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第20回中高生1000字小説バトル Entry2

この想いは伝えない。

「聞いて、聞いて。昨日ね、大地がね。」
朝から”おはよう”の言葉より先に彼の話をする恵美。
私の親友である。
「どうしたの?昨日はデートだったんでしょ?」
しょうがないから、おとなしく話を聞く事にした。
「聞いてよ〜。大地ったら15分も遅刻するんだよ!」
怒りながら言ってるけど、顔はとても幸せそう・・・。
「それで?」
「待ってる間に3人にナンパされちゃった☆」
「へぇ〜すごいじゃん♪」
「で、困ってたら大地が”俺の彼女に触るな”って追い返してくれたの♪」
「さすが宮沢君。やるね〜☆」
「でも、ナンパしてくれた子かっこ良かったからちょっと残念。」

どうして、あなたはそんなに欲張るの?
あんなにやさしい彼を手に入れたのに、どうしてそれ以上望むの?
私は、どれだけ望んでも1つも手に入れる事が出来ない。
なのに、あなたは私の隣でたくさん手に入れる。
知ってた?私、あなたの彼の事好きなんだ。
毎日のように、あなたから彼の話を聞いてたら
いつのまにか自然に私の目は彼を追っていた。
好きになっていた、
駄目だって分かってた。でも
「実はね。私浮気してるの。」って聞いてから私の考えは変わった。
あなたから彼を奪ってやる。
だって、かわいそうでしょ?
あなたが浮気をしてる事も知らず、あなたの誕生日プレゼントを
用意する彼を見てたら・・・。
”あなたの彼女は浮気してるわよ。”って彼に言いたかった。
でも、真剣に私に
「恵美の誕生日プレゼント何がいいと思う?」って聞く彼を見てたら
言えなかった。

好きだから・・・悲しむ彼の顔を見たくなかった。
恵美・・・今すぐ浮気辞めて?彼はあなたを真剣に愛してくれてる。
だから、あなたも彼だけを愛して。
私も彼の事が好き。
でも、あなたとも友達でいたいからこの想いは封印するね。
その分、彼を幸せにしてあげて・・・。
ごめんね。あなたの彼を好きになって・・・。
この想いは、あなたにも彼にも伝えない。遠くであなたと彼の
幸せを願っている。

「いつも、グチを聞いてくれてありがとう。」
想像もしなかった恵美の言葉。
「・・・・・。」言葉が出てこなかった。かわりに涙が出た。
「皐月?どうしたの?」
ごめんね。私はあなたから彼を奪おうと思ってた。
そんな事も知らず恵美は私の事を友達と思ってくれている。
心配してくれている。
彼が恵美を好きになった気持ち分かったよ。
幸せになってね。

私は、これから2人を見守っていく事を決意した。
私にとって2人とも大切な人だから。

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