小生はお二方にお会いしたり、いくつか作品を読んだ事があるので、その親友ぶりだとか、作風だとかを把握した上で、そういうバトルとしては、非常に面白かった。この辺、デコボココンビの性格が出たというかなんというか、個人的な趣味ではBeganだし、完成度という意味ではソラ豆(KAZU)だろう、と。タイトルはどっちもどっちなので、これは勝敗にはならず。あってもなくてもいいようなタイトルでは、しょうがない。
「去来今交草子」はやろうとしているコトはかなり面白いし、好みだけれども、なにぶん、筆が荒すぎる。ラスト一行も、意味がありそうでなさそうだし、心理描写も状況も、説明で済ませてしまえばそれで済んでしまうものを、いかに小説にするか? というところで砕心して欲しかった。<赤い川の中で、私の心を見つけたの。慌てて胸の中にしまったわ。でも心はうまく働いてくれない。きっと置く場所が違うんだ>なんて、小説としての光りかたはあきらかにBeganのほうが上だと思うけれども、じゃあ、それをいかに説教臭くなく、「おはなし」に出来るか、なんである。笠地蔵、なんていいよね。爺さん婆さんの説明をしなくても、いい爺さんと婆さんだな、というのが会話でわかるわけだ(まぁ、そうしてしまうと、どこまで人間の感情をデフォルメするか、という話にもなってしまうけど)。もっと創作と推敲に時間をかけると、よいのではないだろうか。
「下水道のパピー」は、この辺、戦場の空気を出そうという色々な試みが見られて好感を持った。トイレを我慢している→失禁→自白剤、なんて文章上での構成も気が利いているし、興味のない読者も読めるように、設定自体を比較的抑えてあるところも、かなりいいんじゃないかなー、と思った。この辺、ただのミリタリーマニアになっていたいところなど、あくまでも小説を書くんだという意識が、いい。
ただし、こういう色々な設定を何とかすることに気を取られたのか、おおむねのセリフが一本調子なのに気がついたろうか。まぁ、横書きは読みにくいというのもあるが、作品上の設定でキュウキュウの脳内リソースは、平坦なセリフをなんとか読み分けるのに頭がPOM!(※(C)スナ2号さん)なのである。色々のバランスを考えなくてはならないが、でも、このバランスを得るまでに、あと一歩とも言える。
さて、どっちに投票しようか。ここは単純に完成度をとろう。
よって、そら豆(KAZU)に一票。(M)
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