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第59回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1ミドリ大覚アキラ563
2チューブやまなか たつや474
3犬一輪ながしろばんり26
4残酷な楔香月朔夜122
5ひとりよがり 〜詩人たち〜有機機械443
6アクリル椿月776
7聖オルガンと窓カマキリヨケマキル777
8氷夜ぼんより112
9兄貴箱根山険太郎99
10 点滅信号 佐藤yuupopic 60
 
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エントリ1  ミドリ   大覚アキラ


突っ走って
踏んづけちゃった
ミドリの影
滑って
身体ぜんぶ
足の先から
頭のてっぺんまで
ミドリになっちゃって
それでも
突っ走りつづける
ミドリの身体
薄暗がりの木陰から
思い出みたいに
忍び寄って
背中から
グサリ
逃げ去り
どっさり
でてくる宿便
ミドリの宿便
身体にやさしい効き目
意味なんか
ない
意味なんか
ないんだよ
身体にやさしいかどうか
それだけが
モンダイだ
そうだろ
ミドリ
会いたいよ
ミドリ
おまえに
身体にやさしいミドリが
おれの身体を
やさしく愛撫する
腹部
マッサージ
十五分間
どっさり
でてくる宿便
いやだ
もう宿便はいいよ
その話がしたいなら
帰ってくれ
ミドリ
おまえは身体にやさしい
みんなの身体にやさしい
こんな商売してるとね
身体の
輪郭が
アイマイになっていく
そんなカンジがするの
そういっていたミドリ
こんな商売っていうのは
身体を売る仕事で
他人の身体に
やさしくする仕事で
そういうことを続けると
身体の
輪郭が
アイマイになっていく
のだと
ミドリはいう
正確には
ミドリの主治医が
言っていたらしい
でも
ミドリは
突っ走って
踏んづけちゃって
滑って
身体ぜんぶ
足の先から
頭のてっぺんまで
ミドリになっちゃった
あの日から
それでも
突っ走りつづける
しかなかったワケで
たまに
宿便をどっさり
出したりしながら
そうやって
なにもかもが
アイマイなまま
突っ走っている
もっともっと
アイマイになって
すべてが
アイマイになる
その時まで





エントリ2  チューブ   やまなか たつや


一人は嫌いじゃない
チューブを見つめながら
わたしはそう思う
一人きりの部屋で

も一度歌えたら
キスしてあげられたら
あなたにそう想う
胸の奥がかゆい

古びれた傷も 今日の温もりも
全部あなたにぶつけたい そして笑いたい
悍ましくも見えるこのチューブから 自由になってあなたに溺れたい
あなたに溺れたい


花束色とりどり
窓の外見ながら
本当は泣きじゃくる
時間が必要なの

涙腺が張り裂けて
ぐずぐずするわたし
あなたは知っている
だから安心出来る

あたたかい冬は これが初めてだよ
二人くよくよしたくない せめて寄り添って
悲しみに暮れる日々を超えて はかなくて頼りない明日へ
頼りない明日へ


あなたに感謝してる
しわくちゃの電球見て
本当にそう思う
夜中の病室で

も一度抱きしめて
ほしくもなるけれど
あなたはそうしてる
実は抱いてくれてる

優しさに気付く わたし不自由じゃない
この身哀れみたくはない だから笑えるの
憎らしくも見えたこのチューブは 細長いわたしたちの絆
わたしたちの絆

あたたかい冬は これが初めてだよ
一人より二人がいい 笑顔絶やさずに
悲しみに暮れる日があっても はかなくも美しい明日へ
わたし支える管
細く長い絆






エントリ3  犬一輪    ながしろばんり


犬一輪、頭に挿してお買い物
それで、夜遅く帰りました。





エントリ4  残酷な楔
   香月朔夜


この世に生まれいずる命は等しく罪の宿命を背負ってくる

誰かを 何かを 侵さず在り続ける事など出来はしないのだから

ゆえに

神に祈ったとて返りくるのは嘲笑のみ

救いの道は破滅の道へ


天国逝きの資格など持ち合わせるはずもない

地獄はまさに此処にあるのだから‥‥





エントリ5  ひとりよがり 〜詩人たち〜    有機機械


僕のことばが
例えたった一人だけだったとしても
誰かに支持されたのなら
そのことばやそのことばを紡ぎ出した僕の想いは
ひとりよがりではなかったと言えるだろう

それを確かめたくて僕はことばを送り出す

たとえたった一人だけだったとしても
誰かの共感を得られたのなら
僕はけっして孤独な存在ではないと言えるし
誰かと解り合えることができるかもしれないだろう

でももしも

その得られたと思った共感が
ひとりよがり者同士の単なる勘違いだったとしたら?

じゃあもっとたくさんの人達に支持されたのなら
僕のことばはみんなの心に触れることができたと言えるのではないだろうか?
みんなが僕の心に触れてくれたと言えるのではないだろうか?

そんなふうにどんなにことばを尽くしてみても
それを確かめる術を僕達は知らない

そして僕達はこれからもずっと
自分という宇宙から抜け出すことができないのかもしれない

それでも僕達はことばを送り出さずにはいられない

何だか分からないけれども何か尊いひと欠片のものが
誰も彼もの宇宙を等しく貫いているということを信じて





エントリ6  アクリル   椿月


あの人に買われたその日から、
私の孤独は始まったんだ。

封を開けられた途端、
私はフィギュアケースに飾られてしまって、
座ることすら許されなかった。
ケースの中には私しかいなくて、
ちょっと窮屈で狭い。

私はあなたと同じ空気を吸いたかったのに。
あなたと触れ合っていたかったのに。

もう、叶わないのかもしれない。
なにもかもアクリルカバーの向こう側、
憧れは透明な壁に濾過されて、
それを知らないあなたは、自由に時を謳歌している。
現在進行形。

私は、せめて手を伸ばしたいと願うけれど、
体はびくりとも動かなくて。
四方八方を塞がれた私は、
あなたと同じ空気はおろか、
新しい空気を吸うことすら叶わなくて。
せめてあなたのそばにいた証を残したいと願うけれど、
私は外に出ることはおろか、
証を残すための指紋すら、持ち合わせてはいなかった。
だって私は大量生産された、
ごくありふれたフィギュアでしかないんだ。
まるで死化粧みたいに、
全身を不透明色で塗り固められただけの、つまらない食玩。
神さまは残酷だ。
どうして私という存在を作ったのか。

ねえ、神さま。
どうして私をこんなふうにしたの?
人のなりを与えてくれたのなら、
どうして声を与えてくれなかったのですか。
どうして体を固めてしまったのですか。
それさえなければこのアクリルを叩いて、蹴って、
泣き叫んで、
私の存在をあの人に示すことが出来るのに。
私のそばにいてと乞えるのに。
ねえ神さま。
私は生きているのですか。
死んでいるのですか。
それすら教えてくれないなんて、ひどすぎる。

このまま時がすぎたら、
いつかこのケースは埃まみれになって、
あなたを見失ってしまう。
それだけは嫌だから、悲しいから、
ねえ、神さま。
せめて、あの人がずっとそばにいてくれますように。
たまにでも、見つめてくれますように。
このアクリルがいつまでも透明でありますように。

それだけは、叶えてくれますか?










エントリ7  聖オルガンと窓カマキリ   ヨケマキル


ポータブルプレイヤーのレコードからは
「ガタガタの聖オルガンのための序曲」

ゆっくりゆっくりガタガタの 聖なるオルガン夜歩く


最近は欲情している
夢の中でさえ男に後から突かれまくって
そんで習性みたくイッた

仕事中にやってくる突然の欲情をどうするかが今の問題だ
子宮で死にたい


セックスは朝するのが好き
おかしな夢を見た後のセックスは特に死にそうにイケる
そういえば最近
子どもの頃によく見たタクシーの窓に巨大なカマキリがへばりついている夢
すっかり見なくなった


ぼんやりテレビ見てた
どっかの国の戦争
空爆で死んだ人たちの映像 たくさん たくさん
誰かが言ってた「数は陶酔」ってこの事かな
違うか
でもおびただしい数の死体はどこか官能的だ
オナニーしてたら眠くなってきた


ああ、また夜だ

アクトくんは突発性凶暴症だ
この前の夜二人で私のアパートの部屋にいた時 
突然怒り出して髪を引っ張られ外に引きずり出された
下着姿だったのでどうしていいかわからず
しばらくドアの外でうろうろしたりしゃがんだりしてたんだけど
寒くなってどうしようもなくなったからおそるおそる部屋に戻ってみた
アクトくんはベッドで寝てた
殺そうと思った
しばらく寝顔を見つめていたらアクトくんが急に起きてこっちを見たから
びくっとしたんだけど
「キスして」と言ったからキスをした
「怖かった」と彼が言った
今彼が見たという退屈な夢の事だった

自分がどこかの狭い部屋の中にいて
段々と言葉がしゃべれなくなって
しまいには赤ん坊のようにしかしゃべれなくなる
という夢

どこが怖いのかわからなかった


次の朝家を出て1週間帰らなかった
欲情がおさえ切れなかったので1週間毎日他の男とヤッた



カマキリの夢の意味がやっとわかった
私は安全だということだ



夜来て朝来て昼来て
私は三度死んだんだから
四度目の死をこの恍惚の中で待つんだ

こっそりこっそりコトコトと 聖なる唖者が夜笑う







エントリ8  氷夜   ぼんより


生きて

生きて

生きて



そうして知る



リアル



寒空に佇む 硝子の結晶

アレゴリックな半径3メートルの映像たち



もしも



もしもここでその全てを遮断できたなら

一体どれだけの

何から

開放されるだろう



縛られた自由と

業の中

雪月夜は永遠に感じられた







エントリ9  兄貴    箱根山険太郎


嬉しそうに酒を振舞い
俺の訪問を喜ぶ兄貴

子供の頃から尊敬していた兄貴

今も成功し続ける兄貴

でも顔が土色をしてる

死病に侵されたんじゃあ
アンタの負け

親より先に逝ったら
それはそれは親不孝

結局俺の勝ちだね 兄貴





エントリ10  点滅信号    佐藤yuupopic


誰かを愛してたことなんか全部忘れた
半分閉じた睫に万両の枝にBMWのボンネットに灰のよにぼかんぼかんと降りしきる雪、

積もれ。