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第53回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1報復の祝詞香月朔夜144
2(作者の希望により掲載を終了いたしました)
3千早ぶる神の異域ヨケマキル377
4有機機械324
5山陽新幹線 広島駅箱根山険太郎※データ無
6莫迦沢貞治のお宅訪問ながしろばんり428
7テロル大覚アキラ543
8夏の夢を見るとむOK100
9愛心ぼんより87
10花町に帰る岡崎龍夫220
11汽水域影法師143
12安息の場所望月 迴70
13先刻、古本屋で市井くんと会った。佐藤yuupopic606
 
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エントリ1  報復の祝詞   香月朔夜


勘違いなくして人は生きられない

本来の姿を知ってしまった者は哀れにも崩れ逝く

次々に身汚い闇に囚われ朽ち果てながら
罪の重さと恐ろしさに震え
救いを白紙としての消滅に求める

その甘美な死を弱さと言うならば
笑いながら踏みにじる貴方たちの愚かしさを知るがいい

所詮、苦しみの緩和でしかない幻想に溺れながら





エントリ3  千早ぶる神の異域    ヨケマキル


昨日ヤった女の裸のポラ見て吐いた
死ねゆうたら死ねたんじゃクソ
神の息は臭いんね

ノンアルコールタイプウエットティシューの上
死にかけのハエ取りグモ もがく

NZで日本人留学生変死のニュース
切断死体を連呼する女子アナで射精
「切断したい」て言ってるみたいで

蜘蛛をジタンの火で始末
これで今日生き物を5匹殺した事になる

トカゲ型の壁のシミ
今日は老婆に見えたりして

セックスのたびに彼女の内臓はぐちゃぐちゃ
ぐちゃぎちゃ
ぐちゃぐちゃ
粘膜ぽい
さっき吐いたばかり

恐怖てなんですか?

猫目女が肩からぶら下げたエレキを股間の辺りで弾く
マンコを掻き毟ってるようで イカス異化す

今日未明 わが子ミルクくれよと発狂 夢で唖となる
今日未明 も一人のわが子指挟んだと 泣き泣ける

ビンスワンゲルの嘘
人間なんて最初からいない

神経症の予後

さよなら

ヒトラーがローウェンタールを今日中に殺す

なんら驚くに足らない








エントリ4 
   有機機械


あの娘が雨に打たれて泣いているとき
僕はこんな風に声を掛けるだろう

想像してごらん
僕らは三日間砂漠を彷徨い歩いている
太陽はじりじりと肌を焼き
飲み水もなくなり
汗が出尽くし
乾いたシャツはひどく臭い
そしてやっと降ってきたのがこの雨だ
どう?
素敵な雨だろ?
雨も晴れも地球のまっとうな姿の一つで
そこには何の意味も悪意もなく、
それをどう感じるかはすべて僕ら次第なんだよ

そんな風に声を掛けて慰めてあげたい

でもいくら僕がそんな風に思ったところで
そんな僕の想いが彼女の心を捉えたことなど一度もなかったのだ

そう考えるとがっかりする
泣きたくなる

この世には望んでも決して手に入らないものがある
そんなことは分かっている

ただ
それが彼女であるということを僕はまだ受け容れられないでいる





エントリ5  山陽新幹線 広島駅    箱根山険太郎


お気に入りの白いブラウス
脇のところがほころんだので
針に糸を通し
繕っていたら

突然
見たこともない閃光

私の皮膚も捲れあがり
そこから記憶がありません

この頭の丸い電車は
どこ行きですか?

長いこと寝込んでいたものですから
わからなくてごめんなさいね





エントリ6  莫迦沢貞治のお宅訪問   ながしろばんり



あの図体のわりには
軽やかなチャイム

すみませええん
莫迦沢がまいりました
あなたに低脳とさげずまれた
莫迦沢がまいりました

一日三回
メタルエロウの錠剤を欠かさず飲んで
生き永らえてきて
漸くあなたを見つけました

とても嬉しいです。
あんなに恨んだのに
あんっなに握り締めた拳、指の爪をいくつも割ったのに
思わずあなたの顔を見ると、にこにこしてしまいます。

ああこの、スパナ、ですか
あなたの顎を殴りつけるにはちょうどいい大きさだと思いますが
この入り口の扉を叩き壊すには
小さかったようで、ちょっと残念です

早く開けてください
そうしたら

わざと舌ッ足らずで
むく犬のごとくのしかかって
首筋を舐めてやる

毛穴からしみる
おれの情欲を
しんしんと
静脈の痛みに
むず痒さに狂うがいい
おれの言葉は
その首筋に捧げてやる

それから
このスパナで顎を殴るふりをして
このさきっちょで
鼻の穴をいたぶってもいい

でも最後にはちゃんと殴るから
おい
開けろよ
この戸ォ、早く開けてよ

くそう
スパナじゃなくて
バールを持ってくればよかった





エントリ7  テロル   大覚アキラ


こんなにも晴れた6月の空に
真冬の海岸を思い描くおれは
きっと悪い生き物なのさ

見ろよ
薄汚れた灰色の鳩たちが
真っ白い鳩を追い回す

ねえ ママ あそこ見て
ほら
鳩さんたちが遊んでるよ

あら ホントね
楽しそうね
みんな なかよしね

殺れ
殺っちまえ
白い羽根毟り取ってしまえ

停止
巻き戻し
再生

真冬の海岸で
ママが 坊やを
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
ママが 白い鳩を
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
ママが 薄汚れた灰色の鳩たちを
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
ママが おれを
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
坊やが ママを
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
坊やが 白い鳩を
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
坊やが 薄汚れた灰色の鳩たちを
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
坊やが おれを
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
おれが 坊やを
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
おれが ママを
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
おれが 白い鳩を
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
おれが 薄汚れた灰色の鳩たちを
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で
おれが おれを
追い回す映像 スローモーションで

真冬の海岸で





エントリ8  夏の夢を見る   とむOK


細い辻に佇む風化した小さな地蔵に、蘇生した蔓草が目隠している。
落日の朱を曳いた古ぼけた路地で、長く伸びる少年の影が少女の影に重なる。
少女は目を閉じ、汗ばむ白いシャツの奥の逞しい鼓動を陶然と聞いている。





エントリ9  愛心    ぼんより


励ましてくれてありがとう

微笑んでくれてありがとう

抱きしめてくれてありがとう

優しくてありがとう

なにより

元気でいてくれてありがとう

これ以上嬉しいことは

何もないもの

心から

ありがとう






エントリ10  花町に帰る    岡崎龍夫


花町に佇む中国女の肌から異国の香水のにおい
雨降られ町にちいさく浮かんだ甘い不埒な香水のにおい

路面電車は颯爽と、わたしの残像拉ってしまった
他愛ない影踏み遊び止めにして
碌月、しばらく 此の侭、窒息
不明瞭 水溜りの姿が本物さ

花町のからすは気高いからすだその煤けた黒い色が好き
雨降られ路地の路傍の花にも目をくれない黒い色が好き

近視で朧なぼろぼろ景色、温度のない豆球の点滅
止そう徒労だ口づさんだ唄
碌月、しばらく 此の侭、窒息
不明瞭 水溜りの姿が本物さ








エントリ11  汽水域    影法師


小さな一滴の誕生が
ひとつの終わりを迎える
雪解け水に始まる長い長い春の冒険は
この揺れ動く思春期とともに完結するのだ

己を変革させて
次なる季節へと巣立っていく儀式
君の為に道は示され
広大なる世界が
果てしない海が
君を受け入れてくれる

若き勢いをそのままに
さあ、飛び込むのだ
皆が君を待っているのだから






エントリ12  安息の場所    望月 迴


籠の中の鳥は
いつも空を夢見ていた

限りない空を飛ぶ夢を
自由に空を翔る日を

籠の中の鳥は
夢を見ていた

籠から飛び立てると知って猶
籠の中で夢を見ていた





エントリ13  先刻、古本屋で市井くんと会った。    佐藤yuupopic


先刻。
思いがけなく市井くんに会ったよ
そこにいたんだね。
また会えて
うれしいよ、
古本屋で。


古本屋で。
その昔むかっし
と云っても
ほんの四半世紀くらいの昔
わたしと市井くん、
おンなじ学校に通っていて
クラスはおンなじになったことはなかったけど、
目に見えたり見えなかったりするキラキラめいた美しモノと忌まわしい
泥、
いっしょくたに全部
全ェン部。
大切に
半分こっつ分け合ってた、
時分、
「お前もきっと好きだよ」

市井くん、貸してくれた、
マンガの本。
見かけて、
手にした。

未だ年若いからうっとりと白い白い
市井くんの、
飯を食べるのと全然勝手の異なる長い長い
重い、
箸で、
拾った
市井くんの、
骨。
から、
粉ばんだ湯気、

吹き上がッた、
あの、
午後の、
午後の、
午後の、
午後の、
午後の、
午後の、
午後の、

不意に、
この、
掌に。

取り落としてしまった
マンガの本
に、
骨。
から、
湯気、
粉ばんだ、

湯気、
この、
掌に。

掌に。


先刻。
思いがけなく会ったよ。
もう元気とかそうじゃないとか
なんて
そう云えばみじんも関係ないんだったね
また会えて
心底うれしいよ、
本当だよ。
前みたく即座に上手には思い出せなくなったけど
いつだって会いたいと思っていたのは、
本当に、
本当だよ。
大丈夫だよ、
形は変わったけど、
まだ、ちゃんと好きだよ。
勿論、大好きだよ。
好かった。
そこにいたんだね。
そんなとこに、
いたんだね。
わたしね、
来年ね、
おかあさんだよ。

前後篇合わせて二冊で三百円の
市井くんと。
古本屋で、