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第25回タイマンバトル、開票開始!



○推薦作:『鉄塔、むらさき』 MAO
 この長さなら、一点突破で書くのが筋。
 従って、未卯さんの話は、シーン移動で少々とっちらかってしまった印象。

 鉄塔に舞台を固定したMAOさんの話に一日の長があった。
 まあ、死なすのはどーかと思うけれど。
 何となれば、男の行動の無謀さが、最初から死を自覚しているかのようだから。「ねえ、明日死ぬとすれば何する?」「そーだなぁ、そこな鉄塔を紫に塗っちまうかー。どうせ死んぢまうんだから、怒られもしねーし、ペンキ代も勿体無くねえし」という感じの命の薄さ。それとも、最初から自殺願望者だっけかなぁ。
▼推薦者:その他のQBOOKS参加作者


○推薦作:『ストロー』 未卯
 上手で、巧いというのはもう掛値無しにMAOさん。でも、読み手を選ぶ作品ですね。最後、主人公の男性が死んだか生き残ったかがすごく気になります。だけど、気になった割りにあまり読後の引きずりが無かった。多分、この作品で強いインパクトを感じた人も多いと思うのでこれは個人差と考えてください。本当に完成度は高いんですから。

 で、美卯さんの作品。粗が目立って、う〜んわからんという部分も多いのですが、この人の別な作品を読みたいという気になりました。私とは世代が違うのでいまどきの若い人の感性が感じられるというか、疑似体験できるというか…。
 以下、あら捜しですが気になった点を書いていきます。あくまで私の好みなのでご無礼があればお許しください。

>真夏で、朝の電車だった。だからしょうがなかった。
 この部分印象的ですが後で何がしょうがなかったかがわからない。宙ぶらりんになった感覚があります。

>「待ちきれなかったんでしょ」
 この会話の前後を読んでも何が待ちきれなかったかがわからない。

>好きなんて、どうしてそんな純粋に出来るのだろう。
 雅美が誰かを好きなのか、主人公が雅美を好きなのか、もっと違う意味なのか??彼女が雅美にあこがれているのはわかるが、どこまで好きなのかが伝わってこない。

>しまった、とおもったときにはもう遅かった。
 これはなぜ? 雅美には彼氏の存在は知られているのにいまさらしまったというのは。どうせ今日は彼氏とデートしないといけないので一緒に彼女と帰れないことはわかっているのに、なぜ?

>目の前にあるレモン風味の水道水を飲みながら、私は泣きたくてしかたなかった。
 これは、若い感性なのか。ちょっとなぜか理解しがたいが、主人公は繊細で感傷的なんだろうなあ。ちなみにこの後の彼氏と主人公の描写はすばらしい!!大好きな部分だ。なんだか伝わってくるって感じがする。

>笑いながら私は紺色のなかに閉じ込められた。まもってもらっている代償なのだろう。
 ここの描写もいいなあ。本当にこの後半にやられたって感じだ。
 最初の??を補って余りある感性、描写力。

 巧さのMAOさんか、感性の美卯さんか。
 ……自分の好みで、美卯さんに一票。
 MAOさんの作品の方向性は間違ってないと思いますが。
 彼女の作品、なんだか微妙な艶があるんですな。

                               小姑新
▼推薦者:その他のQBOOKS参加作者


○推薦作:『鉄塔、むらさき』 MAO
ぶわぶわっと何かがわき上がって来るような気持ちになった。面白かったです。タイトルはもっと捻れるかも。
▼推薦者:その他のQBOOKS参加作者


○推薦作:『鉄塔、むらさき』 MAO
(――感想の一つの形、小説。)

 無人の駅前通りを抜け、目抜き通りの交差点で信号待ちをする。夜明けまでには、まだだいぶ時間がある、といつものように思い、ぼくは一人ほくそ笑む。天頂近くに取り残された月が、暗緑色の輪をぼんやり滲ませている。目を凝らすと、その下方に小さな星が二つ、頼りなげに光っているのが見える。
 信号が青になって、ノロノロと自転車を発進させる。自転車の後ろに乗った志乃が地面を蹴って、くん、と少しだけ加速する。ノロノロ発進が自分のせいだと思ったのだろうか。
 そんなに重くないよ、とかふりむいて言ってみようかと思う。
 でも、ばかみたいなのでやめる。代わりに少しがんばってペダルを漕ぐ。
 街灯がアスファルトの路面に当たっている。停められた車のフロントガラスにぼくが映り、志乃が映り、消える。
 ほの白い光に染まり、うっすらと汗をかき、ペダルを漕いでいると、ばらばらだった細胞の一つひとつがつながっていくような気がする。ペダルと足までが、だんだんと溶け合ってくる。ハンドルは腕の一部となり、タイヤは心臓と重なる。後ろで自転車にしがみついている志乃が痺れた腰を少し右にずらすのが、皮膚を通じてわかる。遠くで蝉の声がした。死に損ねた蝉の声が、呼吸する自分の体に響くのを知る。顔を上げ、背をのばすと、薄暗い世界の輪郭がぼやけ、薄膜の内側から中身があふれ出たようにただ光の濃淡だけが見えた。

「――背中、びっしょりだよ」と志乃が言った。
600
▼推薦者:その他のQBOOKS参加作者


○推薦作:『鉄塔、むらさき』 MAO
未卯さんは、言葉のセンスがおしゃれですごくツボなのだけれど、
キレイな言葉を並べすぎて逆にストーリーがかすんでいる気が。
MAOさんの方は、言葉づかいや視点が男なのに「あたし」なのが、ものっそい違和感。
でも、挿絵がすんなりなじむのはMAOさんの方。
お二方とも漢字の開き方がとても上手くて、お勉強になりました。
お疲れさまです。
▼推薦者:その他のQBOOKS参加作者


○推薦作:『鉄塔、むらさき』 MAO
MAOさんの作品は、まず、文章のリズムが悪く、読みにくい。これはわざとそうしてるのかもしれないけど、この話の内容だったら、もうちょっと読みやすいリズムにしてもいいのではないか、と思う。あと「自動車の廃棄音」、「旋盤の授業ははネジやボルトが」の誤字や「てにをは」のおかしい部分があり、気になる。こういうミスは本当に興ざめなので、なくしてほしい。やっつけで書いてると思われても言い訳できない。
ただ、この小説が作り出す世界は、いい雰囲気を醸し出していると思う。読みすすめながら、その情景が目に浮かぶようだし、作者のイメージした世界はきれいだ。いつもの泥臭い感じがなくて(笑)。こういうテイストの小説なら、今後も読みたいと思うが……。でも、きっとMAOさんはこの小説をそれほど好きではないのかもしれないな。

未卯さんの作品は、会話の部分がよくわからなくて何度も読み返してしまった。
「寝不足?」
「かもしんない」
「待ちきれなかったんでしょ」
の部分は、何が待ちきれなかったのかがわからないし、
「ふうん、じゃあ今日も長沼でお別れかあ。残念」
しまった、とおもったときにはもう遅かった。
の部分もなぜしまったと思ったのか、がわからない。
「待たせてごめん」
「いや、俺のほうが近いから」
「冷めちゃったでしょ」
主人公の来る前に崇は来ていて、コーヒーを飲んでいるのに「冷めちゃったでしょ」とは言わないんじゃないか、とか、他にもいろいろとよくわからない部分があった。僕の読み方に問題があるのかもしれないが(笑)。
全体的には主人公と崇と雅美の関係が、いまいち描き切れてないように思う。作者の思惑に読者がうまくはまっていかない。題名の「ストロー」も何となくつけられた感じがする。
▼推薦者:その他のQBOOKS参加作者


○推薦作:『鉄塔、むらさき』 MAO
 タイトル結構好き。それでこういう女も男も好き。極めつけは「むらさき」
▼推薦者:その他のQBOOKS参加作者


○推薦作:『ストロー』 未卯
 とても悩みましたが、未卯さんの『ストロー』に一票。
 決め手は情報の分量の丁度良さです。此処での丁度良さとは、あくまでも自分の丁度良さであって、いわば好みで決めたような感じになります。
 MAOさんの作品は若干、情報過多に感じられました。逆に言えば、それだけの描写力は素晴らしいとも言えました。
 しかし、御題が挿話と言う事もあり、その上ですんなりと世界に入っていける舞台設定に軍配を上げました。
 
 物語全体の背景を感じさせる部分ではMAOさんの作品なんですけど。
 自分の第一印象を信じたいと思います。
▼推薦者:その他の作者


○推薦作:『ストロー』 未卯
 ああ、巧くなった。
 情報を必要最低限に絞って、ところどころのパーツで見せるような丁寧な仕事振りが出来ている。これだけ緊張感のある作品が書けるのだったら、作品を選ぶ側もちょっとは悩んで投票してくれるかもしれない(笑)。なに、悩まずに未卯に入れた? くそう。
 なんで「ストロー」てタイトルなんだろうねと思ったら、結局意思や気持ちの疎通がなかなかうまくいかなくて、通じ合えている気持ちのパイプの太さを比喩して「ストロー」ってことなんじゃないかなと思った。ストロー、直訳したら「藁」ですよ。藁一本ほどにしか通じていない、という私のジレンマであり、自意識過剰な部分なんだろうな。そう読んだ。
 うん、よく出来てる。これなら負けてもしょうがない。(MAO)
▼推薦者:このバトルへの参加作者


○推薦作:『ストロー』 未卯
 まとまらないまま、投票。すみません。
 票は「ストロー」に。
 「鉄塔、むらさき」は良いのだけど、ラストが納得できない。

鉄塔、むらさき
 時間的に、「馬ァ鹿」とつぶやけないと思う。時間だけが気になった。

 世界はこっちの方がリアルだと思った。いや、こういうリアルさはMAOさんの特色ですよね。
 鉄塔がむらさきになったって何が素敵かはさっぱりわからないけれど、このあたりの景色に思いを馳せた矢先にペンキの雨。案の定落下。馬ァ鹿。
 共感の面では、ほどほどに付かず離れず。「あがらいようもない」が最接近、「筋肉にキュン」が一番離れました。

ストロー
 「夏の暑さのせいにちがいない」って、何が夏の暑さのせいなのか書いていないけど、わかってしまう。これは、すごいことなんだけど、未卯さんの日記を読んでいるせいで思考パターンを刷り込まれた気もする。刷り込まれた頭には、非常に綺麗な作品。
 「ぐしゃぐしゃになる」とか「好きなんて、どうしてそんな純粋に出来るのだろう」って表現が好き。逆に、崇を見るときには推測の意味で「だろう」が出てくる。

 読解力不足か、分からなかった箇所が二つ。「待ちきれなかったんでしょ」と、「マナーモードの振動が腰に響いた」。なにが待ちきれなかったか、なんで今着信があるのか。
▼推薦者:その他のQBOOKS参加作者


○推薦作:『鉄塔、むらさき』 MAO
まず、今回タイマンバトルを開かせていただいてありがとうございました。
この一文で既に私が誰かばれているのですね。複雑な気持ちであります。
そしてごんぱちさんアップ作業ご苦労さまでした。
「鉄塔、むらさき」のフォント色がむらさき色なところに細かい芸が見えます。

さて、「鉄塔、むらさき」なのですが、
どこぞの日記に勝負作品だなんて書いてあるもんだから最初同情とか入ってたのですが、
最初の数行で必要なかったと感じました。たしかに、勝負作品なだけあります。
文体にいつもの庶民臭さがないなあというのが第一印象でしたが、
だからといって生活感がないわけではなく、むしろ庶民臭さがないせいで
主人公の尚人に対する気持ちがとてつもなく正直に描かれていると思います。
ふたりの間のすこし不安定なくうきや、尚人の像がきれいな印象もありました。
これは、いつものような魚の煮干だのしょうゆの匂いだのがあふれている庶民派文体では、
きっと表せなかったであろう世界です。その点をまず評価させていただきたい。

最初、主人公は女だと思っていて、その割には足のサイズが25センチだの正確が男っぽいだの、
ホモっぽいなこの主人公、と思ったらやっぱりゲイの方だったようです。
このへん、やられたなあ、と素直にくやしい。
そんな仕掛け用意してなかったよ!!
小説は人の暮らしだとかこの間聞きましたが、人の暮らしを描くにしても、
こうやって少しアクセントを効かすだけで「面白い」小説になるのだなあ、と改めて確認。

今回、とにかく世界観です。ふたりの人間のあいだにある空気に一票、です。
バトルしてくださったMAOさん、お忙しい中ありがとうございました。

(未)
▼推薦者:このバトルへの参加作者


○推薦作:『鉄塔、むらさき』 MAO
少し読みにくい部分もありましたが、尚人君の墜落が丁寧に書かれていて、それなりに感動しました。MAOさんの貫禄勝ちです。
▼推薦者:その他のQBOOKS参加作者


○推薦作:『ストロー』 未卯
どちらに投票しようかずっと迷っておりました。 

文章のリズムではMAOさんの作品が好きです。
三連符のように小気味よく進む文で
するすると読み進められるので。
 
 
話では未卯さんの作品が共感できました。
ガムシロップはミルク入れみたいなのに入っているほうだろうか、
それとも普通の使いきりパックのだろうか、
ミルク入れみたいなのに入ってくるやつだったら相当甘いよなぁ。
そんなとこを気にしつつも、未卯さんに一票。

▼推薦者:その他のQBOOKS参加作者


○推薦作:『ストロー』 未卯
MAOの作品と比較して未卯の作品には女性の繊細さがよく描かれている。この辺が決定的な差異と言える。MAOの作品も情景や場の空気などが細かく描かれており、決して悪くはないのだが、やはり本物の女性が描いた女性にはかなわなかったのか、作家にとっての女性に対する拘りを感じてしまった。内容的にもMAO作品はまだ掴みづらい部分が残るのに対し、未卯作品は書かんとする事がジワリと染みてくる感じがした。MAOにはむしろ男性主観のもので勝負して欲しかったと思う次第。
▼推薦者:その他の作者




果たして結果は!?


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