第17回タイマンバトル、開票開始――








感想一覧

Began

難しそうな印象の割にさらりと読めてよかったです。
内容もいい話すぎない感じが好きで。

※作者希望により削除

 小生はお二方にお会いしたり、いくつか作品を読んだ事があるので、その親友ぶりだとか、作風だとかを把握した上で、そういうバトルとしては、非常に面白かった。この辺、デコボココンビの性格が出たというかなんというか、個人的な趣味ではBeganだし、完成度という意味ではソラ豆(KAZU)だろう、と。タイトルはどっちもどっちなので、これは勝敗にはならず。あってもなくてもいいようなタイトルでは、しょうがない。
 「去来今交草子」はやろうとしているコトはかなり面白いし、好みだけれども、なにぶん、筆が荒すぎる。ラスト一行も、意味がありそうでなさそうだし、心理描写も状況も、説明で済ませてしまえばそれで済んでしまうものを、いかに小説にするか? というところで砕心して欲しかった。<赤い川の中で、私の心を見つけたの。慌てて胸の中にしまったわ。でも心はうまく働いてくれない。きっと置く場所が違うんだ>なんて、小説としての光りかたはあきらかにBeganのほうが上だと思うけれども、じゃあ、それをいかに説教臭くなく、「おはなし」に出来るか、なんである。笠地蔵、なんていいよね。爺さん婆さんの説明をしなくても、いい爺さんと婆さんだな、というのが会話でわかるわけだ(まぁ、そうしてしまうと、どこまで人間の感情をデフォルメするか、という話にもなってしまうけど)。もっと創作と推敲に時間をかけると、よいのではないだろうか。

 「下水道のパピー」は、この辺、戦場の空気を出そうという色々な試みが見られて好感を持った。トイレを我慢している→失禁→自白剤、なんて文章上での構成も気が利いているし、興味のない読者も読めるように、設定自体を比較的抑えてあるところも、かなりいいんじゃないかなー、と思った。この辺、ただのミリタリーマニアになっていたいところなど、あくまでも小説を書くんだという意識が、いい。
 ただし、こういう色々な設定を何とかすることに気を取られたのか、おおむねのセリフが一本調子なのに気がついたろうか。まぁ、横書きは読みにくいというのもあるが、作品上の設定でキュウキュウの脳内リソースは、平坦なセリフをなんとか読み分けるのに頭がPOM!(※(C)スナ2号さん)なのである。色々のバランスを考えなくてはならないが、でも、このバランスを得るまでに、あと一歩とも言える。

 さて、どっちに投票しようか。ここは単純に完成度をとろう。
 よって、そら豆(KAZU)に一票。(M)

Began


Beganさんの作品の方が「地獄」というテーマに沿っていたと思います。
レトリックが上滑りしている感は免れませんが、心のおき場所 を抽象的ではなく具体的に考える という発想は非凡でした。

※作者希望により削除

前回のタイマンもKAZUさんに投票したことを思い出し、
ああ自分はKAZUさんのファンなのかもしれないなと思った。
「下水道のパピー」、ハードボイルドで会話の雰囲気も凄くイイ。
ので、今回も文句なしでKAZUさんを推薦。

ちょっと辛いことを書かせてもらうと、
誤字だのミスタイプだのが目に付いて見苦しかった。どちらの作品も。
おかげで真剣勝負な雰囲気がそがれてしまい、観客としてはちょっと残念。

Began

今回は、どちらの作品もテーマからほどよい距離が保たれていて、たのしく鑑賞することが出来ました。両方とも偽物っぽい雰囲気が漂っていましたが、Beganさんのほうに微妙に引き込まれました。

※作者希望により削除

誤字などの細かいミスは多かったが、主人公の心情がよりリアルだった、ということで。
パピーというキーワードも分かりやすく使われていた。あと、地獄、という言葉が1つも出てこないところが良かった。テーマをメタファとして捉えた場合に、ここまで徹底していると気持ちが良い。

Began氏に関しては、観念的な言葉のやり取りが通じていることに不自然さを感じた。心がうまく働かないとはどういうことか、心を置くとはどういうことか。最後のセリフに込められた心情も図りかねる。全体としては面白かったんだけど。


Began

勝つ力がこちらの文章の方により多く宿っていたから。

※作者希望により削除

 いつになく辛辣になった気がするので記名にしときます。
 投票者、ごんぱちです。

 ……なんか、二人ともながーーーーーいブランクとかあったんでしょうか。それとも3000字は書き慣れてないのかなぁ。
 端的に言って、文章と、話の構成が良くないです。

 まずBeganさん。
 「優しさを殺ぐところ」が心、という理屈がさっぱり分からない。話中でも、老婆が勝手に思い付いただけのようだし。
 それから伝聞と説明が不用に多い。老婆の過去で、酒屋がどーたらは話の筋と関係ない。設定はあっても良いけれど、書く意味はない。一方、少女の「地獄から逃げてきた」という発言を、伝聞で流しちゃいけない。これはキーワード。
 それと、時代劇調を狙ったようだけれど出来ていない。「少女」は「娘」、「論理的」は「理詰め」。村に、酒屋や高利貸しがあるのも違和感がある「茶や酒を買って飲まぬ事(慶安の御触書)」。
 「心が上手くはまっていない」、というモチーフは悪かぁないんだけども。

 次、KAZUさん。
 こちらの方が話は把握し易いので一票。しかし、一人称と三人称を地の文で混ぜるという画期的な実験は、とっても失敗しているので今後はやらない方が良い。
 それから主人公が裏切ったフリをして、実は裏切っていない、みたいな展開に見える。のだが、最初の時点で裏切ったようなエピソードがないので、彼を味方だと思うボス氏の精神状態を疑うし、それで引っかけたつもりになっている治安部隊側の戦略も珍妙。
 或いは、主人公が結論づけたように、ボス氏は兵隊を巻き込んで自爆するつもりだったのかも知れないが、そんな大雑把な偶然に支えられた作戦なんて、認める訳にはいかない。小説のキャラクタだって、死ぬのは怖い。
 いわゆるチワワ作戦(違うか)の理屈はちょっと面白いので、料理の仕方次第ではいけると思うけれど、どちらかってぇとコメディ向きでしょう。

Began

熱沸河。
自分よりはるかに若い少女が地獄を語っているということ。
言葉の転がる道。「ああ、やっぱり逆も成り立つ」。
水のイメージ。二人の登場人物。現世と冥土がごくごく当たり前に重なる世界。題名。
まさにベガン作品。
でも、いままでより、作品の肌触りがよくなった気がする。地獄がかなり全面に出ているにも関わらず。
“はじめは少女の身体を駆け巡っていたであろう心が、そして川として地獄を流れていたと云う心が、今は少女の胸の一点に押し込められていた。”のくだり、特に好き。

……名前の行方は?(ソラ豆・KAZU)

※作者希望により削除

名前は名乗れぬが
ヒントを言うなら
投票期限を勘違いしていてあやうく投票し損ねるとこだった人間

声援とともに
(そら)豆氏に一票を投じる

ついでにBeganの幸運も祈ったり。

Began

うーん、そんなに差がないのではとも思いつつ。
どちらも空想世界?でありながら「去来・・・」の方が何となくリアルだったから、かな。二人とも、お疲れ様です。



投票結果!!




Began

■バトル終了後ですが、新しい感想をいただきましたので掲載させていただきます。

やはり「地獄」といううテーマに沿っているという点でBeganさんに軍配をあげました。
ソラ豆(KAZU)さんの作品は、「地獄」とゆうよりは「狂気」のイメージが湧き、また主人公の裏切った裏切ってないの所が、やはり少し分かりにくかったです。
しかし、荒涼とした近未来の像は確かに伝わってきて、長編SF化したらおもしろそうだな、と思いました。

Beganさんの作品は、地獄の有様の描写が際立ち、また老婆の心の移り変わりの表現も素晴らしいと感じました。しかし、「心を殺ぐ」の意味がいまひとつわかりませんでした。


お二人とも、これからもいい作品を書いてくださいね♪

QBOOKSトップ  バトル会場 > 第17回結果