第68回体感バトル詩人部門

エントリ作品作者文字数
01春を待つ日277
02鯉ノボリ箱造るら188
03君へ灯火となれば 神上小鳥355
04春の雪あい子
05幼子花子186
06悪魔とデッサンdog419
 
 
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エントリ01  春を待つ日     百


階段を駆けあがる途中
しゃがみこんで
顔を見合わせたのは誰?

ゆっくりと全身の力と重さで
金属製のドアを押す

ドアが閉まる音とともに
切り取られたその空間に私は同化する

壁に背をつけて
ずるずると座り込む

上のほうに細く
くもりガラスのはめこみ窓があり
光ってはいるが
空間の明るさは穏やかだ

外気の冷たさが
壁から土から
少しずつ
身体にしみこんでくる

窓を見上げながら
あたたかな陽射しと
鳥のさえずりを思う

裏庭に通じる
もうひとつのドアを少し開けてみる

明るい陽射しの中に
常緑樹のつやつやした葉が光っている

誰もいない

鳥もいない

裏庭には入らない

誰かが何かを埋めたから

幼い私はそっとドアを閉めた







エントリ02  鯉ノボリ     箱造るら




龍のうろこをとって

夢見るコイにひとつあげた

ほとばしる水しぶきをあげて

頑張ったコイがいた


いつかのあの夢

現実になったと

コイの報告を受けて

あこがれの光をあげた龍

きっと同じく

過ぎ去った思い出を

見つめ返すのだろう


龍の背中に乗って

空を走る必要はない

かつてのコイは空を飛べるのだから

追いかけてきた

だからまだ追いかける

水面は己を映すのだろう

水をくぐって 雲を抜けて

また銀の希望を降らすのだろう




※作者付記:一番思いいれの強いものを投稿させていただきました。
童話をよんでいるような気分になれる、そんなものがつくりたいと思っています。






エントリ03  君へ灯火となれば      神上小鳥


切ないのは
君の虚勢

苦しいのは
偽りの慰め

痛いのは
同調したココロ


ぼろぼろ崩れていく現実に
成す術も無く
それでも必死に抗う
手のひらでかき集めては
落ちていく砂塵を前に
ただ声も上げず泣いているの


君も
もう笑えないのだろうか
いつかの僕が蘇るよう

欲しいのは
僕の言葉なんかじゃないだろう
それでも僕にできるのは
気休めのような言葉に
必死で想いを込めることだけ


繕ったはずの仮面が解れていく
現実につぶされて
自暴自棄にならないで
見えない闇に押しつぶされそうなら
狂ったように叫び続けていいの
許しを得られないことなど
この世には無いのだから

一人で悲しまないで
自分を孤独に追いやらないで
君の温かい言葉に涙する
そんな人もいるのだから


いつかの僕が蘇る

それは

つらかった日々の?

それとも

君の言葉に癒されたあの日の?


ねぇ、

きみは、


・・・ひとりじゃ、ないよ。







エントリ04  春の雪     あい子


なにも告げずに 私のまえから
あなたが消えた あの時は
もう 春だというのに
吐く息も 凍るような
冷たい 冷たい 朝だった

間抜けな私は 腑抜けな顔で
事の顛末も 理解できずに

ただ呆然と 空を見上げ 立ちつくしてた
グレーの雲 グレーの低い空

間抜けな私を 嘲笑う
空から 舞い落ちる
雪のつぶてに 打ちつけられる

次々と容赦なく 見上げる私めがけて落ちてくる

雪のつぶて達 点描画の世界

次々と容赦なく 見上げる私めがけて降り積もる

雪のつぶて達 クレーの描いた世界

間抜けな私は 救いの神の御手が
差し伸べられるのを 待ち望み

グレーの空を 見上げつづけた






 








エントリ05  幼子     花子


あの夜
無口な漁港の低い空
わたしの胸にのしかかってくるものは
不安と悲しみの器
その壊しがたき器は
おまえのように重く
おまえのように離れ難い
わたしはその器を抱えて
暗い船底を喘いでいる
その悲しみのあまり
おまえはわたしを深く傷つける
わたしはその悲しみで
意志の亀裂を縫い合わせている
ああ、幼子よ
今は別れ別れの空に飢えるのみ
けれどもおまえはわたしの胸に
わたしの血の中に生きている







エントリ06  悪魔とデッサン     dog


何時ぞや僕を蝕んだ悪魔が
昨日あたりからまた、やって来た
耳から鼓膜を破って渦巻管で戯れ
瞳の神経をなで回した

真っ赤な林檎が、緑色に見えてもいい?

悪魔の所為で僕はひねくれた
縦横自由なら、斜めでもいいでしょう
悪魔の所為で僕は落ち込んだ
ネガティブな話をし過ぎたんだ

……ああ、痛いほど分かるよ
悪魔を倒せるのは僕だけだって


とある日蝕み始めた悪魔は
僕の心の臓に手を掛けようとした
左心房を突付いて動脈を指で狭めて
体をだるくさせたんだ

このまんま落ちていけ、描くなんて面倒だ!

悪魔の声が僕を冷たくさせた
喉からは冷酷な言葉しかでないよ
悪魔の声が僕をだらけさせた
ここからが正念場なのに

……ああ、頑張りたいよ
これから僕は、悪魔を倒しにゆくよ!

悪魔が目に見えないのは
今の自分自身が悪魔だから

悪魔の絵画、僕を強くさせる
「貴様などに負けるものか!」と豪語
悪魔の絵画に僕は背を向けた
「今、貴様は必要ないのだ!」とサイン

……ああ、また会う日まで
その時も僕は悪魔を誘い受け、倒す



※作者付記:悪魔って、どこまでいっても悪魔。