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第75回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1(欠番)
2last remedy矢凪祐179
3三文映画「チルアウト」トノモトショウ406
4いろいろな漫画霧一タカシ241
5君に自由を見るのさ大覚アキラ596
6速く、低く、飛べイグチユウイチ192
7行方のない先空人83
8指瓶詰メヨケマキル450
9彼女葉月みか382
10証躰ながしろばんり227




 


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エントリ2  last remedy    矢凪祐


小さな傷痕は全身に転移して
この身を蝕んでゆく
最期の時が来るのを
痛い程感じる

あらゆる方法は効き目の無いまま
無数の薬がそこら中に散らばって
私を嘲笑う

もう逃げ道は無い

貴方の優しさは儚過ぎて
弱り果てたこの心に
鋭く突き刺さるから
「もう一度」なんて云え無い

あの美しい朝焼けも
透明な月光も
私には見え無い

戦うことにも疲れた

貴方の結論は正しい
私に残された治療はたったひとつだけ





エントリ3  三文映画「チルアウト」    トノモトショウ


ウォーホルを撃った女の表情で
愛について語る君の夜を抱いていた

シーン1
・イレイザーヘッドの白鳥のざわめき
・水浸しのキッチンで性交する人工知能
・舗道で祈る宗教家の耳朶の欠陥
・弱肉強食の最下層ではオレ達のメーデー
・サイケデリック兄弟の記念品
・望郷を示唆する夕焼小焼の空

シーン2
・インターネットの不自由性(図解)

シーン3
・トリックスターの世紀末発言
・非常線を横切る発光体
・義足の雌鳥で埋め尽くされた箱
・グラビアアイドルの破滅的プライベート
・公衆便所の卑猥な落書きと掃除夫
・回転式エレクトリックギターを切断
・ミートソースで汚れた彼らの唇
・アジア首脳会議におけるコカコーラの効用
・真冬のプールに沈殿する菌類の倍率
・歴史に葬られた詩人たちの夢
・少女の肩に取り憑いた百年の孤独

シーン4〜シーン7
※フィルム紛失のため省略

シーン8
・地方新聞の三面記事(抜粋)
・精神障害者のためのジョーク
・ヘルタースケルターという名の戦争

エンドロール





エントリ4  いろいろな漫画
    霧一タカシ


いろいろな漫画を読むのが好きだ。
漫画の景色を描く。
いろいろな人が歌を聴いてくれた。
本の漫画を作りたい。
漫画を読むのが好きです。
いろいろな本が何を訴えているかテーマを読む。
船に乗って旅行する。
漫画をきれいに読む。
マジックを買って絵を描く。
いろいろな商品を買う。
僕は貯金をする。
いろいろな雑誌が何かを書いている。
僕はいろいろな人が小説を書く姿を漫画に描く。
資料を買う。
いろいろな飛行機が飛んでいる。
町にはいろいろな本が売っている。
ピアノを弾く。
仕事の漫画を描く。
僕はいろいろな本を読む。





作者付記:いろいろな漫画を描いています。
僕は本を読むのが好きです。







エントリ5  君に自由を見るのさ    大覚アキラ


わかりあえる なんて これっぽっちも思ってないから
せめて わかりあえてるポーズだけでもしようか
微笑みあって 握手して ハグして

それさえもできない相手とは 殺しあえばいいじゃないか
心の中で撃ち殺すのさ 言葉で



詩人です なんてぬけぬけと言ってのける奴は
それだけを理由に殺されても仕方がない

そういう世界と紙一重のところに立っていることを
おれたちはよく知っておかなければならない



怖いもの知らずの子どもたちが
自由を探して旅に出る

携えている武器は言葉

強くて残酷な言葉

さあ はやくボーダーを越えてこっちに来い
わかりあえない奴らを皆殺しにして
そいつらの死体を踏み越えて

ときには
泣き言をこぼしたり 強がって見せたりしながら
足元の小さな花にくちづける優しさや
君たちの 弱さや恐れをつぶやきながら進め

そのつぶやきは 詩になり
やがて君たちは
どこから見ても立派な一人前の詩人になる

君たちは いつか
それだけを理由に殺される(かもしれない)
キャプテン・アメリカとビリーみたいに あっけなく



イージーライダーを観て かっこいいなんて思うのは
君たちがまだ 安全地帯に立っている証拠だ

腕時計を捨てただけで自由になれるとしたら
だれも苦しまないだろう



わかってもらえる なんて これっぽっちも思ってないから
せめて わかりたいんだ 君たちのことを

それさえもごめんだと言うならば
いますぐ おれを殺せばいい

それこそが 君たちが信じている自由だ





エントリ6  速く、低く、飛べ    イグチユウイチ


グンカンドリと言う大きな海鳥が、
東京の真ん中を滑るように飛んでいる。

俺が高いビルの屋上から、
その三角の影が街を切り裂いていく姿に魅せられていたら
グンカンドリは俺の隣に降りてきて言ったんだ。

お前も、速く、低く、飛べ、と。

神の使いのようで気に入らないが、苦笑いしかできない。
やがて鳥はまた飛んでいった。
その影が溶けて無くなるまで、空の一点を睨み続けた。
チリチリとした思いだけが残る、五月。






エントリ7  行方のない先    空人


朝焼けの空
ただ一羽 飛んでいく はぐれ鳥の姿を見た

その息づかい その筋肉の張り
その 孤独を思うと
「さよならだけが 人生だ」なんて言葉すら
陳腐に思えてくる

ひとりの夜明け






エントリ8  指瓶詰メ    ヨケマキル


食品工場の作業員の切断された指が
まとめて10本入っている瓶詰めが
スーパーで売られていた

ボクは買わなかった
ボクはその隣に置いてあったゼリービーンズを買った

そして黄色いバスに乗り公園へ向かった

バスの後部座席に座り新聞を読んでいると
さっきの瓶詰め指の話題が載っていた

事故やナニカで指をなくした人が瓶詰めを買って
医者に縫い付けてもらっているそうだ

でも10本もいらないだろうに
残りはどうするのだろう

ご近所にお裾分けか
それともまた指をなくした時のためにとっておくのか

公園に到着
バスを降りた

ちょっと待てよ
合うサイズの指がなかったらどうするのだろう

そんなに安い値段でもなかったから
何個も買うのは大変だ

合うサイズが出るまで買っていたら
部屋中サイズの合わない他人の指だらけになってしまう

ベンチに座る
空が青い

さっきのゼリービーンズを食べようと思い
鞄からスーパーの袋を出して中を見ると

指瓶詰めが入っていた

間違えて買ったのかな

でも見てみたかったからちょうどいい

ふたをあけると
いきなり白くてきれいな女の指が見えたので
うれしかった








エントリ9  彼女    葉月みか


美奈には女友達がいない
もちろん私も友達なんかじゃない
かといって男友達がいるわけでもない
美奈のまわりにいるのは
ヤリモクの男ばっかり

実際より随分若く見えるのも
別に褒め言葉なんかじゃない
何かが足りない
何かが壊れてる
ただ それだけ

同窓会が開かれるたびに
美奈はどんどん浮いていく

私はいつも遠くから そんな美奈を眺めている

デリヘル頼んだら美奈だった とか
白金で金持ちに飼われてる とか
極妻になってダンナの出所待ち とか
子持ちで中野のボロアパートに住んでる とか
素人投稿サイトにそっくりなのがいる とか

まあ
酒の肴は尽きないけど

美奈が今どんな暮らしをしているのか 誰も知らない

かわいい美奈
きれいな美奈
いつまで経っても汚れを知らない
無垢な少女のような目をした美奈

同窓会が開かれるたびに
美奈はどんどん浮いていく

私はいつも遠くから そんな美奈を眺めている


私は



私は美奈にだけはなりたくない





エントリ10  証躰    ながしろばんり


暑い日で
暑い日で

二羽のカラス、もつれて落ちてきまして
一匹は柳に浮かび
一匹はちょうど来たタクシーに撥ねられ
ごろごろとわたくしにまでころがってきた

ぜいぜいひゅうひゅうというのは
生物共通の言語記号です
死にます
まちがいなく、死ぬでしょう

タクシーの後部座席の男の
巨きな鼻だけは覚えている
たばこの煙を噴き出していたが
なぜか紫色で記憶している

ぜいぜいひゅうひゅう
ぜいぜいひゅうひゅうの元の
25°にずれたくちばし
ずれたくちばしのおくの
生暖かな舌のピンク

ああ、
多分、これだ。