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第155回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1くるりくる凛々椿606
2手と足と待子あかね198
3eden(タイトル未定)金河南2074
4遍歴石川順一105




 


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エントリ1  くるりくる    凛々椿


知らせてね
草臥れた肉厚の花びら
caeruleum
吐瀉物を食む鳩を食んで
仲間になりましょう
世界は素晴らしいと小学校で学びましたね
ほら もう弛緩してる


三日月型の不良視界
右から左へ
斬首夫人のオブジェにくる り く

したいわ
(何かの間違いだ)
知りたいの
さあドアを開けて
XXI. De diversis malorum flagitiis
ノクターンの逆回転
左から右へ
くるうり く る


いざバギーの軍隊よ動物園へ向かえ晴天だ
老女ムラサキ
MDフィールドでダベリング
を図る
神は子供をすべらかにしたかしら
それは十字架だよ
あなたの痛みがなによりの糧だわあああなんて愛おしいの
生け贄ね
生け贄だよ
同じものを欲しがり同じものになあれ!
震えるわ
素敵ね
ひそ
猫を殺しましょうよ
ひそ
繋がりましょ
xeいと;いあれj;ふいjふぉ;llingあえいrjiieaee
冷たい指先ね
なによ 吸うの 吸わないの?
Yにしてよ
ね くねり踊りましょう


均一化ベクトル
ゆめのゆめ
ゆりかごの大人たちはゆりかごから出られない
そのまま
そのままよ
ほら 歯を立てないで
数千の仮面が市道をかけずり回る
ここが世界
Thus they exchanged their glory for an image of a bull that eats grass
幸せ?
(ここも違う)
ならば知りなさいもっと空に這いなさい
さらに深く
(いつか窓枠にぶら下がり色のない隻眼でそれを眺めるだろう)
目覚めたのねシニストラリの憂い
おはよう
ご機嫌いかが?
青に帰りなさいなどうぞご自由に
神がお許しになる?
懺悔でもしてみる?
手遅れだよ く
るり
 く












エントリ2  手と足と    待子あかね


しもやけだらけになった手と
かたくなった足
指先がわれてしまった手と
かたくなった足

じっと みつめる

この手の甲は どんなときも
どんなことでも
受け止めてきた
この足は いつだって
いつでも
地に着いていた


さよならをいわないさよならは
ずいぶんと前のようで 
昨日のようでもある

夢に出てこなくなったよ
安心いたよ 
そうしていたら
夢の隅っこにいて 
驚いた

手と足と
さよならをしたことを忘れてはいない
忘れてはいけない
手と足と





エントリ3  eden(タイトル未定)    金河南


# √(狭間)


古くしわがれた老人の指により君は花と放たれた。同じだけの年月。古くさびれた、ちいさな緑の船の中、ある晴れた雲の影にそって君は静かに進んでゆく。深く眠っている君の片手は愛の色をしたタオルケットをにぎりしめ、もう片ほうの手で哺乳瓶をにぎりしめているね。船はすくない風を受け、狭間の森へと流されてゆく。水にひたった銀の魚たちは一斉に目覚め、船底を通り抜け飛び跳ねきらめきひるがえし、君への祝詞を高らかにうたう。

かの森へ
ついに かの森へ
おめでとう
祝福の子よ
おめでとう
ついに かの森へ
かの森へ

祝詞をうたった魚たちはみな岸へうちあげられた。森の土はいつしか銀色の日差しに覆われる。君は祝福の子なんかじゃない。ほんとうは、ほんとうは世界に捨てられた。ウソの言葉を祝福を、与えとなえることさえ罪だと言うのであれば、せめてこの身を口に入れ、新たな主の糧となれ。目覚め泣く、赤ん坊の声が森に響く。君だ。目覚めた明るい銀の岸辺から、暗い奥へとそら響く。未完の世界を両手に持ち泣く君に、ついに食べられもせず魚たちは祝詞にひたり、ゆるやかな死をむかえいれる。土に。融けて。しずかに。腐る。内臓を。身を。骨を。泥となって。


# i(虚数)


朽ちた緑の板が撒かれた岸辺に、一人立っている君の手は細い。骨がより集まったようなそれで泥をうやうやしくすくい、目を閉じ臭いをかぎ舌を出す。ペシャリ、ペシャリ、ペシャリ。冷たく腐ったなかに時折蜜の味が入る。肩からかけているのは、君が大事にしていた腐った色をした布だった。風にはたはたとめくれ、異臭を放ち続ける、君は気づいていないだろうが、鳥たちはとっくに気づいていた。蔦で作った腰紐には円柱形の汚いガラスが下げられている。唯一無二の人工ガラス。中に入っている数粒の木の実はひからびている。君の生活がいつも通り終わろうとしていたある曇った落日。湿気にせかされ森の奥へ走ると動物ではない気配が一瞬君のまえを横切った。おびえ、しかし、惹かれるように追いかけると土から光の花が咲きゆらめいていた。君が手をかざすとあたたかくゆれ、パチリ、パチリ、パチパチリ。音をたてて光は、君はその手前に影をみつける。魚、だ。口から枝がつきでてそのまま地面に刺さっている。白いけむりがその体からしみ出ている。君は今までなんの匂いをかいでいた? 花とも違う。泥とも違う。

指を
出して
枝を
ぬいて
食む
知ってしまった甘美
ほおばる口の 焼けるような熱さ
うかされる
ほふる
戻れない
虚数にひたった魚の泥を
食べることなど
なぜ?
なぜいままで
あれを美味しいと思っていた?

炎の前で君は君をかき抱いた。焼け付くような涙をながし狭間の森に別れをつげる。そら、夜明けの同じ色。背骨を向けたむこうで夕日が沈みきった。腹が鳴る。君は舐めるように飢えを感じ、吐くように楽園を嫌悪しはじめる。足を、あぁ、もう戻れないと知り、足をだし、駆け抜ける。森の出口でとつぜん少女とぶつかった。目が合う。瞬間、理解した。焚き木をし、魚を釣り、焼いて森を冒涜した悪魔のような少女だった。君は一目で恋におち。君らは二人で森をぬけ、君らは二人で、新しい家をたてた。結婚し、子供をひとり産み、その子供は女となり、女は男と恋を過ごし、子供をひとり、産んだ。


# φ(円環)


老いた老人がひとりで作った木の船があった。形はいびつであったが、老人の身体に染み付いた記憶はこの船をよしとした。緑色のペンキは数年前に塗ったもので、所々剥げ落ちている。もうどこにも戻れない船を、老人は老人の部屋からよく見える庭の隅に置いていた。緑の葉が昼の太陽を通しまだら模様の影をつくる。子供がひとりやってきて、その船に乗りこんだ。老人の孫だ。彼は緑の船が大好きであった。あるときは海賊ごっこをし、またあるとき船は豪華客船となり、あるときはそれで遭難し、あるときはのんきに釣りをして遊んだ。孫がつくった枝のつりざおには、彼が最近気に入っている黄色いパッケージのチョコレート菓子がくくりつけられている。

そして
そこで
昼寝する
愛の色をしたタオルケットをひきずり
ちいさな彼は横になる
緑の船は
老人のまぶたの裏へと静かに進み
銀の魚が祝詞をとなえ
死に
腐り
泥となり
すくい
彼は目を閉じすべて飲み干し
死は
彼の身となり
全部
知らずにいたものを焼き
全部
戻れず
逃げ
足を
出して
甘美とともにあの白い
焼けた魚の目から涙が
ひとすじ
見たのだ
おちたところを
君は
見たのだ
涙が
おちたところを

君は記憶のかなたから、ひどくしわがれた手を思い出す。君を船にのせた原初の左手を。怒りにうちふるえ、拒絶し、川に、放り投げたあの手を。また、花がカラハラと落ちる映像が眼前をつつむ。黄色だ。黄色い花だ。そうして光る、銀色の波を。君は祝福されていた、あの日あのときすべての狭間に。ザ、ザ、ザ。銀の魚の声が、遠く。

老人は部屋で泣いている。向こうのリビングに陽気なテレビの音がきこえ、緑の船はそこにあり、子供が中で深く眠っている昼の晴れたある日のことである。
雲の影が薄く動く。


とっくの昔に、君は許されていた。





エントリ4  遍歴    石川順一


確かな骨格が
私を常在させて居る
亜空間を想う
手の大きさが
問題になって居る
マスを手掴みする
企画も大雨で
中止となると言うのに
喪服は似合わない
神の石をこよみに
埋め込もうと言うのか

晩秋の夕暮れに私は
砂糖を51回日記に注いだ