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第66回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1忘れてしまいたい過去がある氷雨水樹272
2魅惑のネバーランド 〜ピータンパンの誘い〜香月朔夜235
3蛍の光で飴子153
4運命65
5残像パレィドトノモトショウ287
6泣く村方祐治488
7戦うこと。霧一タカシ332
8『君が僕のすべてだった』やまなか たつや231
9ロボットのおうち大覚アキラ201
10 てんとう虫 待子あかね 325
11 ゲシュタルト kikki 529
12 驟雨、ゆえに宿らず 葉月みか 763
13 デッサン ぶるぶる☆どっぐちゃん 338
14 さつきばらかや 115
15 生け花 歌羽深空 239
16 黒い森 イグチユウイチ 220




 


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エントリ1  忘れてしまいたい過去がある    氷雨水樹


忘れてしまいたい過去がある

それは誰にでもある事だけど
特別嫌なキヲクが
毎日の生活を圧迫してる


忘れてしまいたい過去がある

他愛のない事かもしれない
他愛のない事が今の私を
殺そうとしている


忘れてしまいたい過去がある

つまらないニンゲンに
すくすく育った私は
私がやられた事を人にしている


忘れたい
もう、忘れてしまいたい

このキヲクがもたらしたものは
虚像を作り上げるコトバ


人を信用するなという、警告
友達は入らないという、拒絶
負の感情が入り乱れる、頭脳
そして
あふれ出す幼き日々の、孤独


キヲクが私を殺す時
無言のうちに
幼い私が微笑むのだ

遠い日の
忘れてしまいたい過去の、侮辱





エントリ2  魅惑のネバーランド 〜ピータンパンの誘い〜    香月朔夜


ようこそ
ネバーランドへ
微笑みの楽園
費えぬ多福感
希望を宿す瞳は陰りを知らず
向かう地は信ずる光に満ち溢れる

ピータンパンは嘘つかない

願えよ
ネバーランド
叶うよ
ネバーランド

ほら見て あそこ
疲れた大人は淘汰され
夢見る子供を選り好み

だからかな?
永劫輝く一欠片の
刹那の幻に開かれて
世代交代は幾千万
今も昔も浮き沈み

抱けば終焉
廃れた想い
老いた思い

さぁ 行こう
君の祈りが消えるまで
君の理想が狂うまで
君の心がイカレるまで

静かに終わるその時に
みせる笑顔は 哄笑? 嘲笑?

歪んで
壊れりゃ
帰してあげる






エントリ3  蛍の光で    飴子


さらさらと小川が流れるまわりで
今生きているという証を
見せつけるように光る蛍がたくさん

チカチカチカチカ
点滅の早いヒメボタル

ポツ―‥ポツ―‥
ゆっくり光るゲンジボタル

はかない光のヘイケボタル

それぞれがそれぞれのテンポで
それぞれがそれぞれの明るさで
側にある木を飾り付ける
できあがったのは

季節はずれのクリスマスツリー





エントリ4  運命
    葱


僕は誕生日が、ブライアン・デ・パルマと同じ

僕は誕生日が、秋篠宮紀子さまと同じ

で、アメリカ同時多発テロと同じ日

って、なんでやねん





エントリ5  残像パレィド    トノモトショウ


油蝉が飛び散る熱い午後
白狐の楽隊が騒がしく通りすがる
突風は円環を描いて椿の花弁に止まり
軒先に垂れた氷柱は斑に影落とす

揺らめく陽炎の向こう側で
あの日消えた少女の背中が乱反射
赤鬼の啼き声に老人たちは夢想い
虚空を染める鳶の群れは今も昔も

砂煙に紛れて陰気な寸劇が始まる
蝸牛に焦れて因果は分裂し交わる

幻覚ではないが不確かな輪郭で
痩せた電柱が羅列される(点・点・点)
毬つく稚児の歯が欠ける(転・転・転)
逆光に裏返る闇の中では一人きり

喪失を予感した視線がすり抜け
永遠は静寂を取り残すばかり
舞い落ちた紙吹雪は美しくも寂しく
置き忘れた足跡と渇いた涙

嘘吐きな僕は
すっかり大人になってしまったのだ






エントリ6  泣く    村方祐治


私が泣くということは
 平和という言葉がありきたりになっているということ
 足を地雷に奪われた少年の気持ちを全く理解していないということ

私が泣くということは
 自分の為以外に泣けないということ
 少女の事故死の報道に号泣できないということ

私が泣くということは
 ハンバーガー屋の隣の蕎麦屋が潰れかけているということ
 街が鉄骨にまみれているということ

    私の涙は
    全くの無駄
    何者にも届かない
    叫び

    それでも
    私が泣くということは
    孤独だということ
    無力だということ
    漠然としているということ
    歴然としているということ

私が泣くということは
 誰にも泣いて欲しくないと願うこと
 そして生きたいと願うあの人に
 少しでも長く生きて欲しいと願うこと

私が泣くということ
私が跪くということ

それは いま
私がいのちを持っているということ


    私が泣くということは
    誰かが笑うということ

    私が泣くということは
    私が生きている
    その証明
    その幸福
    その恐怖

そして 私の最も深いところにある
    
    その 願い

作者付記:「現代詩フォーラム」(http://po-m.com/forum/)06.7.1 投稿作品





エントリ7  戦うこと。    霧一タカシ


戦っていく。
いろいろなことをする。
いろいろな歌を歌う。
楽しく歩く。
いろいろなことをする。
いろいろな赤を作る。
外を歩く。
歌を歌う。
新しい曲を作る。
スタジオで曲を作る。
戦いに勝っていく。
いろいろなことをする。
少し休む。
冗談を言う。
いろいろなことをしゃべる。
服を着る。
外へ出て楽しむ。
私は勝っていく。
旅をする。
外を歩く。
経済界で活躍する。
いろいろなことをする。
小説を書く。
いろいろな歌を歌う。
勝っていく。
戦っていく。
敵を倒す。
詩を書く。
いろいろな物を買う。
きれいな歌を歌う。
相手を倒す。
物事を明確にする。
問題意識を持つ。
敵を倒していく。
戦いに勝っていく。
いろいろなことをしていく。
争う。
勝つ。
戦って勝つ。
本を読む。
楽しむ。
勝ちを楽しむ。
いろいろなことをする。
勝っていく。



作者付記:いろいろなことをしたいです。
いろいろな詩を書きたいです。
新しい詩を書きたいです。








エントリ8  『君が僕のすべてだった』    やまなか たつや


失って初めて分かることがある
君が僕のすべてだったこと
君と過ごした短くはない時間
もはや消え去った記憶
とりもどせるのなら

失って初めて気付くことがある
君に頼りすぎていたこと
何もかもうまくいってる季節には
感謝の念はどこへやら
僕にも非があった

失って初めて知ったことがある
終わりは突然にやってくること
狂おしい思いと鈍い虚脱感
泣きたくても出ない涙
やり場のない怒り

失って初めて思うことがある
文明の利器の脆弱性
便利と裏腹の リスクと失望
バックアップの大事さ
さっさと帰って不貞寝しよ






エントリ9  ロボットのおうち    大覚アキラ


わたしの おうちはすごいの
ロボットがいるの
ひとつじゃないよ みっつもいるの

パパのロボットと
ママのロボットと
わたしのロボットがいるの

パパのロボットには パパがのってて
ママのロボットには ママがのってて
わたしのロボットには わたしがのってるの

さんにんともロボットだけど
みんなちゃんと ごはんもたべるし
よるになると おふとんでねるの

おやすみのひには
さんにんで テーブルのしたにかくれて
ひみつきちみたいにして あそぶの





エントリ10  てんとう虫    待子あかね


だいすきなひとは
今週も働くのに忙しい
だいすきなひとは
今日もお付き合いに忙しい
だけど 1時間半の遅刻で現れた


魅力的ではない
無機質にも思える体の模様に
なにやら苛立ってきたんだって
ぼくは 摘み落とされた
地に姿を消した と見せかける

彼女はマットをどかして
ぼくの行方を探した と見せかけて
ほんとうはどうでもよかったんだ
ぼくの姿をもう少しぼんやり
眺めていたかったんだ それだけ

泥んこになったスニーカーに踏み潰されるのはごめんだから
ちょびっとずつ上っていく
もう疲れた
もう ちょこっとはここに立ち止まろう
ぼくの姿を彼女がやっと 確かめた


だいすきなひとは
今月も働くのに忙しい
だいすきなひとは
今年一年を見ていてくれと告げた
そして 滴る階段を手を取り下りた ようで ようで





エントリ11  ゲシュタルト    kikki


熱されたアスファルト
南東の風
流れうつろい変わり続ける空空 空
雑踏




手のひらにめいっぱい字を書こう
肌の色が見えなくなるまで
めちゃくちゃにめちゃくちゃにめちゃくちゃに汚して
空にかざす

だって帰るところなんてもうどこにもないんだ
だれかの
そばにいたのにだれもいなかった
だれかのそばに
いるのにだれもいない
ここにあるはずのものがなくて
ないはずのものもここにはなくてだけど僕は
確かにここにいたのに

悲しみが尽きる日を見てた
遠くへ遠くへ旅立つ日を見てた
かなわない夢と知る日を
それでも足掻き続ける日を夢見てた
全部
見てたよだけど
… なんだか狂い始めてる笑い出してしまいそうだ



嫌いなんだ青くて広くて青空なんて青空なんて僕は
だって何もかも届かないんだ
いくら手を伸ばしても
悲しみが尽きる日を夢見てたんだ
遠くへ遠くへ旅立つ日を夢見てた
目を背けたくなるような平和を
見ていたありえないはずの
幸せを見ていたそれはすべて夢の中の
出来事だったんだ
僕は悲しい
悲しい

見つめ続けて分からなくなったんだ
この世界と
この世界の鎖
さびしさを拾い集めろだなんてあんまりすぎる
だれもかれもみな死んでしまえ
空に見せた醜い
僕と醜い
大人と子供の世界
手のひらの落書きは早く洗い流してしまおう
早く

早く

そしてまっさらの心で








エントリ12  驟雨、ゆえに宿らず    葉月みか


同僚の噂話で濁った木曜
上司の愚痴に付き合った帰り道
恋人とぬるいセックスをした次の夜

私の足が向かうのは いつも 此処
雨が降っていれば 猶 有り難い

高円寺の古い木造アパート
ポストから溢れたデリヘルのチラシ
ヒールで踏みつけ
化粧板の欠けたドアの前に立つ
静かに開閉
そんな徒労なら とっくにやめてる

「カギくらい掛けたら?」
「こんな雨じゃ、誰も来ねぇよ」

部屋に入れば
爪先から侵蝕する
安い焼酎とマルボロと湿った畳の匂い
ブルガリの香りはたちどころに飲み込まれ
私は私の形をした別の女になる

低く流れる ジャニスの枯れた歌声

どうせ やることなんて一つだし
時間もないから
唇を奪い合いながら服を剥ぐ
絡めた舌先
雨に濡れた身体 蒸発させる

言葉なんて そんな煩わしいもの 要らないでしょ?

薄い胸板 肋の感触
青く血管が浮かび上がった腕に 爪を立てる
薄い壁の向こうから
フィリピン女の大袈裟な喘ぎ声
その声が
もっと細く可憐で
泣きたいほどに痛々しかったのは 何年前?

あなたの長過ぎる前髪
伝って
滴り落ちる汗
鎖骨の窪みで受け止めたら
解る
闇になれない夜の底で
目を瞠く

険しさを増す眉間
痩けた頬けた無精髭
固く閉ざした目蓋
苦しんでいるようにも祈るようにも見えて
さらにきつく爪を立てた
その表情が
そのキリストのような表情が欲しくて
私は此処に居るの

ジャニスの叫び
窓を打つ強い雨音
私は私の形をした 別 の女

ねえ
何時から此処はゴルゴタの丘?
復活
そんな言葉が
ほら
こんなにも虚しい

フィリピン女が果て――

どうせなら 顔に出してよ
あなたのジャニスは もう 何処にも居ないの

高円寺の古い木造アパート
安い焼酎とマルボロと湿った畳の匂い
薄い壁の向こうには黒目がちのフィリピン女
何時までも其処にあるギブソン

驟雨、鮮やかに去り

私は私の形をした 安くて美しい 女 になる
そして それは決して あの日の私 でもない





エントリ13  デッサン    ぶるぶる☆どっぐちゃん


ピアノを坂から突き落とす
がたん、がしゃん、がごん、どごん
そして信じられないほど良いメロディ

雨が降り始める
七色の傘を買う
丘の灰色の鎖には
アルミナ皇女が吊るされている
指にはタングステンロープを巻きつけられていて
指には血が滲んでいて

丘を取り囲むテレジア戦車が唸りをあげて弾を発射する
ビルから飛び降りる少女

花園

オレルアンの喫茶店
少女はアルビオンからイギリスへ

アルミナ皇女は全ての弾を避けてしまう
ひょいひょいと足をあげ弾を避ける
白いパンツをちらちらと見せながら

少女は泣く スカートをたくし上げて
黒いパンツを見せびらかすようにして少女は泣く

スパイラル高速道路
二人並んで立つ

アップライトピアノ おもちゃの戦車 書きかけの裸婦像

とにかく私たちは
歩き続ける
赤いフェラーリが
私たちを追い越していく





エントリ14      さつきばらかや


ぬるい桃を食みながら
彼女は一言
まだ硬かったね

それでも苦味のある桃に
齧り付く

晴れた空には積乱雲

真白いシャツに
桃の汁がついて
ああ染みになる

そう思ったけれど
一心に桃を食む彼女に
それを告げれず
彼女の様を見続けていた

もうすぐ夕立がやってくる





エントリ15  生け花    歌羽深空


ざざざ ずっささ にゃまりまり

さすのは自分 とどめにさして
どこでもいいなら それでもいいから
枯れないように その場に留めて 一点見つめるのは
一点見つめるのは、

意味は百景 ほどほどにして
多けりゃいいって ものでもないから
水に浮かんだ てんじょうのくも 暫く無視する
やっぱり見つめるから、

鋏を取って ひと思い 今更だから 大丈夫 そのままいける

りしりし きっき ぶつりきり
さくみゃく るんた さりさっぱ

形になれば 許すだろうか あおいにおいを かゆいにおいを

よいもわるいも無いのにな






エントリ16  黒い森    イグチユウイチ


夜が 森で 雨で 闇で

ボツリ ボツリと 雨が 闇で

明かりが なくて

明かりが なくて

この手も 見えない ほどの 闇で

森の木々は こうして夜を 明かすのだと

口元の雨を なめては ゆれる

お前の 長い 黒い 髪が

濡れて 溶けた 黒い 闇で

雨も 森も 木々も あいつも

冷たく 混ざって

ぼやけて 欠けて 消えかけて

左手の 指輪を 外して にぎる

強く 強く 両手で にぎると

ぽたり ぽたりと 雨が 闇で

痛みが なくて

痛みが なくて

とても 冷たい 黒い 森だ