第20回タイマンバトル、開票開始!



○推薦作『君にヌカヅケ★』歌羽深空
 三つ巴、とはいえやってる方にしてみれば2対1で、しかもこんなに手強い作品が相手で、全くおっかないバトルでございました。

「君にヌカヅケ★」歌羽深空さん
 このタイトルからしてやられた、と思ってしまった。何と言っても読んでいて楽しい。文章のテンションから、キャラクターから、展開から、楽しませようという気合いが伝わってくるよう。実は、テーマが決まった時点で、歌羽深空さんはどういう風にテーマを処理するのか、密かに期待していたのだが、その期待に違わぬ作品だった。オチも面白い。
 ただ下山君と佐伯さんの絡みをもっと見たかった。佐伯さんはかなりマイペースな人に思えるが、3ヵ月目の初デートなら、下山君はもっとからもうと努力するのではないか、と思った。

「かなたへ向かい」篠崎かんなさん
 拙作と設定が似ていて少しびっくりした。
 悲しみを癒す存在としての時というものが、強く感じられた。親を失った空虚感は容易に消えるものではないだろうが(前半の空しさに溢れたシーンがまた上手い)、それでも「とりあえず糠漬けをかき混ぜ」る。何とも人間臭い「時の旅人」も良かった。だが残念ながら、後半やや寸詰まりな印象を受けた。前半の空虚があれだけ重かった分、余計にそんなことを感じた。

 推薦作は、歌羽深空作品。でも本当に、どちらも甲乙付けがたい良い作品だった。

 最後に、今回のタイマンバトルを読んでくださった方、投票してくださった方、ありがとうございました。少しの間感想票におびえる日々になりますが、結果発表の際は、頂いた御意見を参考に、また勉強させていただきます。それから、お相手してくださったお二方にも、心から感謝します。楽しいバトルでした。(相川拓也)




○推薦作『泪雨』相川拓也
歌羽深空さんの「君にヌカヅケ★」は、語り口が軽妙で、最初に読んだときは一番いいと思った。「何を書いたか」ではなく「どう書いたか」で言えば、三つの中では一番だと思う。が、オレはこういう話があまり好きじゃない。こういう話と言うのは、主人公が恋した相手が実はやくざの親分の娘で、その親分はとても娘のことをかわいく思っていて、子分達も娘には頭が上がらなくて、けど、登場人物全員が本当は害のない人たち、みたいな、そういう話だ。モチーフとして良いとか悪いとかじゃなくて、ただ、オレはこういう話が、なんかイヤなだけだ。自分の内面を深く探れば、なんでイヤなのかが分かるだろうけど、ここはオレの自己分析を展開する場所じゃないから、ただ、イヤだからイヤなんだとだけ書いてやめておく。ただし、(「 」の中に〈。〉があるのが気に入らないのを別にすれば)「ただ読んでるだけで楽しい」のはこの作品だけだ。文章を読むことの楽しさみたいなものがこの作品にはある。「ただ読んでるだけで楽しい」文章は、才能が書かせるモンだとオレは思ってる。本人は普通に歩いてるのに、なんか美しい歩き方になる、そういう類の才能だ。

篠崎かんなさんの「かなたへ向かい」の作品モチーフは、オレ的には一番好きだ。好きというか、馴染んでるから、読みやすい。けど、こういう幻想的というかSF的なモチーフで、いわゆる「純文学的」な世界を展開すると、大抵、この作品みたいになる。幻想的でSF的なモチーフを扱うと、モチーフそのものに気を取られてすぎて、登場人物の言葉やふるまいが「雑」になる。作者にとって、モチーフが大事過ぎて、登場人物の扱いがおろそかになるんだ。だから、読んでると、登場人物がみんな台本どおりに「お芝居」をしているだけのように見えてくる。作品世界が綻んで「舞台裏」が見えちゃうんだ。自分にとって大事なモチーフを「表現」する手段として「小説」を選択したなら、作品中では絶対に「舞台裏」は見せちゃダメだ。この作品について言えば、主人公が屋上に上がるまでの出だし部分はとても見事なのに、屋上に上がった途端に作品世界が綻んで、作者の手付きが露わになる。作品世界を構築することよりも、モチーフそのものを伝えたい欲求に負けて、作者が「急いで」しまってるんだ。

というわけで、今回の三作品の中では、相川拓也さんの「泪雨」を選ぶ。文章そのものは、身についてないことをやろうとしてるから、おぼつかない感じで、完成度も低いけど、登場人物の振るまいやセリフに「ウソ」がないところがいい。なんて言うのかなあ、ちょっと下手なんだけど、聴いてて悪い気はしない歌を聴いてる感じだ。モチーフの扱いが丁寧だから、登場人物がちゃんと自分で行動したり感じたりしている。オヤジが死んで、息子とオカンが悲しい思いに浸ってるってだけのありふれたハナシなんだけど、読者をちゃんと「(素通りさせずに)その場に立ち止まらせる」ことに成功してると思う。ありふれた出来事も、当事者にとっては特別な出来事になる。読者を、その「当事者」にしてしまう穏やかな圧力みたいなものがこの作品にはある。ただし、しつこいけど、文章そのものは、かなりおぼつかなくて、無駄が多い。けど、総合的に観れば、三つの中ではこの作品が一番だ。

(アナトー)




○推薦作『泪雨』相川拓也
『※初注、この投票は、篠崎かんながしました。

迷いに迷いました投票、どのくらいって、3回地球が回転するくらい。
私も書いてて思いましたが、今回題を使うのが大変でした。
『旅人』は特定分野でしか使わない、
『糠漬け』は日頃使いなれてない
『時の終わり』は、これ単体で使えんの? 
と言う感じでした。あくまで、私の感じですが。
作品としてはどちらも面白く読みました。だからこそ、迷うのです、投票。
ので、題の使い方として見てみます。私も書いた手前、この三題の難しさはわかっているはずだーっと。

『糠漬け』はどちら様も(私もふくめ)雰囲気を出す小道具として使われ、『旅人』はどちらかというと『旅』という感が強かったですね。
で、ネックは『時の終わり』なのです。
さすがに、英語やらでは使え無いですが、この題は私の中でも一番使い方が難しかった。
と言うことで、ものすごい使い方をした相川さんに、投票。
ご自分で出された題とはいえ、まさか歌とは、度肝を抜かれるとか、反則気味(タイマンに反則は存在しないけど)だー、とか言う前に、とにかく『うまい!』と感じたので、これに一票。そっか、この使い方があったから、この題にしたのですね。
どんな『時の終わり』が見れるか楽しみでしたが、いやぁ、心地よい裏切られかたでした。』




○推薦作『泪雨』相川拓也
相川拓也さんの泪雨に一票です。
三人ともお題と2333字に苦しんだんだろうなあ、とうかがわせる作品でした。無責任なことをいうと、それをうまく活かしきれず少し三人とも中途半端な作品だなあと思ったんですが、仕方ないですよね(^^;
ただ相川さんの「泪雨」は他の二作とは違って、お題がスムーズに話の中に溶け込ませてあってよかったです。何より文章うまいなあ、と感心し、勉強させていただきました。これからのご活躍を期待します。




○推薦作『泪雨』相川拓也
 泪雨は最後の“曲が始まる〜”からの文章にぐっと来てしまいました。アメイジング・グレイスが本当に聞こえるかのようでした。静かで優しい物語で、インパクトには欠けますがなんだかジーンとしました。
君にヌカヅケはファニーでとっても好きなんですが、オチがちょっと直球すぎたところが惜しかった。でも、なんだか好感が持てました。
かなたへ向かいは、糠漬けの使い方が一番上手だったと思います。でも母の死と時間旅行者が出現する必然がいまいち曖昧でせっかくの味が分断された気がします。秀作ですが、SFの設定を生かしきれてないところが残念。かんなさんは好きな作者なので次回に期待です。




○推薦作『泪雨』相川拓也
今回、本当にどの作品も面白く読ませていただきました。お三方共に、無理なくお題を盛り込んで展開させて、お見事でした。相川さんの作品に1票投じる決断は、だから単純に好みです。短い時間の出来事を丁寧に描いて、深い感情に触れているところに、良さを感じました。




○推薦作『泪雨』相川拓也
 『泪雨』に一票。
 雰囲気というか、雨音がよく聞こえる音量が良いです。




○推薦作『泪雨』相川拓也
3つ巴。しかも若くピチピチ。こんな場に招いていただき、誠に恐縮です。(あ、でも実は最年少だったりする らしいです。)

「時の終わり」或いは「The End of Time」また或いは「La Fin de Temps」、「糠漬」、「旅人」の3テーマに一番合っていると思い、投票させていただきました。
切なく人の命を刻む時が止まった瞬間。楽しませて頂きました。
相川拓也さんの「泪雨」に投票させていただきます。

また、作品をお読み下さった方々、誠に有難う御座いました。
(歌羽深空) 




○推薦作『泪雨』相川拓也
「時の終わり」「糠漬」「旅人」というものすごいお題にもかかわらず、作品に結実させたお三方に、まずは拍手です。抽象の権化と生活臭のカタマリみたいな単語をよく一緒の作品に組めたとただ感心。すごい!!
ただ、篠崎さんはちょっと単語に引っぱり回されてしまった感があるのが残念。
『バイリンガル・パイリンガル』『お先真っ暗につき』みたいな、質感のあるテンポが薄れ気味でした。シュルプァラント人でもPC2100モデルでもない「時の旅人」は、少し硬さに欠けた様です。
時の終わりは存在するかしないか、みたいなネタ自体は個人的に好きです。いつか書きたい。
一方、歌羽さんと相川くんはほぼいつものペース。
糠漬け軸の『君にヌカヅケ★』も、時の終わり軸『泪雨』も、お二人の持ち味が出ていて吉です。だとすると、あとは好みの問題。
ということで、「時の終わり」の使い方で意表をついた相川くんに一票。




○推薦作『かなたへ向かい』篠崎かんな
 評論で言い尽くした。引き分けであって欲しいが、バトルであるのでやむを得ず投票します。断腸の思いです。団長じゃなくて。安田大サーカスでもないっ!
 というわけで篠崎さん。どうしても投票理由が聞きたい、というのであれば、それは「可能性」であります。他の二人に申し訳ない気持ちで断腸とはいかないまでも白髪がずいぶん増えたが、とにかく、そういうことであります。
 三人とも、どうもありがとうございました。(MAO)




○推薦作『かなたへ向かい』篠崎かんな
三つのお題が、作中に一番スッキリ収まっていたので。




○推薦作『泪雨』相川拓也
三作品読ませていただいて、最も大人びてる(笑)とかいろいろ思ったものを選びました。いやぁ、力作。2333字以上に長く、そして重く感じた。




○推薦作『君にヌカヅケ★』歌羽深空
三作とも、感性にビビッとくるものはなかった。
相川拓也さんの作品は、時の終わりに管弦楽の曲名を持ってきたのは抜きん出ていたと思うけれど、管弦楽と漬物と父の死、はどう読んでもちぐはぐで、篠崎かんなさんの作品も同じ理由で切ってしまった。糖漬けだけ浮いてしまった感じ。
そもそも、テーマに無理があったと思う。
人によりけりだけど、私の固い頭ではどうしても漬物と相性がいいのは「和」であって、決して「THE END OF TIME」などというロマンティックなテーマとは結びつかなかった。無理に結び付けようとするとコメディになる。
そんな理由で、消去法により一番作中の雰囲気を壊していなかった歌羽深空さんに一票。
でも、消去法はあくまで消去法で、歌羽さんの作品が爆笑するほど面白かったというわけではなく、どの話も、いまいちストンとくる感動はなかった。

と、他の人の作品には厳しすぎる批評を下してしまう私ですが、自分だったら、本当はいいと思っていないのに褒められても嬉しくないので、それではかえって失礼に当たるので、正直な感想を。
3人とも、すばらしいアイディアと表現力を秘めた作者さんなので、ぜひとも妥協してほしくないと思います。常にもっと上を目指して欲しい。
ついでに、上の評は、やや好みの歪んだ私が個人的に思ったことなので、納得できなければ軽く聞き流してください。
(スナ)




○推薦作『泪雨』相川拓也
作品全てを無条件で肯定するわけではないが、少なくとも否定する材料よりは多かった。
 そんな無味乾燥な感想では嬉しくもなんともないだろうから良かった点を幾つか挙げる。

 ・三つの御題が無理なく包含されている。
  他の二作品は御題の部分だけ文章から浮いていたように思う。
 ・死の表現が上手い。
  昨今若い方達は死というものを美化し過ぎる傾向にあるので、リアルに描いたこの作品は好印象。
 ・締め方が上手い。
  これはもう無条件で諸手を上げる。これはいい。参考にせねば。

 などと書いてみたところで所詮は後付けの理由。
 結局一見でこの作品が良いと感じたことに変わりはないのである。




○推薦作『君にヌカヅケ★』歌羽深空
 三つ巴バトル楽しく拝読させて頂きました。んで、三作とも良く出来ていて迷ったんですが、兎に角、この方のパワーに一票を投じます。
 感想は「おもしろかった」のひとことに尽きます。お見事でした。




○推薦作『君にヌカヅケ★』歌羽深空
ギャグ最高1票!

果たして結果は!?


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