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第77回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1聖五月藤幹子293
2あかり待子あかね174
3日曜日の微笑み桜はるらん249
4Annihilate poets!大覚アキラ246
5考察〈海辺にて〉Tsu-Yo144
6アイスコーヒー・イン・ザ・レッドストロー21CB315
7千希375
8ヒドラ皇帝ヨケマキル635
9灰色の世界トノモトショウ561
10プロモーションビデオぶるぶる☆どっぐちゃん323




 


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エントリ1  聖五月    藤幹子


おひさまがあんまりまぶしいものだから
海を土鍋で煮こぼさうかな



まいまいつむろ えすかるご
うみうし 巳年 あめふらし
お鍋の中でさあたいへん 


ひととび飛んでかあさんは
へびつかい座に行きました
ふたりならんでいきました

さあ坊ちゃん嬢ちゃんお立ち会い! 
本物かあさんどっちかな?




梅は実って 俵が落ちて
ガラスだま 塩で磨かれて

入道雲のその先の 垂乳根の上のポン菓子屋

空砲ひとつ 唱歌はふたつ
人間大砲 たまごやき


お豆腐屋さん出てきておくれ かすてら一丁くださいな


その先立ち入り禁止なり
給水塔のてっぺんに 白旗あげておきましょう
無数のかあさん盛大に 落ちてくる日の目印に



「ああいまでせう
 さんたまりあ。」







エントリ2  あかり    待子あかね


明かりのつかないアカリちゃん
だれを照らすこともない
気まま思いのままに
ただひとりでぷらぷらと 走る

明かりのつかないアカリちゃん
名づけ親はパパ
いつもアカリちゃんにまたがっている
彼女にのるのはパパだけだ

パパはいつでも寂しくなんかない
パパにはママがいない
パパにはアカリちゃんがいるだけ

真っ赤な色したアカリちゃん
明かりを求めるパパなのよ
自転車飛ばして 夜の街





エントリ3  日曜日の微笑み    桜はるらん


白い雲が
笑ってはじけた
青い空の上の日曜日

お日様が縁側の膝に
腰掛けて陽だまりを作り
子猫がシアワセな足跡をつける

青空のぞく日曜日の昼下がり
僕は君と公園の噴水の前で
若草色のお弁当を広げるんだ

君は今朝焼いてきたばかりの
ワッフルのバニラビーンズの
甘い香りを髪にからませて

公園のモニュメントの
小鳥を抱いた少女の真似して
ポーズを取り僕にそっと微笑む

動かないで、そのままそのまま
だけど僕がシャッターを切った瞬間
君の手のひらの小鳥は逃げて

青空の中もう見えないね
バイバイ、と君と小鳥に手を振った
昼下がりの日曜日の微笑み






エントリ4  Annihilate poets!
    大覚アキラ


塗りつぶされたような無が
地平線まで続く平坦な荒地を
軽やかに飛んでゆく

この
とても静かで安らぎに満ちた風景

墓石に腰掛けながら
盲いた老人が呟いた呪いのことばは
もはやだれ一人
傷つける力を持たない



墓地だ

ここは見事なまでに

墓地だ



くさった波止場のぬすっと犬は
一匹残らず保健所で処分されました

冬が来ても雨雪(あめゆじゅ)は
この国には降ることはありません

悲しみは光り輝くカナシミになって
もう汚れてなんかいません

「かんじゅせい」という名の美しい病は
天然痘のように絶滅しました



だから
ぼくはもう
衝動しか信じないのです





エントリ5  考察〈海辺にて〉    Tsu-Yo



水平線に帽子を被せている人を見た
世界と対等に向き合うということは
それほど
難しいことではないのかもしれない
子供たちに蹴飛ばされた波が
海の向こうで
砂浜に描かれた絵を消している
(あるいは誰かを暗い海の底へと)


傷つけることでしか
繋がれない時もある
じっと見つめられると
やはり
僕らは無口になってしまう







エントリ6  アイスコーヒー・イン・ザ・レッドストロー    21CB


アイスコーヒー・イン・ザ・レッドストロー
アイスコーヒー・イン・ザ・レッドストロー

コワレカケの筆ペン持って、
いつも心はプラネタリウムで、
秋の夕日に涙がこぼれて、
最終回は突然で。

アイスコーヒー・イン・ザ・レッドストロー
アイスコーヒー・イン・ザ・レッドストロー

重い十字架背負った気になり、
実はでっかい翼なのに、
うっとうしくて放り投げたり、
最後の夜のサンダーグラス。

アイスコーヒー・イン・ザ・レッドストロー
アイスコーヒー・イン・ザ・レッドストロー

ひとまずポーション入れてみて、
ひとまずガムシロ入れてみて、
いや、その前にタバコを吸って、
最後に全てをかき混ぜて。

アイスコーヒー・イン・ザ・レッドストロー
アイスコーヒー・イン・ザ・レッドストロー






エントリ7      千希


人形を買いました
固く冷たいビスクドール
柔らかな金の髪
白くなめらかな肌
持っていないのは体温

人形を買いました
固く冷たいビスクドール
目を閉じたお人形
僕がキスをしても
けして開かぬ強張った瞼

人形を買いました
固く冷たいビスクドール
きれいなお洋服を着せて
きれいに髪を梳いて
きれいなベッドに寝かせた

人形を買いました
固く冷たいビスクドール
僕が何をしたって
何も返してくれないお人形
だから

人形を買いました
固く冷たいビスクドール
何もしない何もしてくれない
けれど
僕の隣にいてくれる

人形を買いました
固く冷たいビスクドール
けれど壊してしまいました
固く冷たいビスクドール
君の瞳の色が見てみたくて

人形は割れました
もう形の無いビスクドール
後に残ったのは
陶器の欠片と
コバルトブルーの硝子玉

人形はもうありません
僕の手には硝子玉
ビスクドールの瞳が一対
それを握りしめて僕は
街へ、恋をしに出かける






エントリ8  ヒドラ皇帝    ヨケマキル


腐りかけの人工梅毒蝿犬「ヒドラハウンド」と
優生軍用犬R41を無理矢理交尾させて産まれた暴犬に
年代物の戦闘用ドラッグ「サイゴンクラック」を
注射器でぶち込んで
気ふれの淫売女とファックさせて産まれた
今は亡きビヨル・ギーダ−博士の最高傑作
彼こそが異形の暴君
通称「ヒドラ皇帝」

学名「バァストハウンドヒューマンヒドラ」である

双頭のペニスを持ち
片方からは精液が常に流れ出している

旧市街第3地区では
そのにおいを嗅ぎ付けた博士の失敗作のイヌ人間(メス)たちが
ファックの後に処刑されるのを楽しみにして
享楽のよだれを垂らす

もう一方のペニスは
自らの横腹にあるヴァギナに突っ込んで
入れたり出したり入れたり出したり

そのマスターベーションファックにより
次々と彼の子供が産み落とされている



高熱をたっぷりとたくわえた旧市街第13地区
廃虚となったビルの一室で
Z旗をすっぽりかぶったヒドラチルドレン4人が
主君、すなわちヒドラ皇帝の暗殺計画を錬っている

そこにガラスが割れる音とともに
真っ黒い羽根で歯がギロチンになっている
蠅犬が窓から飛び込んできた

「皇帝陛下!」
チルドレンの一人が叫んだ

皇帝の鋭い爪が一人の喉に食い込む
Z旗に血しぶき

メタリック装甲の右腕を振り回し
もう一人の頭を一撃
吹っ飛ばされた血だらけの頭が壁に張り付いた

それに一礼するヒドラ皇帝

振り返ると
興奮状態で異常に突き出た残り二人のペニスを
両手でつかみ根元から引きちぎった

さらに歯のギロチンが二人の頭に交互に
バサバサと鋭く重く斬りつける

4人の子供達は絶命した







エントリ9  灰色の世界    トノモトショウ


これは七日ほど前の夢の話だが
私は延々と続く線路の中央に茫然と立っていて
私の四肢をバラバラに砕き…
私の内臓をビラビラに抉る…
恍惚的な妄想の支配者たる列車を待っていた
しかし目前に不意に現れるという気配すらなく
ただ頭上の鳶のびゅるうるると啼く声に怯えていた
風は無いが足元に広がる灰は
緩やかに舞っている

そしてこれは三日前の夢だ
普段あまり会話のない父が突然私の寝室に入って来て
母さんを殺して来たんだが、お前も死ぬか?
右手には血で染まった包丁を握り締めていて
母さんが鰯の天麩羅を作ったんだが、お前も食うか?
といった質問と同じトーンのとんでもない台詞で
私は殺されそうなことよりも緊張感のなさに腹が立って
父の包丁を奪って喉元を切り裂いてやったら
ぱっくり開いた傷口からびゅるうるると空気が漏れ
何故か部屋の中に広がっている灰を
すっかり吹き散らした

最後に今日の白昼夢のことを書いておく
私は海岸沿いの道を毎日のように散歩するのだが
いつも小さな犬を連れた婦人と挨拶を交わす
何気ない会話をする時もあるし、笑顔を向けるだけの時もある
なんだかよくわからない衝動に駆られてしまい
婦人の使い古された女性器に小犬の頭を捩じ込んで
びゅるうるるうびゅるうるるといやらしい音を鳴らして
そのまま定刻通りのバスに乗ることも…あるはずだ
街は灰に覆われているが
私の心は平和だ





エントリ10  プロモーションビデオ    ぶるぶる☆どっぐちゃん


「プロモーションビデオどうする?」
レンズの男
カメラを十個ぶら下げて
歩き続ける
雨だ
雨は雨だ
虹は虹か?
草原には超巨大スピーカー
演説 ノイズ ノイズ
演説 ノイズ ノイズ ノイズ
ライオンが雨に濡れている
ライフルの花を食む
「プロモーションビデオどうする?」
こんなのにしよう
いきそうかい? いく、いくう お尻でいくう
ららららぁ 遠くまでぇ 行こうよー
はりつけにされた猫
百万枚売れた感想は?
百万冊売れた感想は?
いくう
(去年出版された本。恋人を殺した……1200冊。恋人に殺された……400冊。恋人を失った……2万冊。現存する花の種類……数万種。今世紀に滅んだ花の種類……数百種)
花束の男達 男達のキス
「死は等しい」
被告は無罪です
手首の傷を見ろ
十字架を見ろ

忘れろ