第35回体感バトル詩人部門


エントリ作品作者文字数
01さよなら、一葉鵯 砂弐依150
02伝えたい言葉神上小鳥153
03聴こえる雨 見えない言葉椿233
04ライオンの夕べ虚空121
05素敵な人jin347
06フレッシュマンデートさくら、兄さん元気だよ。835
07あの頃343
08命乞いサナダ54
09mel346
10いつまでも李衣49
11いつかいない陽駱 大二郎530
12文月紅粉チコ39
13アンチアヤマチミドル オブ ライター97
14憧れへの分岐点ダブルトランプ528
15黒羽奏27
16ガラスのお皿やさぐれOL109
 
 
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エントリ01  さよなら、一葉     鵯 砂弐依



 赤い波に、笹の葉さらさら
 揉まれ消えゆく様をみた
 僕の掌から零れた一葉は
 僕以外に見取られることなく
 忘れられて仕舞うのですか

 こうして既に死んで居るものの
 最期を知る
 その空間は、僕の視線を凍りつかせる
 無駄な感情なんか要らないのに

 嗚呼こうは解釈出来ませんですか
 これも一瞬の出会いと別れ、だと







エントリ02  伝えたい言葉     神上小鳥


ありがとう

あたしの言葉を聞いてくれて

ありがとう

すごく嬉しくて涙が出たの



いつも孤独で

友達も

親も

一緒にいるのが苦しくて

誰にも本当の気持ちを語れなかった



素人の戯言

場違いなあたしの

感情の吐露

聴いてくれる人がいたなんて

思わなかった



ありがとう

名前も知らないけど

貴方の言葉は

とても

とても温かく

あたしのことを包んでくれたよ






エントリ03  聴こえる雨 見えない言葉     椿


最初からわかっていたけど
望まずにはいられない距離
貴方が触れる度いつも
信じていない永遠を願ってた

最後まで言えなかったけど
今頃になって流れ出す言葉
それでも見えることなくて
真実はただ見慣れない指輪…

守り通した嘘なら あの人にも守り続けてよ
決めてもらえなくてもいい 左薬指に泣かないから…

ちょっと待ってと言えたのなら
この恋が消えるまで抱いてくれましたか?
燃える花火に燃やした心
聴こえる雨に流されそう

あの人を抱いた後でもいい
それでもいい それでもいいから 私を愛してください…






エントリ04  ライオンの夕べ     虚空


ライオンは吠えていた。
いつかは知らない。「夜空に歌いながら酒飲むの?」
ただわめくだけわめけ。気が済むまで。
「気分いいかい?」
そこにはただ廃墟がひろがっている。
アスファルトで倒れる人達。「ミサイルを起動せよ」
ただガランドウのなか酒を飲むだけだ。






エントリ05  素敵な人     jin


 素敵な人

 素敵な人ってどんな人
 いつも前を向いている人
 素敵な人ってどんな人
 いつも輝いている人

 悲しいときには涙して
 悔しいときには省みて
 一歩一歩踏みしめているから
 光り輝く

 貴女は私のお月様
 いつもそばにいてくれる
 貴女は私のお月様
 いつも私を見てくれる
 
 一生懸命な貴女は
 人の目を釘付けにする
 誘いかける手をすり抜け
 私の元へ

 素敵な人ってどんな人
 心を大切にする人
 素敵な人ってどんな人
 自分を大切にする人
 
 素敵な人ってどんな人
 笑顔の似合う人
 素敵な人ってどんな人
 それは私の貴女






エントリ06  フレッシュマンデート     さくら、兄さん元気だよ。


和光の前で待ち合わせ        和光の前で待ち合わせ
なんだ、ありきたりなのね      ちょっと平凡過ぎるかな
デートはね                今日のデートは
ドキドキさせてくれなくちゃ     ちょっと大人に決めてみよう
フレンチなんて言わないで      給料日まで遠いけど
頑張ってるのがみえみえよ      気取ってレカンに連れていこう

ブランド物でばっちりなんて     お気に入りのダブルのアルマーニ
絶対止めてね、恥ずかしい      しまった現在クリーニング中
大事なのは着こなしよ        仕方ないからコンサバだけど 
女の子はセンスを見てるの      バーバリーにグッチの小物
わかってる                これで文句は言わせない 

それよかレディを待たせるなんて   しかし、課長もきついよな 
初デートから失格ね            知らない訳じゃあるまいし
残業なんていい訳したら        今日に限って残業か
私その場で帰ります          「男には責任ってものがある 
都合をやり繰りしてるのは        遅れたからって怒るなよ。」
あなただけじゃないんです       なんて開き直っちゃおう

もしかしたら、事故でもあった    まさか怒って帰ったり
ちょっと心配かもしれない      してないだろうな、心配だ
まさか嫌われちゃったかな      始末書覚悟で直行だ

もうもうもうもう、お願い止めて   いたいたいたいた、間に合った
急いでいたのは分かるけど      ポーカーフェースで颯爽と 
業務用車で乗りつけるなんて     桜のように愛らしい
最初からムード台無しよ       その微笑みに大接近 
それに、なあにそのコーディネート  水色のワンピースも春らしい
笑った顔もジャガイモみたい     僕のスーツとお似合いだ 

あーあ、どうしてこの人に      笑顔、笑顔、ダンディにね
こんなにドキドキするのかな     今日は決めたね、一味違う僕


※作者付記: 銀座での一コマ







エントリ07  あの頃     涼


古い建物が壊されている
誰が住んでいたのかも 分からないような家が


草木が辺りを支配下におき
生き物の 細やかな息遣い 命の躍動
荒れ果てた家
割れた窓ガラス 差し込む光
薄汚れた壁を這う ツタ


懐かしいね
幼い頃 君と二人で見たこの家が
懐かしいね
二人で色々と想像を膨らましていた日々が


手をつなぎ 何処までも行ったね
無敵の自転車で
何処までも走ったね


毎日が冒険で スリルに満ちていたっけ
体中汚れていても 何処までも走ったね
雨でも 風でも 雪でも
そんなもの 僕らの敵なんかじゃなかった


ケンカしても すぐ仲直り
君が他の子に盗られるのが悲しくて
泣いたこともあったなぁ


崩れてしまう 崩さないで
あの頃のまま どうか 思い出のままで


――……取り壊されてゆく廃屋に
                   昔の 僕らを見た






エントリ08  命乞い     サナダ


はなし を しよう。

僕を食べてしまう前に

すこし、お話をしよう。

もしかしたら僕と君。

友達になれるかもしれない。






エントリ09       mel


お母さんの姿を見せてあげると言って

神様は 星になった私に話し掛けてくれた

飛び上がるほど嬉しくって

その日は、どの星よりも ずっとずっと

眩しいくらいに輝きつづけた

神様が、お母さんを見せてくれたとき

私は、出るはずのない声を

無理と分かっていても、叫びつづけた

何度も、何度も名前を呼んで

気づいてくれるように



そうしたら、気づいてくれたのか

お母さんが振り向いて、上を見上げてくれた

でも

同時に、知らない小さな女の子も上を見上げ

私を不思議そうに見つめた



お母さんは、そのまま

知らない女の子を抱っこして、そのまま行ってしまった


あの子は誰だろう


何故、抱っこしているのだろう


そこには、私が居るはずなのに



そう思うと

悲しくなって

無理と分かっていても

大声で泣きつづけた


その後は、どの星よりも

ずっとずっと悲しい光で輝きつづけた






エントリ10  いつまでも     李衣



 僕は この空になり

 風になり

 海になり


 君を守る



 そして 花になり

 音になり

 色になり


 君を彩る






エントリ11  いつかいない陽     駱 大二郎


あの夕陽までは草原の平野
この夕陽は車窓の額入り

電車の車内で
ディズニーに反撃するうんぬん
ロシア経済を脅かすうんぬんなる記事が
大きな写真を交えた
日本語版『ニューズウィーク』か『ライフ』とおぼしき
雑誌を読む四十代ぐらいの男を見た。
ジーパンにチェックのシャツを着て、デイパックを背負っていた。

日本語版の向かいに
『いじめ裁判なんたら』というハードカバーを
熱心に読みふける五十代ぐらいの男が立っていた。
ベージュのパンツと薄手の青いジャケット、皮のショルダーバッグ
縁なしの眼鏡をかけて、頭には白いものがちらほらしていた。

白髪ちらほらの前では
携帯電話のボタンを猛烈な勢いで操作する
四十手前らしき男がいた。
賑やかな音楽がピロピロジャラジャラとか細く聞こえ
画面にはミニチュアのパチスロが映っていた。
男の親指がキーを押すたびにリールが止まる。
紺色のスーツにネクタイを締めていた。

おれは
人類が最も深い混沌を送る時代に生きている。
今まで生まれた全人類もそうだった。
史上最大の混沌に浸かるなかへ誰もが生まれた。
そして
さらなる混迷にもがく世界を見ずに死んでいった。
あの夕陽を見てじんわりするこのおれも
狩りから岩陰の家をめざしてふいに立ち止まった原始の男も
じんわりと消えるから、
小さいと啼く。






エントリ12  文月     紅粉チコ


宵の笑みが消える頃

櫻の蒔絵を施した

奇異なる刀で殺るのなら

今此処で切り捨てたまう






エントリ13  アンチアヤマチ     ミドル オブ ライター


球技会
でたくないから
骨折った
ボクサー骨折だって
診断された
でも俺は
明日学校に行って
無断で早退する
担任
保健室
学校
どこにも居場所がない
みんな自分勝手で
弱い者へしか
手を出さず
生きていると言えるのは何故?







エントリ14  憧れへの分岐点     ダブルトランプ


 歩幅を合わせたら酷く心が痛む。
 僕は嘘をついてしまった。
 だって、彼女は僕よりもずっと高い所を見て、ありのままの僕をみようとしない。
 このまま踏切の向こう側に行きたい。僕はもう、こんな自分はいやだ。
 
 「ねぇ、このあとレストランに連れてってよ」
彼女の瞳は漆黒に包まれて、全然人間味を感じられなかった。僕は思わず、見られなくなって財布の中身を確認した。
「ダイエットとか、君はしないの?」
 彼女は「何それ?」という顔をして、靴のかかとで地面を鳴らした。
「……持ち合わせが、ないんだ」
 僕は財布を逆さまに吊り上げて見せ、ボロぞうきんでもつまむようにして彼女に差し出した。
 ようやく、その意図に気づいた彼女は僕の頭を思い切り叩いて、ふんと鼻を鳴らした。
 あのとき、僕は彼女のためにレストランでごちそうしてあげればよかった。
 だって、彼女はあの日の内に事故で死んでしまったから。

 僕は今、踏切の前にいる。もう悩まないことがせめてもの償いだとしたら、ここで立ち止まって、彼女の心を迷わせる訳にはいかない……。財布の中にはありったけの金が入ってる。僕はきっとどこへでも行けるだろう。だけど、それが何になる。彼女にもっと広い世を、見せることなどもう、叶わないことなのだ。







エントリ15       黒羽奏



後ろ足で立ち

自由になった両手で

ヒトが犯した

赤い実の原罪






エントリ16  ガラスのお皿     やさぐれOL


ごとんと置いたガラスのお皿に

ほっぺたを当てて

冷たいと思って

ねえ、いちばんつめたいよ と言って

あら、ほんとだねえ
 
いちばん、つめたい    と言って


ほっぺた当てすぎて

あったかくなったけど

ガラスのおさらにほっぺたつけていた