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poem55
どんぐり
すずむし



残り蚊をはたく、肌に 
静寂がぽつん と響く、その後に続く
足音が去りゆくものを追っている


なお 進めば 
無音・・・


はたと 駆け出せば
りん・・りりりり・・りりりり


くぐもる残滓の儚さか
夏土の振動は音のないところに、音をたもたせる


肌を微かに・・りり ひからせて 
立ち止まれば
りりりり・・・りんりいん


草叢の演奏者は歌いはじめを喜んでいる
芸術家は詩を忘れない 耳の芯に、深々と気配が偲ぶ








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