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第165回詩人バトル

エントリ作品作者文字数
1いみのないいみのあることはなもとあお120
2泡沫金河南315
3いちねんの終わりに大覚アキラ273
4学芸会駄々306
5緑の魔物サヌキマオ369
6てぶくろ待子あかね242




 


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詩人バトル読書会
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エントリ1  いみのないいみのあること    はなもとあお


意味のあるもの
ばかり
あつめたら
息のしかたが
わからなくなって
すべて
無意味にかえっていこうとするから
意味のないこと
つみかさねて
なにかになったら
たのしいかも、って
おもって
それで
いみのないいみのあること
はじめてみようと
おもうの
呼吸しつづけるみたいに






エントリ2  泡沫    金河南



 白夜、ささやかに降り積む雪の

 土に根に
 染み入りこんこんと濾過された
 純真という名の
 水が
 溜まる
 地下に
 波紋
 有限の反響音

 ひとつの背骨が浮かび、泳ぐ

 千か万かと伸び続ける
 鍾乳石を横目において
 息を
 止める
 唯一の行為が
 同化のスイッチを
 押し
 ふいに
 沈む
 下降の重力

 深い、底まで、

 地球の心臓をめぐる、マグマの鼓動を抱く
 上昇する
 水温

 わたし、が、
 ほぐれ、

 内臓の境界線は融けきり

 同化する、指先には、
 あたたかな泡が
 雨のように湧きあがる、そして、

 ほぐれ、

 骨は、
 しずかに、はなれ、
 あたたかい、
 ねつに、沈み、ほぐれ、

 どうか、

 わたし、は、

 ほぐれ、


 ねむる、ゆめ、  は、



            あ、






エントリ3  いちねんの終わりに    大覚アキラ


終わりがくるよ と
毎日まいにち大騒ぎ
でも 終わったとたん
すぐに次がはじまるのでしょう

大騒ぎの後片付けを
どこから手をつけたものかと
ただ おろおろと
立ちすくんでいるうちに
なにやら 大きなものがやってきて
ものすごい いきおいで
そこらへんに転がっていたものを
あらかた 呑みこんでしまいました

ガラクタみたいなものだけが
置き去りにされた からっぽの場所に
ひとつだけ残っていたスイッチを
パチン と消すと
どうやら ほんとうの終わりが
やってきたようです

次の終わりのはじまりまでは
あと すこしだけ
時間がありそうです
それまでは
じっと 目をつぶって
死んだふりをするのです





エントリ4  学芸会    駄々


慌てたよ、僕の心は
隣に座ってたのが子供の頃に好きだった人だったから
どうしようか迷ったよ
人違いかもしれないし、声をかけても僕を覚えているか心配だったから
しばらく黙ってたよ、なにもしないほうがいいと思ったから
でも隣だから
もう行くしか無いと思って
「あの、もしかして…」
「あー、こんにちは。久し振りだね」
びっくりしたよ、笑顔が優しすぎて
昔の君は野生児だった
山をサンダルで駆け上がって
川を裸で泳いでた
運動の出来ない僕が
スポーツ選手よりも憧れた生き物
猿のような身軽さと
ゴリラのような力強さ
僕達はその後黙って子供達の学芸会を見てた
君はもうゴリラじゃないし
僕ももう泣き虫じゃない
幸せになるにはどうしても
変わっていく事が必要だった





エントリ5  緑の魔物    サヌキマオ


魔物は緑色の公衆電話ボックスに化けて街の旧い酒屋の店先などに立っている。雨の夕間暮などに、運悪く携帯電話を出先で忘れたような男が受話器を耳に当てると、銛のような金の舌で鼓膜を突き破り反対側に貫き通る。脳や髄や血の汁を啜って今日も生き長らえる。
こんな雨の日に食われるとは運の悪い男だ、運の悪い男だ、そんな夕に携帯電話を置き忘れ、小銭入れに10円もなく、お釣りのために酒屋でバタピーを買うもいつものより阿呆のように高価く、お釣りをしまおうとしたところで財布にテレホンカードが刺さっているのを見つけてしまう。BOOKOFFのTカードの裏からひょっこりと「あたしもいるのヨ」という視線を感じて嘆息する。そういう男がいるおかげで魔物は今日も生き延びた。眷属の赤色の公衆電話は運悪く人間が通りかからず、積雪3メーターと60の地域でひっそりと渇えて死んだと聞いた。






エントリ6  てぶくろ    待子あかね


そろそろ寒くなってきたから 手袋を
家から駅までの間に 片方 見失って
帰り道
駅から家までの間に もう片方も見失う

なくては 心細いから
数年前 知人からもらった手袋を引っ張り出して

家から駅までの間に 片方 見失って
帰り道 
駅から家までの間に もう片方も見失う

同じ道を通っているのに
なくした手袋は ひとつも見当たらない
何度も何度も 同じ道を通っても 見つからない

今日も この道を通ったというのに


ない

ない
ずっと
ないまま なのかしら


なくした道なんて みんな忘れて
あしたからの道を 見つけにいこう