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第82回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1境界グリーン金河南149
2うずくまる男待子あかね499
3東京の愛人大覚アキラ610
4BETRAYER矢凪祐71
5てんしのうそなき紫生267
6さんすう鈴木51
7あなたの声が聞きたくて桜はるらん308
8ジャック・ダニエルTsu-Yo608
920分トノモトショウ360
10くるくるワールドヨケマキル922
11ソレイユkikki331
12路上のジャコメッティぶるぶる☆どっぐちゃん435




 


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エントリ1  境界グリーン    金河南


ペロリ

めくった裏側に

雪が

もっていることを

僕は
もう知っている


ペシャリ

舐めた川岸の木に

君が

っていたことを

僕は
もう知っている


想像の中で君は

ペチリ

僕の

を叩いて

あっけなく崩れ落ちた滴は
雪の合間に落ち


ペタリ

地面

張り付くんだ


名前の頭文字が 「ふ」 だった


それは淡いグリーンの相を呈して

僕らの合間に

いた






エントリ2  うずくまる男    待子あかね


きみは ただうずくまる男
地下道に ただ いつからかうずくまっている
そんな噂を ミカから聞いた
きみは ただうずくまる男

きみは ただうずくまる男
国道沿いのローソンの角っこに
そんな噂を ミカから聞いた
いつでも 膝っ小僧と睨めっこのきみ

看板を抱えている
看板を抱えている
「先立つものがありません」
「助けてくれませんか」

いっしょにカラオケ行ったあの夜を
いっしょに朝を迎えたあの一日を
いっしょにマクドナルドに入ったあの昼を
思い出さないわけじゃない

離れ離れになった原因さえ
いまはすぐに 思い出すことができずにいる
すぐにいまは 思い出すことができずにいる

そういえば この腕時計は
きみがくれた誕生日プレゼントだったっけな
そういえば この首飾りは
きみがくれたクリスマスプレゼントだったっけな

ミカに確かめてみようか
きみがどこにいたかということを
きみがどこにいるかということを

だが ミカが覚えていなかったら
ミカは人伝いに聞いただけだったら
詳しいことは何もわからないだろう

もう きみの行方は何もわからないだろう
もう きみの足跡はみつけられないだろう

ああ だれかを誘ってみたくなるな
「色っぽい歌を いっしょに歌いに行きませんか」





エントリ3  東京の愛人    大覚アキラ


東京に来ると
いつも雨降りでうんざりする

駅前のコンビニで買った
乳白色のビニール傘に
雨粒がボトボトと落ちてくる

東京メトロ
丸の内線で一駅
銀座まで
その短い時間でメールを打って
銀座駅のホームから送信する

「私は誰かの愛人になりたいんです」

酔っ払ってそう口走っていた女に
月並みで説教じみたメールを送信する

東京メトロポリス
あの高層ビルは
いったい何階建てなんだろう
あの最上階に住んでいるのは
いったいどんな奴なんだろう

そいつの
愛人を犯してやりたい

そんな想像をしながら
山手線に乗り込む
そして
うたた寝する
飛ぶ夢を見る
涎を垂らす
隣に座ったOLの肩にもたれる

「おれも誰かの愛人になりたいんです」

そんなことを口走る夢を見て
目が覚めると
満員電車の中で
誰かがひそひそと喋っている
大阪弁で

「東京には
 呪いがかかっとる気がするわ

 日本中の
 いや世界中のどこにも
 こんなに都市伝説が似合う街はあらへんで」

こいつの
愛人を犯してやりたい

そんな想像をしながら
アメ横の薄汚れた屋台で
ジョッキのホッピーをあおる
雨に滲むネオンを眺めていると

「私は誰かの愛人になりたいんです」

誰かが小さな声で
独り言みたいに呟くのが聴こえたので
隣に座っている若い水商売風の女に

「きみも誰かの愛人になりたいんですか」

と訊ねたおれの声は
電車が高架を走り抜けていく騒音に
掻き消された

ビニール傘は
どこかに置き忘れてきてしまった
そういえば
メールの返事は来ないままだ

東京に来ると
いつも雨降りでうんざりする





エントリ4  BETRAYER
    矢凪祐


Destroy the whole world.

I’m a betrayer.

I need nothing more.


See the spoiled world.

It’s wounded.

It’s time to make a change.


We are betrayers.





エントリ5  てんしのうそなき    紫生


わたし
あなたをしあわせにするために
うまれてきたのじゃないわ

なのに
あなたがなみだしていると
なんだかなけてくるの

にゃあ にゃあ にゃあ

にくきゅうであなたのひざ
ふみふみしながら
なんども なんども なけちゃうの

しあわせはおさかなのかたちよ
それから おひさまのにおい
いのちのぬくもり……

あっ みて
てんきあめよ
おさかなのくももおよいでる

ん? だっこしてくれるの
それはしあわせだにゃん
ついでに みるくもちょうだい

あなたってば
わたしをしあわせにするために
うまれてきたのじゃないかしら

なんだか そんなきがする
きょうこのごろ

おちばが かさこそわらってます






エントリ6  さんすう    鈴木


位置+位置=荷

荷+荷=死

死―位置=産

産+産=ROCK

(RO×CK)+(RO×CK)=煩悩


カテゴリーなんてクソ食らえってことさ





エントリ7  あなたの声が聞きたくて    桜はるらん


2年ぶりにあなたに電話してみた
携帯の番号は変わっていなかった
けど、あなたの声が違ってた

「声が違うね、何だか違う人みたい」
いまは風邪を引いてるからね、
とあなたは言い4分位とりとめのない会話をした

不思議とドキドキ感は無かった
でも
きっと、これでいいんだよね?

「おやすみなさい」と電話を切った
その4日後に非通知の不在着信の
電話が1件あった

あなたから?
でも
もしかして違う人かもしれない

2年前のあなたの声が聞きたい
私が記憶している
あなたの声が聞きたい

無邪気でイジワルそうで
素っ気無くて
でもどこか暖かいあなたの声が

あなたにまた電話したい
でも、また違う人の声だったら
どうしよう?って、そう思う

いつまでも風邪を引いてるワケは無いのに、ね







エントリ8  ジャック・ダニエル    Tsu-Yo


ジャック・ダニエルは7歳だった
ジャック・ダニエルは産まれてしまった
ジャック・ダニエルは7歳なのにもう産まれてしまった

世界は一つではなかった
だが現実はいつも一つだ
ジャック・ダニエルがそう知ったとき
激しい痛みとともに二本の足が生えてきて
悔しいことではあるが
気が付けば歩き方まで覚えていた



ジャック・ダニエルは13歳になった
ジャック・ダニエルは気が付いてしまった
ジャック・ダニエルは13歳なのにもう気が付いてしまった

夜は凍えるほどに
星と心を明るみにさらけ出させた
パズルのピースは一つとして同じものはない
自分は今日とても自分である
アメリカという国はただ一つ
自由の為の大きな穴を用意していた



ジャック・ダニエルは16歳をむかえた
ジャック・ダニエルは掴まえてしまった
ジャック・ダニエルは16歳なのにもう掴まえてしまった

失敗は成功の母だと誰かが言った
では成功は何を産み落とすのか
心は頭よりも非凡だった
流れていくものは水でも時間でもすくい上げた
すくい上げては岩の陰で眠る
辿り着く場所のない死者達に分け与えた





星霜の孤独が歌う
嗚呼、ただ流れろ
永遠よテネシーにて死ね





ジャック・ダニエルは61歳に包まれた
ジャック・ダニエルは行ってしまった
ジャック・ダニエルは61歳なのにもう行ってしまった

沈黙は確かな質量を持っていた
自由はとても罪深かったが
罪を裁くための法律はなかった
伝説は人とともに消えてゆき
渇いた心を湿らすために
ただ一杯のウィスキーが残った













エントリ9  20分    トノモトショウ


視界の隅に見慣れない虫の影
揺らめいたり消えたりする
掌で無理に追い払おうとしても
実際にはそこに虫なんていない
そんなことくらいとっくに承知しているわ

男は私の乳首を貪るように噛んでいる
うっすら浮かぶ血の味を確かめながら
愛してるなどの下らない言葉を紡ぐのだ
私は男の名前を知らないが
男は私の名前を呼んでいる
そういう時の私は
私の名前を騙る誰かの姿になりながら
私という事象に平伏すという
不思議な感覚になる
小さな呻き声をあげる私
 の姿を見守る私
  を風景として捉える私
   に嫌悪する私
    が愛しい私の心
     で感じる私の身体
      に隷属する私の心
が震える

増えていく
幻想の隠微な虫達が
一斉に私の耳から入り込んで
眼球の表面を滑っていく
イメージ
する私は現実で
男の熱い精液を下腹に浴びて
一瞬、
失神する現実を
イメージする私の20分





エントリ10  くるくるワールド    ヨケマキル


「すべての事は正しく進む」
なんて ヨケマキルは歌い
「ぼくは喉が渇いてきたよ」
なんて ながしろばんりは歌い
「I know tonight. she comes」
なんて ラジオでカーズは歌い


ボクは盗み見る
世界の色々や
盗み見る
人の色々を


「新宿には鬼がいるぞ」
と 岡崎龍夫は言い
「江原啓之は大っ嫌いだ」
と 王は言い
「怒ってる人の顔はみにくい」
と トノモトショウは言い


今日も地球は回る
誰かがそう言ったから


「まあ、なんとか、しますよ。」
と モーヌ。は言い
「そもそも、何をすればいいのかわからない」
と ムラコシ剛は言い
「インターネットは痛み止めにはなるかもしれないが
 治療薬にはならない」
と 西山あまねは言い


ボクは盗み聞く
音の色々や
盗み聞く
声の色々を


ボクは真実 ボクは匿名のテロリスト ボクはモスラ ボクはうそつき


「水汲みの少年ガニメデが友達だった」
と Youは言い
「ゲームじゃないんだよ。この世の中」
と 川合さやかは言い
「思っていた数倍も私の手は小さく、握れるものはそうないのだ」
と ミズは言い


ボクは悲しき16才、ボクは悲しきカンガルー
ボクは悲しき街角、ボクは悲しきヒット曲


「本当に音楽をやりたいなら、もっと総てをかけなければならない」
と 那津は言い
「科学『だけ』を真理だと信じる科学者は案外少ないかもしれません」
と たかぼは言い
「詩は人を救うためだけに存在しているわけではない」
と 大覚アキラは言い


「ジミヘンなんかロックじゃない」
と言ってみたところでそれが何かのへ理屈でしかないように
今日も晴れたりくもったり
ティッシュの箱にプリントされた寄り目のクソ犬は今日も笑い
友人の死の事を考えてみたり
虫さされにはやっぱりキンカンだな なんて考えてみたり
ついでにヒポクラテスとヒポクリット(偽善者)はよく似ているとうなずき
昭和ってそんなにいい時代だったかなあ?なんて思ったり  

駄作の映画も 傑作映画も
始まれば同じように終わりが来るように
誰もが生まれて死ぬように
このまとまりのない詩ももうすぐ終わるように
まるで不可解にも思えるキミのくるくるワールドにも
一定の規則や周期や


よろこびや悲しみや


「すべての事は正しく進む」
なんて ヨケマキルは歌い





エントリ11  ソレイユ    kikki


どうしたんだろうって
みんなが泣いた
理由が知りたくて 知ろうとして 分からなくて
もどかしさに泣いた
飛ぶことを忘れた鳥たちが
じっと動かない
空は真っ黒で自分の姿も見えないでいる
太陽は死んでしまった

心の中で
みんなが叫んでる
だれも灰になりたくて生きてるわけじゃない
さびしさに負けようとして生きてるわけじゃないのに
どうして負けて灰になるんだろう?
暗い暗い空の中で
太陽の軌跡を想って 目を閉じる
光は戻らない

太陽は孤独だった
さびしくなりたくなくて
それでもそばにいる人を灼きつけてしまって
誰にも近づけなくて
ひとりきりで ずっと泣いていたのかもしれなかった

私たちは生きて
二度と見ることのない青空を
太陽を
ずっと 忘れないようにしよう
あのさびしさを灰にしないように
生きて新しい太陽になる







エントリ12  路上のジャコメッティ    ぶるぶる☆どっぐちゃん


カニ星雲で繰り返される
Fコード Gコード
それが300万年も経って今になって届くのだから
ブルースは嫌いだ

ジャコメッティのような右手 トランペット
ジャコメッティ
トランペット

ジョージア・オキーフ
のカラ・リリー
ジャコメッティ カラ・リリー
ジャコメッティ
トランペット
アルジェリアで繰り返されるアルビオンで繰り返されるダフトパンク
「みんな怒ってばかりだね。みんな嘘をついているばかりだ。なにがそんなにそんなんなのだろうねえ」
「みんな笑ってばかりだ。みんな歌って踊って馬鹿騒ぎだ。何がそんなに楽しいのか。さっぱり解らんよ。さっぱり解らん」
「五線譜が至るところに隠されているから。五線譜が本当にいろいろなところに隠されているから」
「ブルースだろう、解っているよ。ブルースなら大丈夫だ」
路上 路上 そこに点々と転がっているトランペット アルトサックス ナイトホークス

路上 振り返るな 炎上しているナイトホークス カニ星雲からのブルース 300万光年のブルース

たった時速30万キロのブルース