氷月そら

送電線

この世の中のひとたちはみんな
だれかに なにかを 伝えたがっていて
この世の中は
いろんなメッセージで満ちている
僕はそれを
たくさんのメッセージたちを
右から左へ
左から右へ
送る
そこに僕の意思は
僕のメッセージは
ない

きっとみんな僕を
便利なやつだ

思っている
だろう

凶暴なメッセージを
やわらげたり
かすかな想いを
確かなものにしたり
最適な形で届けるのが
僕の 役目
そこに僕の意思は
僕のメッセージは
ない

きっとみんな僕のことを
都合のいい存在だ

思っている
だろう

だけど僕に意思が
伝えたい想いが
ない
だなんて
一体誰が言った?

あいつを ぶんなぐってやりたい
なんだか ムカつく

あの子が すき
もう少し 近づきたい

みんなに 近づきたい

けど

今日も僕は
たくさんのメッセージを
右から左へ
左から右へ
送る
最適な形に
調整しながら



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