第38回体感バトル詩人部門


エントリ作品作者文字数
01アイ アンド ノイズあお優172
02Dead or Alive神上小鳥182
03妃咲235
04In front of a Flower鵯砂弐依163
05ケータイ想い葉子※データ無
06Dystopia椿※データ無
07色写不知火六介142
08愛留579
09郵便屋FG0.02352
10恋の色恋恋恋※データ無
11アオイ、向日葵憂菊173
12空をさがしてCOCO187
13じぶんめめ400
14ケリ黒猫135
15濁流と罠。333
16夢の境目すぎた圭也103
17過ぎ行く時へめぐる184
 
 
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エントリ01  アイ アンド ノイズ     あお優


コンクリート冷たい
悲しい生き物たち

美しい馬の瞳の涙
誰か気が付いている?
私は…

君の声に目覚め
君が生きるから生きた

けれど残ったのは
生命の悲しさだけ
私に…

音に気が付いた
異国への憧れにも
だけれども
君は私を…

美しい雨の恵みは?
それなら地中の体は?

私は気が付いた

目の前にあるものは悪夢だって
明日はゆっくりくるから

君の声が聞こえなくなり
やっと本当の目が覚めた








エントリ02  Dead or Alive     神上小鳥


生まれ持ったこころの破損

関心や執着は常に生か死か

血の流れるこの体が不思議

どうやって殺そうか

いつもそんなことばかり

笑っていられるうちは

笑っていたい願い

どうやって殺そうか

私を

そうして生きること不思議

笑いながら泣いた

泣きながら歌った

そうして生きること無意味

気付けば精神異常

そうして願う願い

どうやって殺そうか

私を

どうやって生きてきた

私は

リセットボタンで

終了の合図

願う願いを








エントリ03       妃咲


昨日と今日が交わって
朱色の風がふいた
知らない場所から流れついた黄色い糸で
あなたと繋がっているような気がして
少しだけ熱くなった、わたしの掌

歩き続ければめぐり会える
世界は、そんな風にできているから。
ちっぽけな言葉並べたら 少しだけ強くなれる気がした
今も俯いているあなたへ
今も戦っているあなたへ
いつか分けてあげたい わたしが得たすべてのもの

思い出 喜び 切なさ 希望
すべてを今、ちからにして歩き出す
次の世界に出会えたなら
あたらしい始まりの朝、あなたに見せたい曙光(ひかり)がある








エントリ04  In front of a Flower     鵯砂弐依



さっぱりとした朝顔に霜を降ろした冷夏

私は萎れた向日葵の下に居る

腰が曲がった向日葵はガサガサとしていて

季節に置いていかれたみたいだ

小振りなチョウが不安定に飛んでくる

すっかり乾いているこの辺りで、

みずみずしい蜜を探しているのだね



秋風が波になって襲ってくる

月を待つこの空間は死のかおりで満たされていた

情けなくなる、僕ひとりの輝く生命









エントリ05  ケータイ想い     葉子


あの人相変わらず、小っさい箱にいる。

ときどきつまんないこと、
さも重大そうに話しかけてみる。

それから手の平に包んで、
ピカピカあの人が答えるかどうか、
賭けてみる。

まだそこに、
いてくれるのかどうかを。








エントリ06  Dystopia     椿


深く刻み込まれていく 星の音(ね)
愛を抱(いだ)いた其方(そなた)へと
届くことを 祈る毎夜
翳る三日月 深葬よ まだ私を消さないで欲しい

淋しさと涙を拭う術知らず
其方を待つ私は無様でしょうか?
望みが儚くとも 忘れられぬ其方
今宵こそ 綴る言葉よ 彼(か)の人を振り向かせて…

千年待っても 叶わない 恋と知りつつ捨てきれない
何度も綴る恋文を 数える暇なく 愛溢れ
幾年経っても 変わらない 愛と知るこの切ない願い
指折り数え焦がれては 眠れる時なく 今宵も愛と涙が咲く

紫陽花を眺め愛でる横顔に
傍らで揺らぐ心が淋しくて
雨音その香りに 重ねあわす心
迷いこそ されど月夜よ 彼の人を消さないで…

千年待っても 叶わない 恋と知りつつ消しきれない
幾夜も綴る言葉さえ 集めることなく 迷いつつ
幾年経てども 変わらない 愛と知るから祈る恋文
紫陽花の花が咲き散る この道の角 先には其方の背中だけが…








エントリ07  色写     不知火六介


イメージの中 笑う少女の影
描くほどに滲んでゆく色
セピアの空気感

歳月を辿る旅路、果ては蜃気楼
ダークブルーの摩天楼
掬い上げる砂は、
たださらさらと物憂げに

冷たい雨 温かい雨
広がる波紋、弾ける音
鈍い水の色

生ける衝動に虚空を抱いて
紡いだ音に哀願の手を伸ばす
届かない空、そっと嘆いて
黄昏の心苦しさ








エントリ08       愛留


特に用もなく歩く 俺
ちっぽけな俺を
俺より少し小さめの影が
後ろから追いかけてくる

本当は
今日はあいつと会う予定だったのに
せっかく服まで 選んでから寝たのに
なんで
あいつは

あいつには両親がいない
だからしょうがない
家計が苦しい
だから
今日会えなくなっちゃった

そんなことは聞き飽きた
聞きたくない
その言葉は
俺の無力さを表すものだから

わがままなのは分かってる
でも 会いたいんだ
なんで
神ってやつは
人間に欲を与えたんだ
欲がなけりゃ
戦争だって殺人だって
起きないだろうに
でも でも
やっぱり
それじゃ 人生つまんねぇんだろな

弱気になった影を
見つめる 俺
影ってのは
変なやつだ
決して離れることのない
俺の分身
決して喋るわけではなく
決して俺に危害は与えない
でも
今だけは
こいつが憎たらしく思える

そういえば
俺って人間はこんなにも
ちっぽけなのに
あいつは
なんで
俺のことを受け入れたんだろう

あいつに会いたい
会って理由を聞きたい

俺は
あいつの笑顔が好きで
あいつのそばにいると安心できた
あいつはどうなんだろう

あいつに会いたい
会って理由を聞きたい

急に影が動いた
なんだ
二つになった
俺 分身出来たっけか
そんな馬鹿な俺に

ごめんね

といってきた影

そういったのは
当然 影じゃなかった
あいつだ

驚く俺を
あいつは
ただ笑顔で見つめてた

理由なんていらない


俺たちを導くように
偉そうに大きくなった影は
俺たちの道を指し示す

まるで一つの影のように








エントリ09  郵便屋     FG0.02


川沿いに黒と緑と
その二つより多い赤がやって来る
そいつは仕事を辞めたいって
郵便屋をやめたいって
最近まで働けば無駄なことを考えずに済むって
でも変わったって
人工植林にはもう懲り懲りだって
樹皮を凝視して道をバイクで走るって
全部見たら終わってしまうからね
後頭部でスプレーをやられたみたいに
脳内でね
自分を責めてるって、郵便屋
「猫が学校の前で目玉が出て転がってるだろ
それをただ小学生が可哀想って見るだけだ
さらし者じゃないか、猫
次の日そこを通るとまだそいつが横たわってて
また次の日どっかの管理者がやっと来て
なるべく触らないように消すだろ
でも、猫も馬鹿じゃないからね
見てた、その光景全部ね
取れて転がった眼で奴らのことをね
たとえば、バイクの車輪とか」
そんなふうってさ、郵便屋
川沿いに黒と緑と
その二つより多い赤がひろがっていく








エントリ10  恋の色     恋恋恋


ピンクのものを部屋に置いてみた
恋愛運あがるかな
恋の色はなぜピンクなの
ときめきって気持ちはピンク色
どきどきすると頬がピンク色
だからかなピンク色
女の子の好きな色ピンク色
だからかな恋をすると綺麗になるの








エントリ11  アオイ、向日葵     憂菊


ヒマワリ、
太陽をずっと追いかけるように
あなたをずっとみていた
向日葵

葵傾、
太陽をずっと追いかけるように
あたしは あなたへと
傾いていく


夜はうつむき
あなたはどこにもいなくて


でも待ちわびた朝
あなたはあたたかい光とともに
あたしを金色に染めてくれる


だから葵
向日葵のように
切ない恋に涙、
するのではなく

だから葵
向日葵のように
愛する人に照らされる喜びを


この子は知る




※作者付記: 向日葵→むこうびあおい、葵傾→きけい、とそれぞれ読んで下さい。
恋の詞…ですが“葵(アオイ)”という名前の方に対して、名前の由来?みたいなのを伝えたいと思い、書き始めたものです。







エントリ12  空をさがして     COCO


でっかい空 星ひとつ 

輝く星 星ひとつ

夢見るうち 星が消えた

声に出して呼んだ

星の行方 さがした

メロディー刻む この部屋

ひとり 声震えた

窓 あけて 空 眺めた

まだ光らない あの星 ひとつ

何度 泣いただろう

何度 夢見ただろう

声枯らす 

疲れてたんだ きっと

声に出して呼んだ

星の行方 さがした

信じたい また光ると

目をひらく 見えたんだ あの星

声に出して叫んだ

ありがとうのメロディー

 








エントリ13  じぶん     めめ


くるくるくるくる

ぱちぱちぱちぱち

渦にまきこまれてくるくるくるくる

油のようにはじけてぱちぱちぱちぱち

人ってそんなカンジ

くるくる巻き込まれたら

ぱちぱちはじき出される

そんなときもあれば

くるくる表情がかわったり

ぱちぱちテンションがはじける

こんなときもあるし

ちびっこが笑顔でくるくるまわると

大人たちは「カワイイ」とぱちぱち手をたたく

なんてときもある

自分は今、くるくる?ぱちぱち?

よそはなんとなくわかっても

自分だとやっぱりわかんないんだなあ

くるくるくるくる

ぱちぱちぱちぱち

でも花火みたいに

ぱちぱちしてるのは悪くないかな

かざぐるまみたいに

風にまかせてくるくるしてるのも悪くないかもよ

結局は「自分」っていうのを持つってこと?

かもね

だって「自分」があれば

まきこまれても大丈夫でしょ

はじきだされても大丈夫でしょ

「自分」で歩いていけるんだから

くるくるくるくる

そうだね

ぱちぱちぱちぱち

気付くきっかけなんだよね

くるくるぱちぱち








エントリ14  ケリ     黒猫


今までの僕にケリをつけよう。

争いを避け、事なかれ主義でその場をしのぐ。
何事においても平均点をとる姿勢。
やたらと上手い愛想笑い。
納得のいかない仕事。
現実をぼやかす酒。
瞬時の損得勘定。
暇潰しの煙草。
愛なき言葉。
醜い情。
虚栄。
嘘。

その全てにケリをつけること、最も苦しかりケリ。








エントリ15  濁流と罠。     涼


僕は今、溺れているんだ。

救いようもないほど、もがき苦しんでいるんだ。

必死の形相でさ、滑稽なほどにね。

だってさ、浮き上がろうとすると海草が絡まるんだよ。

冗談じゃないよな。




君、知っていたかい?

気持ちが溢れて、浸水して、僕を飲み込もうとするんだよ。

愛する君よ。

僕は今、混濁した流れに翻弄されている。

君は何処にいるのだろう?




流れの渦に、君の姿が見えた気がしてね。

思わず飛び込んでしまったんだよ。

でも、その先に見える黒い闇に僕は恐怖で慄いた。

そうか、罠だったんだね。

そして真っ暗な闇は僕を蝕んでゆく。




愛する故に僕は、僕を、溺れ死なせてしまった。

したたかな君はそんな濁流に身を委ねるはずもなく。

その美しい手を差し伸べるでもなく、せせら笑う。

ああ、その顔。

愛して止まない、僕の君。








エントリ16  夢の境目     すぎた圭也


 昨日と今日が争いをはじめた
 原因は 
 夢
 
 僕が寝ている時に見る夢が
 昨日の終わりに見た夢なのか
 今日のはじめに見た夢なのか

 昨日の終わりに見た夢なのか
 今日のはじめに見た夢なのか
 境目は明日しか知らない








エントリ17  過ぎ行く時へ     めぐる


消えない愛情。消せない想い。
もしもこの世に果てない夢があったなら、貴方を連れて行ったのに。

髪を撫でてくれたはずの、貴方の大きな手はもう側にはなくて、
目の前に広がる虚空の青が、私の視界を撫でていった。

何を失ったらいい?
何を求めたらいい?

誰を信じればいい?
何処に行けばいい?

生きる苦しみ、死ぬ喜び。
私は自らを絶つ勇気すらないし、生きる希望もない。

ただ、生きているだけの物体。