第26回詩人バトル
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  INDEX
 エントリ 作者 作品名 文字行数 得票なるか!? ★
 1 月見里星維  未来と翼の設計図 part 2 -Freedom-  12   
 2 香京  FIRE DREAM  20   
 3 若桜満  そぼくなおもい  179   
 4 詠理  『帰郷』  24   
 5 有機機械  桜  18   
 6 満月うさぎ  コワレモノ  24   
 7 小松知世  大切なあなたへのメッセージ  37   
 8 五月原華弥  月が滲む夜に  22   
 9 さゆり  振り向く狐  25   
 10 繭  小春日和〜春香恋風〜  375   
 11 須藤あき   Mather  44   
 12 貝の木  家族  147   
 13 沙汰  ハタチ。  30   
 14 落葉  巨人と子犬  36   
 15 香月朔夜  錯綜  13   
 16 蜜 ある病院の一室にて  19   
 17 道人  青い道  39   
 18 日向さち  帰宅  17   
 19 WAKA  もしも魔法が使えたら  11   
 20 泥坊猫  月の神様  18   
 21 (作者の要望により掲載終了しました)    
 22 麻葉  散歩  15   
 23 佐藤yuupopic  聡明  51   
 24 りんね  遠いお国の戦争に  24   
 25 狭宮良  背骨に咲く  25   
 26 8148(略)ソラン  ボクサーは深海で眠る  39   
 27 葉月みか  浅い春に  67   
 28 大覚アキラ  ゆうことプラナリア  9   
 29 棗樹  四月某日  32   
 30 おに  赤い唄  326   
 31 空人  積み木  26   
 32 さと  黒と白の闇  618   
 33 植木  おもかげ  56   
 34 橘内 潤  『このよき日に ぼくたちは旅立ちます』  26   
 35 みや  笑顔  50   
 36 仲川苓斗  結び、解く  55   
 37 月明かり  一生懸命  27   
 38 木葉一刀  病みを斬って  0   
 39 ぶるぶる☆どっぐちゃん  ハイロゥ  40   


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Entry1
未来と翼の設計図 part 2 -Freedom-
月見里星維

僕たちの心は、
綺麗に書かれた設計図のように、整ったものじゃない。
書きかけの汚い設計図を、大人たちが認めようとしないように、
飛ぼうとしない翼も、風を切って浮かばない。

未来に向かって、夢を追う。

大人たちが否定しても、僕らは描き続ける。
大空に羽ばたく翼のような、
自由に生きる、心の設計図を――


Entry2
FIRE DREAM
香京

最近だるくない? つまらない?
道をはずれたくなった? どこかへ行きたいか  未知の世界へ
どんなことが待ち受けようとしたって ハプニング続出でも
こんな自分フル活用して!! 最後なんてどこにもないんだーーーー!!

自分の階段 見つけていつか 転んでも追いかけて!!
本当の気持ち つかんで大人になろうとしたとき
夢よ叶え 強く 燃え上がれどうか!!

おかしくない? 世の中全てが
自分が変わる 世界のページ作り出そう 夢の世界で
いつか この場所で会う  仲間の全てはなんかちがう
でも確かめたい この世界のどこかでも親しい仲間

ムカついても 自分の中で理解(わか)ってる ひとりひとり
夢にも現実にもない 感情の水平線
真実の詩(うた)失い 迷い道に入ろうとしても
自信を持て 生きる 信じあっていつか!!

自分の階段 見つけていつか  転んでも追いかけて!!
本当の気持ち つかんで大人になろうとしたとき
どんな道もいける  強く願う
手遅れじゃない  どこまでも 突き進んで行けるさ

自分信じて この場所から 旅立つFIRE DREAM!!


Entry3
そぼくなおもい
若桜満

友達とか親友とかクラスメイトって
みんなどうやってわけてるんだろう。
友達と親友は、
何が違うの?
友達とクラスメイトは
どこが違うの?
親友って
どこから親友なの?

なんて素朴な疑問。
あなたは、
どう思いますか?

でもやっぱり
まわりにいてくれるだけで
それだけでうれしいんだよね。
そんなもんじゃない?
私は
こだわらないよ。

ただ
ふとおもっただけ
こんなこと
思ったのは私だけね。
きっと。


Entry4
『帰郷』
詠理

さても見事な死霊だぁ
橋の袂の神崎の
長姉の蛍子さんでしょう

これは草履を履かなんだ
薄手の衣は更紗だろう
頬は蒼褪め奇麗だぁ

しかし冷えてきたもんだ
三女の詔子さんも先月なぁ
暖気を養いに出掛けたよ

それはいい娘だったさぁ
川の渡り際に振り向いて
涙に濡れたんが悲しくて

どこへ行ってしまうんかい
一緒に悪路を辿らんか
深浅見えんが楽しいさぁ

おぉい霧が這い出たぞぉ
一本杉が護り灯を燈してな
帰郷の路を照らしてらぁ


Entry5

有機機械

僕らはお互いに完全なるものを求めていた。
今もこれからも絶対に裏切らない彼女。
全てを受け入れ、愛し続けてくれる彼氏。
そんな完璧な愛なんて存在しないから僕らはお互いに傷つけ合い、
お互いが求めるものの間で揺れながら抱き合って眠る。

もしかしたらそんなことは信頼とか思いやりとかいう言葉で簡単に解決するのかもしれないし、
もしかしたらそんなことをいつまでも解決できない僕らはこの先ずっとうまくいかないのかもしれない。

でも次の春、
桜が咲き乱れる河原で穏やかな四月の午後を一緒に過ごすことが出来たら、
僕らはきっとうまくいくだろう。
雪が舞うようにその花びらが散ってしまっても、
また次の春、二人でこの河原を歩きたいと思うだろう。

その時、信頼とか思いやりとかいう言葉で完結させなくてはならない僕達それぞれの宇宙は、
そんな言葉をこえて重なり合い、同じ時間や空間、傷みや歓びを共有する。
その時、僕らの苦しみや不安は完璧に消え去る。


Entry6
コワレモノ
満月うさぎ

絶望に似た色の糸を
たえず紡いでいる気がするのです
右と左の境目にあるのは中間ではないように思え
ここから旅立つ君に羽をあげようとしたあの人を
ぼんやりと見つめているつもりで
おもいきり笑っていることに気付き
眠れ 眠れ と歌って
「母の手に」とはどうしても言えなかった

満月の半分だけください
半月の全てではなく

暗い道のはしを静かに走って
喧噪というのはほら これかもしれない
自分の腕の中にめいっぱい抱えたものは
ここまでこないという直感 あるいは実感

水をください
のどを潤すためではなくて
ただ道ばたに捨てるだけの水

虹色の光をしたもの
そういうものが
手の向こうに光る


Entry7
大切なあなたへのメッセージ
小松知世

回りくどい言葉なんていらない
あなたと私の間には

例えば
『君に対する思いがどれ程のものかを何かに例えると
それは無限の線であり
うち寄せては引いていく波であり
この心を埋め尽くす強烈な感情であり
君は輝く太陽でありながらも夜に潜む星くずのようでもあり
しかしながら街を照らし出す満月でもあるような
そんな存在であり
そして更に僕にとっては空気のような水のような
はたまたこの地球そのもののような
大切な大切な君である』
なんて
私は詩人であり

詩人気取りで詩を連ねる者であるがために
あなたへの想いを
ありったけの想いをありきたりの言葉にしてみたけれど

実際にはあなたの隣りにいるだけで
あなたの手の肩の瞳の唇の
あなたからの温もりを感じるだけで
私からの温もりを伝えるだけで
それだけでいいんだって
あなたが教えてくれた

探るような駆け引きはいらない
あなたと私の間には
着飾る必要も見栄を張る必要もない
あなたといるだけで

でもね
でも時々はかっこつけさせて
それが唯一のあなたへのプライド
あなたにはずっと好きでいてもらいたいから


Entry8
月が滲む夜に
五月原華弥

月が滲む雲の間に間に
あなたはそっと口づけ止めて
ぼやけた光線は
あなたの横顔に影を落とし
私をまた不安の闇に
引きずり込んでいく

冷たい指先に触れたのは何?
髪を撫でて抱き締めるのは
私を誰にも渡さないため
独り占めしたい子供のように
両腕に力を込めて
自由にできない腕と頬
あなたにずっと押し付けられているのに
冷たい指先に触れたのは何?
速い調子で啼いている心臓
その奥にあるのがあなたの心?

月が滲む雲の間に間に
私は口づけそっと始めて
ぼやけた光線は
私の横顔に影を落とし
あなたを少し幸福の渦に
引きずり込んでいく


Entry9
振り向く狐
さゆり

まだ雪の
残っている山道に
一匹の狐

とことこ
とことこ

数歩歩いて
振り向く
忘れ物を捜すよな
一途な目で

視線が絡み合う
もの問いたげに
首をかしげる

見つめられて
引き寄せられて
村人たちは
消えたのか

飛翔の時を
狙うよに
しなやかな足
ピンと伸ばし

邪気のない
狐の目

見透かすような
狐の目

また振り向いた!!!


Entry10
小春日和〜春香恋風〜


まだ冬の景色を残しつつ、小さな春を感じた。

肌寒い北風と生温い南風がぶつかって、心地よい空間をつくっている。
木々には落ち残りの枯れ葉。
新しい息吹に、最後の言葉をかけようとしていた。

午後三時の陽の光が右側に温かみを、
夕暮れを誘う風が左側を冷ややかに撫でる。

ふらりと見つけて、立ち寄った小春日和の小さな公園。
ベンチに座り、子供たちの純粋な笑顔や行動、鳩の群れの姿に目を閉じた。

『風が少し強いみたい。』

イヤホンからの透き通った声を噛み締めて、三月初めの小さな春を、
心に溶かした。

雲ひとつない晴天。果てしない青を背景に、桜の木を見上げた。

『心は素直でありたいから。』

せつない恋心、風に乗って春が香る午後、微笑んで、

『恋の花、この温かみを受けて開くといいな。』

『落ち込んでばかりいた、灰色の冬にサヨナラしよう。』

『わたしらしい春色で心染めて、幸せ手にいれよう。』


Entry11
Mather
須藤あき

もういいの。
すっぱい涙は伝わらない。
私達なんか殺してしまってよ。
跡に清らな、空気と虹と。


Entry12
家族
貝の木

とても泣いた
もっともっと近くに
もっともっとリアルに
その絆を感じたかったんだ
許しあい眠りたかったんだ

あたしが
比べてしまったからね
声に出して泣かなかったからね

ごめんね・・・
もう がんばれない
もう そこを目指すのはやめたんだ

おだやかにそっと見守りたい
やさしく想いたい・・・ 
だからはなれていくんだよ


Entry13
ハタチ。
沙汰

 ハタチになったら
 どんなことが出来るようになるだろう

 きっと
 今まで出来なかった たくさんのことが
 出来るようになるはずだ

 と ずっと思ってた

 でも

 もしかしたら

 ハタチなったとき

 出来なくなることの方が

 ずっと多いんじゃないかって気もする

 もうすぐ ハタチ

 そのとき 問いかけてみよう

 出来るようになったことと
 出来なくなってしまったもの

 どっちが 多いですか?


Entry14
巨人と子犬
落葉

巨人は神の啓示に従っていた

世界は巨人を中心に廻っていて 巨人は良いと思ったことをした
でもその判断は巨人の判断

世界は巨人を中心に廻っていて 巨人は邪魔なものを排除した
でもその判断は巨人の判断

その啓示がはたして神か ほんとのところは判らない

むかし子犬は強いと思い 無謀に巨人に噛みついた
そして子犬は頭を叩かれ 勝てないと思い知らされ調教された

それから子犬はまっすぐに 巨人を主人と見定めて
正邪の判断することもなく 主人の指示に従っている

諌める声は多くても 巨人は虫けら見るようで
言葉は全然通じない

子犬も声は聞こえていても 巨人の言葉は絶対だ


勝手な論理を振りかざし 我がまま巨人がのし歩く
黄色い子犬はしっぽを振って 巨人の後ろで吠えまわる

完璧求める巨人には 少しの手傷も許せない
歯向かうものが悪いのだ 私が絶対であり神なのだ
巨人はいつしかそう思う

思う心は尚更に 巨人を神から遠ざける
やっぱりそれは思いあがり 巨人は神にはなれはしない
巨人も子犬も嫌われる

人の為にと思うのは それは自分を知らなさ過ぎる

誰にでもいつでもやさしい心 それだけあれば良いのにね


Entry15
錯綜
香月朔夜

いくつもの情報が交差するここで
わからなくなる
真実は何?

いくつもの正義が渦巻くここで
わからなくなる
正しいのは何?

いくつもの価値が変化するここで
わからなくなる
大切なものは何?

誰か導きの灯火を掲げてこの道を照らして


Entry16
ある病院の一室にて


意識が薄れていった。
真っ白な光に包まれた。

空っぽな僕の傍らで
両親が泣いているのが見えた。

深く歳月が刻まれたその手には
いつまでも僕の白い手が握られていた。

丈夫な心臓があれば・・・
僕に丈夫な心臓があれば・・・

もっと生きていられたのに。

フツウに遊びに出かけて
フツウにナンパでもして

こんなチューブになど
繋がられてないで。


Entry17
青い道
道人

日が暮れて道が青くなった
僕は一人で悲しそうなその道を歩いた
いつも歩いている道なのに
なぜか涙が出てきて
なぜか悔しくて
なぜか可愛そうで
僕は知らない道を歩いているみたいだった

とても疲れて歩いていたら
道の真ん中に白い犬が僕を見ていた
僕は犬に近づいて
僕は犬の頭を撫でようとしたら
犬は牙を見せて拒絶した
僕の何が気に入らないの
犬は跳ねて夕闇に消えて行った

昨日まで仲良しだったみんなが
突然僕を仲間はずれにして僕を馬鹿にした
いつも笑って楽しかったのに
どうしてなのかわからない
どうしていいのかわからない
みんなの気持ちがわからない
僕はいつもと同じだったのに

もう少しで家に着く
もう少しで深く息が吐ける
もう何も考えられなくなったとき
またあの犬が僕の前に現れた
僕はしゃがんで犬を見た
僕は地べたに座って手を差し出した
犬はクゥンとないて僕に懐いた

僕はわんわん泣いて白い犬を抱きしめた
僕は僕の心を掻き毟った
僕は犬を抱き上げて
黒い涙を飲んだとき
青い道は見慣れた道になった
蛙がうるさいほど鳴いていた
道はまっすぐ家に続いていた


Entry18
帰宅
日向さち

ただいま、と言ったら
中から知らない女の人が現れて
割烹着で手を拭きながら
どこの子かしら、と言う

柱に縛り付けた鎖を
手首に繋いで出かけていれば良かった
鎖を辿って歩いていくと
必ず我が家がそこにある

子供の私は
何も言わずに飛び出して
そのまま走り続けて

森の奥で我が家を見つけ
記憶を破り捨てながら
帰ってきたと信じ込んでいる


Entry19
もしも魔法が使えたら
WAKA

それは他愛のない夢だって
僕にだってよくわかってる
でも「もしも」っていう気持ち
誰にだってあるじゃないか
だから僕にもし魔法が使えたら
そうだな・・・・
「君達を笑顔にしてあげるよ!」

いつか夢は叶う でも「もし」は?
僕は叶うと信じてる 
叶ったら皆が笑顔になるから


Entry20
月の神様
泥坊猫

 あるところの、ある女、自分の罪に耐えきれず、月に向かって言いました。
 「嗚呼、神様! わたくしは、日々殺生を繰り返し、生きとし生けるものを食み、血とし、肉とし、乳房とし、熟してしまった、このからだ」
 懺悔は続く、満月に。
 「もう金輪際、わたくしは、食べませぬ! 鳥も、魚も、豚も、仲間ですもの! 米も、麦も、じゃがいもだって、生きているんですもの!」
 こんな風に、ある女、しばらくしたら、自然の道理、とうとう死んでしまいました。
 他のひとたちの言うことには、
 「なんて立派な女だろう! それにくらべて俺たちは、なんて穢れているんだろう!」
 他のみんなも、懺悔して、まるい月の神様に、誓いをたてて、言いました。
 「食べませぬ!」
 老若男女、うれしそうに、どんどんみんな、死んでゆきます。
 そしてとうとう、最後のひとり―――人間は、終に罪を許されて、最期の言葉、感謝の言葉を言うのです。
 「嗚呼、神様! あなたのもとへ、まいります!」
 
 月にまします神様は、まんまん月を切り裂いて、舌べろべろり、なめずって、お行儀よろしく、おっしゃいました。
 「ごちそうさま」


Entry22
散歩
麻葉

不透明なビニール傘の向こうから
水の匂いに混じってパンの香り
母がひく僕の手は ぎゅっと握られたまま
銀色の大きな指輪だけがやけに輝いて

店先に知り合いの身体障害者
パン屋のおじさんと一緒に黙ってた
二人して頷いてた 
水の匂いに

僕は また母の手に導かれてお家に帰る
すぐ迷子になるから
ふらふらしてるから
愛されてるから


Entry23
聡明
佐藤yuupopic

アいつの名前と、よく似タ

電車、ユきすぎる、毎

瞳の色、
うんト薄い色
ヨぎって

ナンてコトのない石
ひろう、
ポトン、と落とす
ためすヨウに
胸の
ずっト、
奥の水辺へ

ソしたら、
いっせいに羽ばたく
コレは、なんだ
なんダ
耳たぶ、

ヘソのしたのあたり、
ザワめく

のど、ジュウ、とこがす
度数、四十七ド
ソーダもなしでノむから
めまい
けしき、スロオモーション
よけい、
ねい
酔いマワる、イっぽう

いつから
コンナに
あたま、
わるクなっちゃっタ、の、あーア
コタエなんかいっさい、イらない
のに、
サあ、
シジュウ
トいかけてしまう、
こころの、
奥の
ほう

さいなら
さいナら
サイなら、
サイナ、ら、
さーい、なーあ、ラっ
かつての、
聡明だった、
ワタクシ


Entry24
遠いお国の戦争に
りんね

遠くの お国の 戦争が
    おいらの 兄サを 呼びました

おいらは 兄サに とりすがり
    行かないどくれと 言いました

兄サは 悲しい 顔をして
    止めないどくれと 言いました


遠くの お国の 王様は
    戦争が好き なのらしい

戦の 準備を する国は
    どこでも攻めて いくらしい

しかつめらしい 顔をして
    平和のためよと 言うらしい


えらい お人の 言うことは
    虚飾に紛れた 嘘ばかり

屍の上に 築かれる
    平和の価値など いかばかり

おいらは 兄サに 問うけれど
    兄サは 首を 振るばかり


遠い お国の 戦争に
    おいらの 兄サが ゆきました

ご大義のなきを 知りながら
    それでも 兄サは ゆきました

遠い お国の 戦争に
遠い お国の 戦争に


――「殺人狂時代」にチャップリン氏が、「君死にたまふことなかれ」に与謝野女史が、込めたメッセージが世界の統治者に届きますように。
 そして、平和のための戦争などというアンビヴァレントな存在が一刻も早くなくなりますように。――作者記ス



Entry25
背骨に咲く
狭宮良

風に道をあけて春を待つ
路肩に寄って振り向けば
自然と足を速くしながら
風を切って歩く人々

誰もが動きだす頃がある
皆が背をのばす頃になる

飢えと共に水を求めて
彼等はこの地を訪れた
穏やかな雨を吸い
大々的に目覚めが溶けだす

風に道をあけて
無防備な春を待ち構える
気付けば野性の足取りで
風を切って歩く人々

飢えと共に光を求めて
彼等はこの地を訪れた
土たたく雨を聴き
静とした季節をくつがえす

全てが動きだす頃になる
水とそして光と
それらの有り余る世界がきっと
背骨のすぐそばにある


Entry26
ボクサーは深海で眠る
8148(略)ソラン

フラッシュしたのは、オレンジ色。

ずるりと抜けて、ぐらりと揺れた。

痛みはまだ感じない。
きっと、それほどのスローモーション。

飲み込まれそうで、
飲み込まれたくなくて、
限りなく無力なまま。
ああ。俺は無力だ、ママ。

やがて、体を預けていたものが
リングの底だと知っても、
打ち上げられた魚のように
微かに口が動くだけ。
そしたら、そのままそっと、
ビートルズをなぞるんだ。

Love Love Love.

Love Love Love.

リングに向かう時も、
リングの上でも、
ずっと響いていたのさ。
永遠に繰り返す、このメロディ。
そんな世界に憧れていた。
憧れていたと、今、気付いた。

カウントなんて、やめてくれ。
このまま目を閉じたら、
きっと幸せになれるぜ。

ああ。
願わくば、
何も掴めなかったこの俺に、
とびきりの大きなLoveを。
そして、古代魚のような永い眠りを。


Entry27
浅い春に
葉月みか

この街に春一番が観測されて十日も経った頃、
昨夜の雨の筆跡を一つ残らず消し去る強風があり、
少し遅れて、匂い立つような光が、僕らの窓をノックした。

そのような午後の陽気の美しさは、
  きっと真由子にも良いに違いないと、
     僕は彼女の手を引いて、
       "梅の花が盛りだよ#などと話しながら、
           近くの公園まで散歩に出掛けた。

土埃の香りの中、そこかしこに
    子供や老人や犬や母親や男や女が居り、

池の水面は陽光を目一杯受けて
  いつもの緑色を金色へと変化させ、
     風が渡るたびにそのきらめきを
          かしましく吹聴している。

やわらかに 賑やかな 視界

けれども、風の音が耳に蓋をするので、
         僕らは静寂の内に在った。

ポケットから固くなったフランスパンを取り出し、
掌に力を込めて二つに分け、一方を真由子に渡す。

僕はパンを少しずつちぎっては、水鳥や鳩に与えた。
  人馴れしている鳩は器用に羽をはばたかせ、
     僕の指に止まり、パンの欠片をついばんだ。

名前を呼ぶ。彼女が振り返る。風に遊ぶ長い髪。透明なまなざし。

鳩のとまっている方の腕を軽く持ち上げて、微笑みかける。
    しかし、真由子はちらとこちらを見ただけで、
          すぐにまた、池へと視線を戻した。

刹那、舞い上がる銀の翼

真由子は持っていたパンを、塊のまま放り投げる。
風に押し戻され、美しい放物線を描くこともなく、それは水に落ちた。
    黒い大きな影が、ゆらりと水面に現れ、
        ふやけて膨らみ始めた餌を蝕み始める。
               水鳥には届かない。

僕は彼女の横顔を見つめ、
    それから、足元に視線を落とし、唇を噛む。
         胸が、締めつけられたように、痛い。

胸が、締めつけられたように、痛い、のは。

もう一度、真由子の横顔を見つめる。
    鼻がつんと痛んで、目頭が熱くなって、
         僕は、両手で掻き毟るように、顔を覆った。

僕が、両手で掻き毟るように、顔を覆った、のは。


この、薄汚い自意識のせいだ。


浅い春には、息をすることさえ、こんなにも困難で、
   相変わらず僕は、何度も溺れそうになる。
       乱れた呼吸を整えることもままならず、
          それでも僕は、彼女の名前を呼び続けるのだ。


真由子へ――


Entry28
ゆうことプラナリア
大覚アキラ

プラナリア飼ってるから見においでよっていわれて
霧雨の国道まで出てタクシー停めて
途中でコンビニ寄ってハーゲンダッツ買って
ゆうこの部屋に着いたのが金曜の夜中で
今は日曜日の六時半をちょっと回ったところ
テレビではお約束通りサザエさんが
お魚くわえたドラ猫を追っかけてて
キッチンではゆうこがコーヒーを淹れている
そういえばまだプラナリア見せてもらってないかも


Entry29
四月某日
棗樹

墓地の上の春霞
ゆっくり見渡し
二児の手を引き
木の根をまたぎ
花びらをあつめ
まあるい塚の上
静かにふりかけ

小さな鼻を拭き
シャツを直して
手のひらを包み
なむあみだ、と
唱えるのを教え
眠りにつく人の
全き眠りを祈る

土鳩の群が去り
線香が崩れても
立ち去りがたく
ぐずる子どもに
両手を引かれて
地面に膝をつき
温かい泥を掴む

  (不意の温もりに 心を許すまいと
   固く握りつぶし つと立ち上がり)

驚きのぞき込む
父親似の眉間に
泥が飛んだのを
笑いながら拭い
帰るよと告げて
走る子らの背を
見失わぬように

   花びら混じりの
   風に目を凝らす


Entry30
赤い唄
おに

願いをかけて

さあ、願いをかけて

この潰れた胸に

どうぞ、口づけを・・・

 

これ以上痛くないように

私は目玉を切り落とす

これ以上

これ以上

 

貴方がいて

私がいる

それでいいでしょ?

どんな嘘でもいいの

幸せならいいの

でも笑うのは疲れたわ

 

ただ求めるだけ

ただ感じるだけ

干からびていくこの手に

そっと釘をさして

どうぞ召し上がれ

 

貴方の鼓動が聞こえる

だから私は息をしている

むき出しなのはこの肺と肝臓だけ

舌なめずりする音

もっと強く縛ってくれたら

貴方の願いはかなうのに

 

さあ行きましょう

ここじゃない何処かへ

強くはなれない私に

一握りの愛と

憎しみを織り込んだ優しさを

教えてくれた貴方

後悔などするはずがない

ただ寒いだけ

骨の鳴る音はうるさいけど

まだ我慢できる

私が白い限りは

そう白い限りは・・・


Entry31
積み木
空人

積み木は 積み上げているときが楽しい
積み木を その上に重ねるときが楽しい
だんだん 積み上がっていくのが嬉しい

ひとつずつ
ひとつずつ

丁寧に 
真剣に

とき
には

大胆に 思い切って
すこし 躊躇もして


  積み木は どれも角張ってるけど
 なかには 丸い積み木もあるけど
最初から 丸いのを使っちゃだめ

たくさん 角張った積み木を重ねて
少しずつ 積み木をずらしてのせて
それから ちょっと 離れて見て

角と角を 結んだ稜線が
まあるく なってるのが

いいんだ いいんだ

けどね

もうそれからは つまんないね
離れてみて
眺めるだけじゃ つまんないな


Entry32
黒と白の闇
さと

季節が変わり、世界が変わる。
僕の廻りの全てが白く清らかに変わっていく。
この腹の底、ずっと深い腹の底だけが黒くて寒い。
変わることが出来なくて ひとり取り残されてしまって
身動きすら出来なくなっている。

ネオンが夜に溶け込むように、僕の白いものまでもが黒く染められていく。
今日が明日に吸込まれるように、僕の過去までもが黒く染められていく。
残してきたものはみんな黒く染まってしまった。
憎しみや 悲しみや 痛み までもが黒く染まっていく。
その重みに耐えられず、僕は歩くことを止めてしまった。
自分で動けなくなった心は、このまま地面の下へと埋まってしまうのだろうか。
灯も見えなくて、暖かさも感じない。ただ僕の腹の底には黒くて寒い闇があるだけ。

川が流れ、時代が変わる。
僕の廻りの全てが黒い腐敗に変わっていく。
この心の底、ずっと深い心の底だけが白けて寒い。
変わることが出来なくて ひとり取り残されてしまって
願うことすら忘れてしまった。

月が朝陽に溶け込むように、僕の黒いものまでもが白く消えていく。
明日が今日に吸込まれるように、僕の希望までもが白く消えていく。
持ってきたものはみんな白く消えてしまった。
優しさや 嬉しさや 喜び までもが白く消えていく。
その空しさに耐えられず、僕は留まることを止めてしまった。
自分で掴めなくなった心は、このまま空の上へと飛んでいってしまうのだろうか。
人も見えなくて、暖かさも感じない。ただ僕の心の底には白けて寒い闇があるだけ。


Entry33
おもかげ
植木































































Entry34
『このよき日に ぼくたちは旅立ちます』
橘内 潤

くつしたを盗んだ少年が 撃たれて死んだ

ポッケから零れたビスケット 踏まれて砕け

帰りを待つ幼子は サンタを信じたまま 死んだ


季節はずれの くだらぬ寓話


Entry35
笑顔
みや

ほっと顔出すふきのとう
風がそよりと
陽だまり小道

あなたの笑顔で春と知る


Entry36
結び、解く
仲川苓斗

みっちゃんが

まだほんの小さなみっちゃんが

六才だというのに話しも出来ず
発育が遅れてばかりだったみっちゃんが

泣いている母をみて
おぼえたての知識で
父に電話をかけたという
帰りがおそいと叱ったという

一回り以上も違う姉として
何をごほうびしてあげよう

母の嗚咽に耳を塞いできた 姉として
抱きしめるだけでは感謝しきれない

不思議なことに あなたは なんにも
難しいことは考えていないのだろうけれど

六年の倍どころじゃない 長く
張りつめた三人家族生活の その後の
みっちゃんの存在ひとつで
壁越しの家族の顔がハッキリし出し
父と母が若返ったのは なぜだろうね

愛せない両親から
去っていくはずだった私の歩みが
即かず離れず 行ったり来たり
みっちゃんに手繰り寄せられ
もうあと一歩手前なのは なぜだろうね

ねえ みっちゃん

あなたなりの直感で
父さんと母さんを繋ぎとめてね

私の果たせなかった役目

ただ真っ直ぐに二人に問いかけて
二人の生傷を癒してあげて

ねえ みっちゃん

おねえちゃんもあなたに掴まるけれど
こちらを仰ぎ見たりしないで
やっぱり直感を大事にしてね

私はもうすぐにでも 四人家族に溶け込むから

ねえ みっちゃん

あなたは 私たちを結び
凝り固まったものを 解いていってくれるね


Entry37
一生懸命
月明かり

一生懸命。

一生を懸命に生きること。

一生涯に命を懸けて生きてゆくこと。

すごくすごく良く出来た言葉だと私は思う。

日々実行していくことは、

ほんとうに難しいことだけど。

いつでも心の中に留めて置けば。

自然に力が湧いて来るような、

そんな勇気をくれる言葉だと

私は心から思う。

一生を懸命に生きよう。

一生涯に命を懸けて生きよう。

だから私の心の中には。

いつも一生懸命。


Entry38
病みを斬って
木葉一刀

目覚めと同時に着替えた僕は
いつもの屋上へ

環八が見える
この日の朝も澱んでいた

モルタルに座し
今朝も深呼吸
この街は空気も病んでいる

いわれもなく背後から襲われる
肉親で憎みあう
子供は法を信じ罪を犯す

今日もこの街で何かが起きる
嫌な空気を腹に溜め
一気に腰から抜き放つ紫電
巻き込まれ浄化される空気

残心を解くまでのこの空気は逃さない

ほんの少しでも永く
肺を犯された僕は
この日課を欠かさない

血を知らぬ穢れないこの刀で
少しでも澱んだ空気に活を
少しでも空気の澱みを斬捨てるため


Entry39
ハイロゥ
ぶるぶる☆どっぐちゃん

白いダウンジャケットを着た男は
白いダウンジャケットを着ている癖に
ジルバを歌いながらマンボを踊るというような
真っピンクにハイな状態だった

矛盾している
お前矛盾している
白なのにピンクなんて
ダウンジャケットなのにハイなんて
お前矛盾している

世界は矛盾に満ちていた!

だからあたし達はそんな矛盾にはもう慣れてしまったので
戦争だとか差別だとか
遅れてしまった時計だとか一方通行だとか
そんなことで泣くのを止めにした
あたし達は寒かった
あたし達は手を繋ごうとした
その手はあまりに真っ直ぐに
相手に向かってあまりに真っ直ぐに伸ばされるから
お互いの胸の中へと突き刺さる
だけどもお互いの胸の中は暖かかいから
愛だとか憎しみだとかそのような矛盾で暖かかいから
だからあたし達は満足して
笑い合う
あたし達にしてはかなり上出来だと思って
笑い合うのだ


白いダウンジャケットの男はちょっとダウナーになりかけた途端に
ハイウェイで牽かれた
馬鹿だね馬鹿だね馬鹿だね
男はそんなふうに笑って立ち上がり
ほんの少しの間だけ目を細めて後ろを振り返って
そして再び前へ向かって歩き出した
男の行く手には何も無い
あたし達の行く手にも何も無い
だけど男はきっと南へ行くだろう
あたし達は北へ行こう
何も無い 何処にも行けない 嘘ばかり
そんな冗談で笑いながら
あたし達は北へ行こう