
怖いから
気づかないふりして
あなたが笑うのに合わせて
笑うふり
してたの
水気のない舌や指や、それと逆のあれが、
そこここに触れ入るのに誤魔化されたふりで
あなたの脂気のない痩せた髪が
わたしの頬を覆ッて
甘く香る毎に
世界なんて全部ブッ消し飛ンで

この部屋だけになれば好い
なんて
クッダラネエ考えでアタマ一杯になる程うんと好きでたまらなかったから、
から。
あなたも
わたしが知っているのを知っていて気づかれていないふり
欺されているふりのわたしを
あなたは騙し通せているふり本当はちっとも出来てやしないのに
互いに、
してたの。


「わたし、
 全部
 知ってるよ、」
て、
云っていたら。
(そんなこと微塵も関係なかッたとしても)

云えていたら、
あなた、
跳バなかッたの

ねえ、

路上で。