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第70回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1紙ヒコーキ飴子159
2貴方の残した魂を990
3青鷺カフカ248
4a man有機機械312
5駝色の黄昏いとう558
61+1わたし成分Y(檸檬)1535
7シュレディンガーの猫はカツオブシの妄想に耽るか?トノモトショウ385
8虞美人草葉月みか362
9クリスマスさつきばらかや167
10 この夜のために ヨケマキル 777
11 表面張力 大覚アキラ 569
12 iの時間 紫生  632
13 手に、時雨 ながしろばんり 268
14 さあ、メールを書こう。そう、思い立って、携帯をとりだしたんだ。ディスプレイを眺めて、いま、君に伝えたい言葉に指が踊る。でも、ボタンを飛び跳ねる指が、ふと、とまった。 沙汰 33
15 ブルーノの白い歯 空人 682
16 花園 ぶるぶる☆どっぐちゃん 358




 


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エントリ1  紙ヒコーキ    飴子


虫食いのカーテンに
バネが飛び出そうなぐらいきしむベッド
この家で少年は毎日
新聞紙でヒコーキを折る

蜘蛛の巣並のガラスに
ギシギシと音を出すフローリング
この家から少年は毎日
紙ヒコーキを飛ばす

一枚の紙ヒコーキ
少年はそれに思いを託す
モノクロの紙ヒコーキ
少年はそれに願いを込める

どこか遠くへ行きたい

僕の折るこの紙ヒコーキにでも乗って





エントリ2  貴方の残した魂を    双


貴方が宿った子のこの魂、宿りて思わばこの命。
今亡き貴方の遺影を見つつ微笑む私と宿りし子。
昔に貴方と行った行為から宿りたもうたこの魂は今は強く輝いて、私のお腹を蹴り出すの。
提灯ぶらぶら、垂れ下げて、貴方と歩いた神社の道。
その時冬で二人凍えて寄り添いあって、手を繋いで歩いたね。
「別に寂しくないからね」
独り言ぼそりと遺影を見て呟いて、私一人涙する。

この命を果てさせぬようにしなくちゃ・・・。
宿した魂を実らせなくては。
我が火はちらちらと風に吹かれて消えそう。
でもそれでも貴方が宿したこの子を実らせるまでは・・・。
この世にサヨナラなんて、出来ない・・・。

ちらちら凍える燦然の光の世界。
貴方がいればどれだけ綺麗か妄想働き一人にやつく。
「この子を実らせるからね」
結局、消え入りそうな私の灯火をちらちら輝かせながら根強く生きている。
 どんな困難食い入れても貴方の宿した魂だけは必ず絶対実らせるから。それが私の生きている今の使命ですもの・・。

この命を果てさせぬようにしなくちゃ・・・。
宿した魂を実らせなくては。
我が生は満ちても、この子の生は満ちない。
だから私はまだ逝けないの。この使命が終わるマデ・・。


ひとつふたつ・・。
みっつよっつ・・・。
振り返る先にあるものは、死相。

「この子は奪い取る。」
静かに滴る我が液体。血が滴る。
腹から出でる血は私だけではない。貴方が宿した子のものもあるのやも・・。
許せぬ、許せぬそんな者を。
タダで殺され等せぬわ。私は相手の腹部を突き刺す。
「我が生は満ちた。故に命は果てる。」
死に対する恐怖ない者に対しては何も意をなさず。
ただ私はここで果てるのだろうか。

そんな訳にはいかない。
この子を実らせなくっちゃ・・・。
貴方の宿した魂を今出だすわ。
この子を実らせるからぁ・・・。

腹部に手を入れ込み、苦痛に歪む表情。それすらをも快楽に変え、子を出だす。
緒を素手でぶちりぶちり、内部のものから何から何までかえりみることなく。
滴り滴る雫。紅。
この子を今出すわ・・・。
無理矢理抜き出して、血を流して、うなだれる子。成熟すらしていないのだろう。
それでも私はその子を見て、決めてた貴方の名前を呼んで、うっすらとした笑み。
「あぁぁ・・今私の生は満ちたわ・・・これから貴方の元へ行きます。」
未成熟な子を抱きしめながら、生を感じながらも、薄れ行く意識の中で見たひとつのもの。
子供が・・・。

笑っていた。





エントリ3  青鷺    カフカ


かすかな光をたたえて
こちらを向いた一匹の青鷺

 こんな雨の中、
 何をやってるんだ。

 何を?痴れたこと。
 魚をとっているんだ。

とでもいいたげにこちらをじっと見つめる青鷺
川沿いの小道
青鷺は動かない

 どいてくれ。
 後ろも車が待ってるんだ。

 駄目だね。ここで朝飯。
 決めたんだ。

クラクションに手をかける

鳴らそうか
鳴らすまいか

迷った瞬間


薄紙のような雨音を引き破る

轟音


後ろの車がクラクションを鳴らした
青鷺は慌てて飛び立つ

 待ってくれ、今のは、

青鷺は雨水に濡れた羽を
ばさりばさりとそれは重そうに

 俺じゃないんだ。






エントリ4  a man
    有機機械



頬を切りつけるような冷気を切り裂き

岩のように凍った斜面をかっ飛んでいく


周りでは最新ヒット曲が爆音で鳴り響いているはずなのに

聞こえるのはエッジがアイスバーンを噛む音だけ


僕は僕の感覚と筋肉とボードのエッジを極限で操りながら

同時にそのスピードと質量に怯える僕の内面と対話する


聞こえるのはエッジがアイスバーンを噛む音だけ


それでも一瞬の隙をつき

恐怖が僕の中で暴走し

僕は斜面からはじき飛ばされ

マネキンのように何十メートルも斜面を転がり落ちる


血の混じった唾を吐き

ふがいない自分に苛立ちながら

やっとの思いで顔を上に向けると

目の前にはただ静かに広がる満天の星空




   全知全能でありたいと願うこと


   足ることを知ること


   その狭間でいつも僕達は揺れ動いている





エントリ5  駝色の黄昏    いとう



少し煩かったので首に巻いた鎖を強めに引っ
張るとあっけなく死んでしまい仕方なくオブ
ジェにでもと思い立ち鎖を梁に掛けてそのま
まテコの原理でククッといや本当はズズっと
いう音がして小便やら大便やら臭うがすぐに
こうもりねずみがやってきて食べてしまうの
で清潔は保たれるので。

少年は勃起したまま死んでいる。オブジェと
しての価値と命は死後硬直の形によって吹き
込まれる。少年は勃起したまま死んでいる。
乾燥してから服を剥ぐと性経験のない少年は
勃起したまま死んでいる。怒張してなだらか
なウェイブを保ちそそり勃ち体躯に似つかわ
しくないそれはまるで寄生茸のように少年の
意志に反して。少年は勃起したまま死んでい
る。少年は勃起したまま死んでいる。少年は
勃起したまま死んでいるオブジェとして死ん
でいる少年のオブジェとして死んで勃起した
まま少年のオブジェとして勃起している少年
のオブジェは乾燥している。

少年の性器が熱を持ち膨脹している。満ち足
りた内部は変質を始め変質によって変節を主
張する少年の性器、熱を奪う掌によってしご
かれ熱を持ち黄白く粘った液が漏れ始め亀頭
の先を濡らすその汁を啜り飼っている子駱駝
に口移しで飲ませると嗚咽しながら涎を垂ら
す。すぐにこうもりねずみがやってきて、涎
は、すぐにこうもりねずみがやってきて、涎
は、(清潔は保たれるので)







エントリ6  1+1わたし成分    Y(檸檬)


1+1に
つながる、みち
ぐるり360度
せかい
どっちへ
すすめというの、わたしに。

わ  た  し
1  +  1
↓     ↓
体     心(魂)
↓     ↓
見える   見えない
↓     ↓
実体    想像上の
↓     ↓
肉体    霊魂
↓     ↓
表(外)  裏(内)
↓     ↓
遺伝子   不明
1  +  1
わ  た  し

言葉 + ことば
1  +  1
↓     ↓
表(外)  裏(内)
↓     ↓
意味    心

せ  か  い
1  +  1
↓  ↓  ↓
海  地  空
↓  ↓  ↓
昔  今  未来
↓  ↓  ↓
影  実体 光
1  +  1
↓  ↓  ↓
わ  た  し

せかいは、昔と今と未来 でできている
(みえないし、全部がどれだけかわからないけど)
わたしも、昔と今と未来 でできている
(みえないし、全部がどれだけかわからないけど)
からだも、昔と今と未来 でできている
(みえる所と、みえない所がある)
こころも、昔と今と未来 でできている
(おぼえてることとおぼえていないことがある)

赤ちゃんは、父遺伝子と母遺伝子でできている
    (場所をなおそう)
父遺伝子 → 赤ちゃん ← 母遺伝子
    (と、いうことは)

父からうけつがれたもの → 赤ちゃん ←母からうけつがれたもの
    (と、いう成分でできている)
    (もうすこし分析すると・・・)
父の体とこころ → 赤ちゃん ← 母の体とこころ
  (を、うけついで「赤ちゃん」はできている)

これが先祖代々つたわってにんげん社会はつづいている

つまり、コピーされた父の体と心 は 赤ちゃんの半分として保存される
つまり、コピーされた母の体と心 は 赤ちゃんの半分として保存される

つまり、先祖代々、半保存コピーコピーコピーコピーコピーコピーという
つまり、先祖代々、半保存SピーX、セピーX、Sピース、セピークスという

理性と本能のはざまでくりかえされた愛の半保存によってできている

からだもこころも愛でできている
ひと生命体 は 愛でできている
いきる  は 愛でできている
愛 は 求め でできている

ふりつもった 愛 と ピー
父の半分と母の半分と父の父の半分と父の母の半分と母の母の半分と母の父の半分も
わたしは、もっている。保存している。保存されている。
もっとその昔の父の母の父のも。
つまり、
それが、
遺伝子 ってやつで、
螺旋構造とかいうぐるぐるをつくっている
体のほうは。


で。


こころの遺伝子は?


みえないから ない なんていったら
きもち とか なくなっちゃうし。


で。


言葉は、にんげん に 似ていると わたしは思うから。
(だって、文字はみえるけど、文字に含まれたきもちはみえないから)

わたしは、その。
こころの遺伝子を
こころがふりつもった 愛 と ピー の歴史 という地層を

文字 とか 写真 とか 言葉 とか 
ありとあらゆるものをつかって
みえる側へ
もってこようという 詩を かいています

こころの遺伝子。
もう、みえているひとも、いる。
ぜんぜん、しらないひとも、いる。

みえないものからの招待状がとどきます。
とても、死にちかい場所にまで、
みえている人生命体が衰えたとき
(つまり、体が弱ってたり、心が弱ってたりしたとき)
その招待状に
地図はなくて
それは、みえないからで
でも、死にそうなときだから、とてもつらくて
ほんとうに死んじゃうかもって思いながら、その旅をつづけると
ようやく、父の半分と母の半分じゃない「わたし」がうまれたということがわかるの
です。


だから。


死にそうな
迷路にまよっている
旅人のために

わたしは詩をつむいでゆくのです

1  +  1

   の

わ  た  し

   で

わ  た  る
せ  か  い
ぐ  る  り
3  6  0 度

を、みわたすの、詩で。






エントリ7  シュレディンガーの猫はカツオブシの妄想に耽るか?    トノモトショウ


T

私は重度の猫アレルギーだが
部屋には3匹の猫がいる

ヘテロクロミアの黒猫「トマト」
右前足だけ異様に短い白猫「ワーグナー」
首が少し変な方向に曲がっている三毛猫「アイスピック」

もちろん私が名付けたわけではない


U

私は重度の猫アレルギーだから
3匹の猫の思考など読み取れるはずもない

これは可能性と必然性への問題提起だ
カツオブシ1本で解決できるものではないとしても
他に有効な手段があるだろうか

トマト好きの女が私に言った
「それぞれの瞳で全く別の物を見ているんだわ」

ワーグナー好きの女が私に言った
「とても大切な何かを置き忘れてきた結果でしょうね」

アイスピック好きの女が私に言った
「哲学してるのよ」

これは有限性と無限性への問題提起だ
カツオブシ1本で結論づけられるものだとしても
私にはわからない

私にはわからない


V

私は重度の猫アレルギーだが
3匹の猫の生臭いニオイが染み付いた部屋で

今日も気絶する





エントリ8  虞美人草    葉月みか


「俺以外の男とやりよったら絶対に殺したる」
そう言ってあの人は
あたしの躯にいろいろと細工を施して
最後に
美しい芥子の花を
白い内腿に彫り込んだ

哲学的で高尚な愛なんかには
これっぽっちも興味が持てなかったあたしは
そういう幼稚で解り易い愛し方を愛した

あたしとお酒と博打と犬と雪舟と自分をこよなく愛し
機械と新聞と蛇と山葵と人情に滅法弱かったあの人は
師走の忙しい時期に
珍しくパチンコで大勝ちして
いい気分で飲んで
ノーブレーキで塀に突っ込んで
あっけなく無うなりはった
景品交換した贋物のグッチを助手席に乗せて
そのしょうもなさが何ともあの人らしかった

明日あの人が焼かれる前に
哲学的で高尚な愛を語る青瓢箪をつかまえて
祭壇の前で芥子舐めさせて
金も取らんとはめさせたったら
怒ってるような泣いてるような顔で棺から出てきて
あの人
あたしのこと殺してくれんやろか





エントリ9  クリスマス    さつきばらかや


点灯!の掛け声が
テレビから聞こえる
気の早い人たちから
歓声が上がっている

あの頃外はまだ
コートも要らなかった

朝の息が白くなって
北の国では雪マーク
湯たんぽが欲しい

そんな12月の初めての日曜日
クローゼットから引っ張り出したのは
小さな小箱

一つ一つ丁寧に
箱から取り出していく

赤は服の色
緑は木の色
白は雪の色
黄は星の色

棚の上に飾って
クリスマスの準備完了





エントリ10  この夜のために    ヨケマキル


ボクとチィは焦っていた

ボクは皮膚の下がなんだかピリピリしていた
チィは目玉がぐらぐらしていた

夜だった
ぴったりの夜だった
月は見事に切断されていたし
電話ボックスは来ない誰かを待っていた

とにかくボクたちは焦っていた







「教会に行って何をするの?」チィが言った


『わからない』

ボクは地球が今日で終わる気がしていた
チィは「今夜の空気は生きてるみたいだ」と言った

「真っ暗だね」

『窓ガラスを割ろう』


石を拾って教会の窓ガラスを割った


『わかった』

「なにが?」

『ここに来た理由が』

「・・・・・」


鍵を開けて窓を開け侵入した



『ほら、わかるだろ』






「・・・におい?」


『そうだよ においだよ』

「あの映画館のにおいだ」

『うん』

「なんでかなあ」

『うん 奇跡かもね』




<今から2年前 映画館[ニューキロス]にて>

一番後ろの席で映画を見ていたボクの肩をチィが叩いた

「ねえねえ この映画のだめなところ教えて欲しい?」

もちろん初対面だった

上映していた映画は[アルミニウムの底]というニホン映画


突然の言葉に少し驚いたんだけどなんだか面白そうだったんで
『教えて』と言った


「それはねえ。。。。
 オープニングから今まで キミにあくびを5回もさせてしまったところだ」

『ははははは』

「ふふふ」

『寝不足なんだ』


次の瞬間チィはボクにキスをした

[ニューキロス]では
禁煙マークなんかお構いなしでタバコを吸いまくるおじさん達や
優待券で入って来て ただ眠るのだけが目的の人や
映画そっちのけでひそひそ話に興ずる恋人たち

ボクは
そんな映画館のにおいが欲しくてそこにいた


『出ようか』
ボクは言った

「いや 終わりまで見て行こうよ」チィがあっさりと言った

『つまんない映画じゃないか』

「うん でも外よりはましだよ」

『それもそうだね』









「何を祈ってるの?信者じゃないだろ」

『いいからチィも祈るんだ』

「だから何のために?」



『この夜のために』










エントリ11  表面張力    大覚アキラ


夕方。

昼過ぎから降り続いた雨は思い出したように止み
濡れたアスファルトに朝日のような夕日が射すと、
ちょっとくたびれた世界は
透きとおった群青色と鮮やかなオレンジ色の輝きで覆われる。

湿り気を帯びた少し肌寒い空気の中、
土佐堀通りと四ツ橋筋の交差点のところで
道に迷った阿呆のようにポカンと口を開いて
おれは突っ立っている。

道路沿いの植え込みの深緑の葉っぱのふちの
ギザギザしたところに雨の雫が集まって
今にも落ちそうになっているのを穴が開くほど見つめながら
ただひたすら呪文のように、表面張力、という単語だけを
心の中で反芻し続ける。

表面張力、

表面張力、

表面張力、

そうだ、しがみつけ
しがみついて決して零れ落ちるな、

そうやって祈るように、表面張力、という単語だけを
心の中で反芻し続けている。

きっと今この瞬間、
土佐堀通りと四ツ橋筋の交差点のところで
道に迷った阿呆のようにポカンと口を開いて
突っ立っているおれは
葉っぱのふちで今にも零れ落ちそうになっている雫と同じように
危うい表面張力でこの世界の端にしがみついているのだろう。

背中をちょん、と突付かれたら
音もなく弾けるように世界から溢れてしまって
きっと消えてなくなってしまうから、

だから、
おれは目を閉じて、表面張力、という単語だけを
心の中で反芻し続ける。

そうだ、しがみつけ、
しがみついて踏みとどまれ、

今、この瞬間に。





エントリ12  iの時間    紫生 


こどくのゆびがふれるのは
はらはらとうつくしいもの
ぴかぴかとくろずんだもの
きらきらとまがまがしいクリスタルスカルの鬼火
鬼火のひとつがつぶやきます
小声をつかってささやきます

妖精ノシンゾウハ ドスグロクコゴッタ だいやもんどデ デキテイマス
ふぁんたじーニ コキツカワレテ モエツキテシマッタ だいやもんどデデス
ノミコメバ宇宙ニダッテ ナレルデショウ

ワタシハ宇宙ハキライデス
数学トイウ魔法ヲツカッテ へろへろト浪漫ナドカタルカラデス
反吐ガデルホド大スキデス キライナモノハスキナンデス
ソレユエ ワタシハコドクデス

コドクトハ 闇トマグワウ堕落ノ閃光
虚数ニコガレルクルッタ純真

サテ
セカイハ巨大ナ詩デデキテイマス
太母ノゴトキ 慈愛ニ満チテオソロシイ
ソウイッタ詩で 象づくられているのです

世界中のあちこちに
詩のカケラがはりついています
詩の赤ん坊が生えています
詩はいたるところにさんらんします
散らばってはびこって 詩が詩をうんで
世界は偉大な詩そのものです

珈琲色の夜
たとえていうなら
まるで瀕死の宇宙の様な
安らいでさわぎのない
珈琲色の真夜中

詩の赤ん坊は声をさわさわふるわせて
つたない言葉でうたいます
 (シッテツクルモノジャナイネ)
こどくのゆびを天にむけ
 (デキチャウモノダネ)
つかの間狂れたりするのです
 (サビシイネ)
遠いこどくと通じるために
 (タノシイネ)
年ふりた星をまね
 (ウマレルコトモシヌコトモ)
声なき声でうたうのです
それはぎざぎざといたいたしいなぞなぞ

こどくはぴかりと笑います





エントリ13  手に、時雨    ながしろばんり


千日の夜、明けずに空は散らかり
「雨さえ降ってくれれば」本当にそう思う
古い約束が、少しでもふくらんで
一つ、一つの水滴にならないかな

洋梨は机の上に置いたきり。
母は気がふれてどっかにいっちゃった
でも、雨をこんなにも近くに感じるのは
彼女と誰かの事情に違いない。

誰かと、
何かを。

知りたいことも無い。とうに、あなたの世界なんか
吐き出したすべてに、みんな、入っているもの。
「世界は砂の上」もう、わかってるくせに
もうみんな、消えたの。雨はもう、降らないし。

酸の果実を握りつぶして
啜って渇きを療すよりも
この静けさの砂の下で
時雨を待って、もう一眠りしたい





エントリ14  さあ、メールを書こう。そう、思い立って、携帯をとりだしたんだ。ディスプレイを眺めて、いま、君に伝えたい言葉に指が踊る。でも、ボタンを飛び跳ねる指が、ふと、とまった。    沙汰



好き すき スキ suki

いま、君に伝えるにはどの言葉がいいんだろう。





エントリ15  ブルーノの白い歯    空人


生きるという 当たり前のことすらもう嫌になってしまって
ふと思いついたブラジルへ 周囲には知らせず旅立った
サンパウロから アマゾンの港町マナウスへ
僕はそこで ブルーノという日系人に出会った
僕らは すぐに親しくなった

ブルーノはアマゾン川のずっと上流の 電気もガスもない集落に
物資を運ぶ仕事をしていた
「どうしてここ きたね?」
「いろいろあってね」
「悩み あるか?」

僕らは薄暗い舟の上でそんな会話をした

「どうして分かる?」
「そんな 顔してる」
「そうか ブルーノはなんでこんな仕事してる?」
「はじめた 聞かれた」
「楽しそうだもんな」
「そうよう 子どもたち 喜ぶ見るのがな」
「役者をめざしてたんだ でも どうにもダメでさ」
「有名 なりたいか?」
「ああ なりたいよ オレという存在を世界に知らしめたかった
 おおげさだけどな メル・ギブソン アルパチーノ 渋いな 無理だけど」
「そうよう」
「ブルーノはこのまま自分の存在を なんて言うのかな
 こんなアマゾンの深いところで 限られた人間にしか知られないで
 いずれ死んでいくのは 嫌だと思わないか?」

沈黙は闇に溶け 闇は再び僕の心を覆った

「すまん 酷い言い方だ」
「子どもたち メルキプソン アリパチノ 知らない
 家族以外 知ってる オレだけよ それ ぜんぜん悪いこと ない」
「そっか 要するに子どもたちにとって ブルーノがメル・ギブソンなんだな」
「ちっかう ちかう ブルーノはブルーノ」
「あはは 分かってるよ そうだな ブルーノはブルーノ オレはオレ
 ブルーノ ここに来て良かったよ」

暗闇に 白い歯が輝いた
僕はなんだか 泣きたくなった






エントリ16  花園    ぶるぶる☆どっぐちゃん


爆炎を背にして

モナリザを片手に

微笑む

クレオパトラ


黒い髪 黒いドレスを翻して



ブルータス少年がピアノを弾いている
さっきまで絵を描いていたから絵の具にめちゃくちゃに汚れたその細い指で
白鍵黒鍵をばらばらな色彩で汚して

新宿にはもうすぐ雨が降り全てを嘘にする
傘は無い
傘は誰も持っていない
灰色の空を見上げる人々
廃ビルに覆われた空を見上げる人々
コンクリートの雨に
モナリザは
ばらばらに砕け散って
世界中に散らばって
蝶になったり人になったり愛になったり夢になったり
ばらばらで色とりどりの欠片



モナリザはアスファルトの路上で目覚めた
空には蝶だったり愛だったり夢だったり虹だったり
そんなものが見え
モナリザは歩き出し

そして

ベルリンの壁には
ブルータス少年の描いた

めちゃめちゃな色彩の

綺麗な

花々


コンクリートの雨に濡れて