←前 次→

第14回詩人バトル Entry14

フィナーレ

新しい記憶は
もうこんなに遠い

今まで何故走っていたの こんなに速く
時間は沢山あるようで
掌に掬い取った 一粒だけだった

いくつもの塀を乗り越えて
またすぐに別の塀を乗り越える
用意された休息に目もくれず
僕等は走っていた こんなに速く

時には 小石が邪魔だった時もあっただろう
時には 砂が足に絡む時もあっただろう
水の替わりに 涙を飲んだ時もあっただろう

どのくらい走った? 僕等は こんなに速く

いつでも 新しい地平線を追い求め 水平線を追い求め
記憶の道程 もうこんなに遠くなっていた

どのくらい走ったのか 知らない僕等
時間の道標に 問い質す

それでも 僕等にも見えてきた 一つのゴール

水の替わりに 涙を飲んだ時もあっただろう
それはきっと これからも変わらないのだろう
けれど 一つの終わりは一つの始まり
またすぐに 1つのスタートに着かなきゃならない

また走らなきゃならない でも
探しに行こう 僕等のフィナーレ

←前 次→

QBOOKS