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第145回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1―<<>>―金河南1156
2キャラメルはなもとあお130
3アネモネTsu-Yo92
4トーサンコ石川順一79




 


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エントリ1  ―<<>>―    金河南


  ―

老婆は失う
眠りの奥に雁が羽ばたき 踊る
人々の白い足袋が
神よ神よと交互に祝う夜
かがり火
鉦の擦り合う音
宵が
酔われ
歌い 踊る

失われていく


  <

紅白の幕に彩られた公民館に並べるものを
パイプ椅子か座布団かで悩んでいます
とんでもございません
パイプ椅子は祝儀と記帳の受付にふたつ
真樹夫と佳世ちゃんのためにふたつ
じろちょの大婆さまにひとつで
もちろんのこと
ええ
場所ですよ場所! ひいちゃん!
かおるに仕出しの手伝いをさせて頂戴

ねえ 私
あなたがいらして嬉しいのです
本家にご挨拶にうかがっても
いつも部屋に篭っていらっしゃるし……
本当ですよ?
まさえ! 盃蔵から出してきたら磨いて!


  <

おおきくなったら
およめさんになる
しろいの
ぶわーって!
そんでね
おめでとうおめでとうって
ゆきお兄ちゃんとね
はるなの
おはなのみちをー
あったりまえだよ!
ゆきお兄ちゃんは おむこさんなの!
でね
でね?
みんなが
おめでとうおめでとうって
え?
いいの?
やった!
はやくやくそくやくそく

指きりげんまんウソついたら針千本のーます

指きった!


  >

『それでは、新婦友人のスピーチです。西藤春奈さん、どうぞ』

『はい。
 えー…、

 夕美、そして雪雄さん、ご結婚おめでとうございます。

 二人を小さい頃から知っている私としては、
 こんなに嬉しいことはありません。

 夕美とは、保育園のころからずっと一緒で……
 高校は別々になったけれど、また大学で一緒になりました。
 雪雄さんとは従兄で、私が小さいころはよく遊んでもらいました。

 三年ほど前。私がちょうど風邪をひいて、
 夕美がお見舞いに来てくれたとき、偶然
 雪雄さんも母に用事があって来ていて……、私が紹介しました。
 ふたりの恋のキューピッド? なんて思っています。

 夕美! 世話好きなあなたは雪雄さんにピッタリだけど
 あんまり世話焼きすぎると「お母さん」になっちゃうから、ほどほどにね!
 雪雄さん! 夕美はこう見えて人一倍繊細な子なんです、だから
 夕美のこと……っ…! ほっ……ほんと…にっ…!
 あ…ごめんなさ……っ、本当に! よろしくお願いします!
 お幸せに!!』

『西藤春奈さんのスピーチでした』


  >

結婚する資格なんて
ない
ひとに告白するの
初めてなの
聞いて

今でも
心から離れない人がいて
もうずっと
小さいころから
その人
結婚してて
どうしようもないのに
消えないの

こんな私と
今まで付き合ってくれて
ありがと
幻滅したでしょ?
別れましょう
ずっと
裏切ってて
いつか
話さなきゃいけないって
ごめんなさい

本当
どうしようもない

どうしようもない


  ―

老婆の足元に置かれた巾着袋
亡くなった夫のイニシアル
雁が飛び立つ杉
目覚める
かがり火囲い踊る 白い足袋
太鼓の太い振動
踊る装束を
歌を 笑いを
宵の祝い

老婆は畏れぬ目を濡らし
つかの間の夢をも失う 夜に

響く
ゆれ 失っていく





エントリ2  キャラメル    はなもとあお


ひとりぼっちの夜を
箱の隅で煮詰めたような甘さ
花咲いた
夢のチケットのかけら
鶯の耳
歯からこぼれた
恋しい日の風景
せつなさを飲み込んで
あなたへの想いで上書きする
価値感という
難しい
ひとつひとつに根ざした
かなしみやくるしみの記憶が
すこしずつ
すこしずつ
口のなかで
とろけていく






エントリ3  アネモネ    Tsu-Yo


風のなかで風を探して
気が付けばもう
誰も居ない
原っぱでひとり
終わることのない
鬼ごっこをつづけていた
少年はいつしか
風によく似た季節に
連れ去られ
四月になれば
アネモネという
名前の花が咲くだろう





エントリ4  トーサンコ    石川順一


養育長は横の動きを拒絶して
真っ直ぐ椅子を超えて行く

長方形の白き入れ物は
面積を増しパンフレットとなって
二列目に落ちる
私がそれを拾い上げると
メイヤーが喋りはじめた