第14回タイマンバトル、開票開始――








感想一覧

日向さち


最後の突き放すような二人の台詞が、
さりげなく不気味でたいへんよかったです。
(略)さんの作品のサッカーシーンも読み応えがありましたが、
残念ながら私はサッカーにうといので、展開が見えなかったのです。

8148(略)ソラン

「蜂」というお題の2作品、

イグチさん作品:最初、蜂の味が薄い。けれども中盤から後半にかけて、読ませる勢いがあって、蜂蜜の味を、文章と一緒に濃くさせていくような感じが、すごく印象に残った。

日向さちさん作品:「蜂」を前面に押し出し、兄弟でその、存在の重さ、軽さをはかるようなストーリー展開には考えさせるものがある。が、ちょっと蜂一色でくどくなってしまった感じもあり。

で、投票は、イグチ(8148略ソラン)氏の「ディフェンダーの夏」に1票投じることにします。読ませ方、上手かったです。

日向さち


「私」の「当時の私」への視線がすごくやさしくていいですし、兄への思いもすごく伝わってきて上手いなと思いました。最近読んだ1000字のなかでもとても完成度の高い作品だと思いました。与えられたテーマときちんと向き合って書かれているのもすごいと思います。通常バトルのほうにこれがあったらこれに投票したと思います。

「ディフェンダーの夏」
上手だなと思う表現が多々ありましたが、蜂とサッカーの関連づけに少々無理がある気がしました。あと個人的なことですが、行空けの文章が苦手です。かえって読みにくいのです。

8148(略)ソラン

あー、あるかもしれない。オレの時代のスポーツ観とはちょっと違うけど(それにオレの頃はサッカーは流行ってなくて野球だったしね)でもいい、わかる! 一票

日向さち

子供の無邪気な好奇心とちょっぴり残酷なところがよく描けていて、その場面の絵が浮かんできました。

8148(略)ソラン

 お互いに、今ひとつ。さっちんは「作り話」として何をやりたかったのかに欠けて、イグチさんはサッカー(おそらく得意分野なのだろう)をいかにサッカーを知らないものに小説として見せるか、という気配りに欠けた。「自分がサッカーをやっていてそれについての事を書きます」「蜂の巣っていったらこんなことがあったわねぇ」でも、それがテレビのトーク番組で成り立つのは何故かったら、喋っている人間の人柄がそのままある種の「芸」として出てくるからで、単にこういうことがありました、ではやっぱりつまらない。
 奇しくも同じような点で不足していたように思うが、勝敗を決めるとすれば、1000字小説としての完成度、ということで「ディフェンダーの夏」の勝ち。さっちんFCとしては背信行為であり銃殺ものかもしれないが、でも、おにーさんはこういうところで妥協しないのである。うにゃ。(M)

日向さち

 台風に払い落とされた巣の中で無力に生涯を終えようとしている蜂の子と、それが食べられないと知って放る人の子。そこには無意味な感傷はない。あるのは明快な摂理だ。口に入れられない生き物を「もったいない」と言える子供は、今日ではそうそう居ない。それを「仕方ない」と言える兄もいるまい。
 さらに進めれば、『兄』は自分たちの家は壊れず、自分たちが生きているのはなぜかをも漠然と考えていたかもしれない。蜂の兄弟を自分たちに重ねる思いもあったかもしれない。が、無論そんなことを『兄』は意識していないだろうし、まして『私』は何も分かってはいないのだが、別に言葉で教わらなくとも『私』もまた何かを感じ取っていたことは、現在の『私』がこうやって回想しているくらいだから疑いないのである。子供に自他の命を考えさせる過程を描く点で、非常に興味深い作品と思われた。
 8148(略)ソラン氏の作品は読後感が爽やかで良かったが、これでテーマが「蜂」というのはちょっと違うかなと思われた。

日向さち

>一つ穴が開くごとに、身動きしない生命体が顔を現した。羽の生えたものもい
>たし、まだ幼虫のままのもいた。ムチッとした姿の幼虫は、栄養がたっぷりと
>詰まっていそうだった。

この部分が印象に残りました。
蜂の子を食べたことのない僕には少し想像しにくいお話でしたが、僕も蜂の巣なら小さい頃に一度中を覗いたことがありました。ムチッとしていたのは事実だけど、それは僕にとっての食べ物ではありませんでした(笑)。日向さんは普通に食べておられたのかしらん(謎)。

最後の
「もったいないね」
「うん、でも仕方ないよ」
というのも好き。おそらくここに日向さんの言いたいことがたっぷりと含まれているのでしょう。僕はそんな気がしました。

文句なしで、こちらに一票。

8148(略)ソラン

 まあ、本当言うと全然勝ってないんだけどねー。
 いや、主人公の話。
 スピーディーで、スポーツ漫画みたいで良いです。

 対してさちさんの作品は、のんびりした話でありますね。
 蜂で蜂の子を持って来るのは、ちょいと捻りが効いてて良いです。
 けど、勢い不足――というか、ドラマ不足な感じ。

 で、今回の勝者は8148さんって事で推薦。

日向さち

最後の二人の台詞が深い。テーマが込められている。ただ、
>当時の私でさえ、そのことを心の奥で理解していたように思う。
ここだけ現在の作者が出張ってきたため、浮いてしまっている。惜しい。
しかしながら、とりとめもない兄妹のやりとりに人間関係や環境などの様々な内容が詰まっており、楽しく読めた。
8148(略)ソランさんの作品も、非常に上手いし唸らせるんだけども、内容的に希薄な印象。サラっと読む分にはいいんだけども。

日向さち

強く訴えかけるものはない。
説教でも理屈でもないが、あたたかさと切なさを感じた。
スケールがちょうど1000字分だったような気がする。

8148(略)ソラン

若さが良いですね。

8148(略)ソラン

今回はどちらも不満。何度も読み返して書かれたものだろうか。
どちらも見切り発車で詰めが甘いように思う。
「ディフェンダーの夏」は動的な対象の描写という難しいテーマに挑戦してはいるのだが、うまく表現できていないように思う。もっとも大切なスピード感が感じられない。
「蜂の子」は素朴で一直線な構成で、訥々と綴っているのだが、いかんせん会話にリアリティがない。兄の説明的な会話で萎えてしまった。
そう考えてどちらか、と言われるとうーん。ま、ほんのちょっとの差で「ディフェンダーの夏」か。

日向さち

蜂というテーマだが、ハチは小学校の頃に夏休みの宿題で昆虫採集で捕獲したこともあって、結構調べたのだ(笑)
日向さちさんの作品のアシナガはきっと、フタモンアシナガバチの事だろう。蜂と言われて、佃煮を思い浮かべるというのも少し変っているかも知れないが、逆に新鮮だった。山間部で食べられるといわれる蜂の子だし、読んでいて地蜂などという用語まで出てくると、知識を得る為の小説という感じもしたが、まだ純真な子供というものが表現されているようで好感が持てた。
8148(略)ソランさんの作品については、中学でサッカー部だった私には、試合の時にはレモンが常備されていたが、蜂蜜を付けて食べるという考えはなく、みんな生のままかぶりついていたという想い出があるせいかも知れないが、サッカーでの守備の緊迫感も余り伝わっては来なかった。ラストでの相手を見て唇を舐めるシーンは主人公のやったぞという想いは感じられて良かったように思うが、ハチのように刺すというフレーズが、世の中にあまりにも多く使われているので、少し残念だ。

日向さち

日向さちさんに一票。蜂の子たべたことないのに説明できない気持ちがわいた。

双方まっすぐな表現でとても読みやすい。
が、まっすぐの勢いが強すぎて話しすぎるところが目につく。

ソランさんの作品はスピードに乗った臨場感が心地よかった。
しかし変身していく(気合のはいっていく)切欠にいまいち頭がのれなかった。

日向さちさんの作品は8mmビデオを見ているような、
カタカタでありじっくりでもある感じが面白かった。読点の頻繁さの効果かな。
言葉や説明に力んだ感じをすこし強くうけた。

8148(略)ソラン

推薦作:「ディフェンダーの夏」
テーマを、副産物の方にサラッと乗っけて、こんなふうにレモンの皮みたくちょっと甘苦い、草サッカーの、ジリジリの残暑のグラウンドに持ってきた感覚が好かった。唇にハチミツの黄土色に透明な味がした。暑い昼日中、外で囓るハチミツ×レモンておいしいんだよなあ。草サッカーのこう云うカンジ好きだなあ。来週を待つワクワク感に一票投じます。

日向さちさんの「蜂の子」はテーマを正直にとらえた点が好かった。
蜂は、自然に「食」の一環になっている地域の人間にとっては「滋養のあるおいしそうなもの」であるという視点に対し、子供の頃、「日本ではこれ(象牙色)が『肌色』だけど、よその国に行けば、黒にオレンジが混ざったような色だったり、真っ白に淡いピンクと黄色をほんの少しを加えた色だったりする」という当たり前の事実に初めて気づいた時に覚えた感じと、少し似た気持ちになった。ご本人は、意識して書かれたのかどうかはわかりませんが、そんな事を思ったりしました。
お二方、面白い闘いをありがとう&お疲れさまです☆(佐藤yuupop×music)

8148(略)ソラン

 視覚だけでなく、味覚でも楽しめる作品でした。唇に残るハチミツの甘さとレモンの酸っぱさ。レモンのハチミツ漬けは学生時代を思い出す心くすぐるアイテム。(もしこれに輪切りバナナも一緒に漬けてあったら、懐かしさに泣いてしまうところです。笑)
 負けたくないという気持ちが爽やかに書かれていて、素敵。
 運動音痴、かつサッカーに詳しくない私ですが、とても面白く読めました。
 体が動かしたくなる小説って貴重だと思う。

 さちさんの作品は、冒頭の文が少々回りくどくて、釣られにくかったです。
 大人になってからの回想というわりに、七歳の自分との差異がいまいち感じられなかったのも、あれ? という感じで。
 家出した兄への追想と理科の観察日記と思春期特有の罪悪感、一番伝えたいのはどれなんだろう、と。
(上記三つはあくまでも「私の受けた印象」です。伝えたいのは多分もっと別のこと、とは思うのですが。)
 でも、冷静な観察眼と芯の一本通った文体は充分に個性的で、魅力を感じます。

8148(略)ソラン

えっと、俺もサッカーしていたので(それだけか?)
っていうかこっちのが断然良い!ってのは無くて、どちらも可も無く不可も無くって所だった。
俺から見たら5分5分だから、サッカーでなおかつディフェンス経験のあった俺はこちらを投票。

日向さち

タイマン参加者の片割れ、8148(略)ソランでございます。
まず、この場をお借りして、今回のタイマンバトルに関わって下さった、日向さちさん、MAOさん、三月くん、Qさん、(掲示板で盛り上げて下さった)卯月羊さん以下、読んで下さった皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

で、少し迷いましたが、今回は日向さちさんの「蜂の子」に投票させていただきます。(笑)

タイマンバトルはいつもそうなのですが、テーマを如何にして活かすかと言うところが腕の見せ所であり、悩みどころだと感じます。僕自信は「蜂」と言うテーマを作品内のアクセントとして使いましたが、さちさんは真正面から取り組んでいますよね。まずはこの部分を評価したいと思います。そこから更に「蜂の子を食べる」と言う方向に持っていったのには驚きました。しかも今時の小学生が蜂の子を食べ物だと思っているところに妙なリアリティがあって、この作品の世界の柱になっていると思います。そして「もったいないね」と言う一言が、この作品の核だと感じました。これだけ食料が溢れている今の日本で、蜂の子に対して執着を持つ子供。思わず、この話の背景を想像させるような魅力を持っていると思います。

恐らく1000字と言う制限の為に表現し切れなかった部分もあるかと思いますが、それを差し引いても読者の印象に残る良い作品だと感じました。

8148(略)ソラン

書ききれていない感じはするけれど、全体的に好感を持って読むことができた。形としては小説だが、詩人バトルで読ませていただいているのと同様のイグチ節になっているし、サッカーを描いているのもイグチさんらしい。指名して良かったと思った。
まだ、どちらが勝つのか分からないけれど、負けても悔いはなし。(日向さち)

日向さち

文章のテンションが好み。こっちの方が良かった。それにしてもむつかしいバトルでしたね。



投票結果!!




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