第37回タイマンバトル、開票開始! ○推薦作:XXXXX 人間性に対するIRONYでもなく、冷笑的剔抉でもなく、自暴自棄でくすぶっている神経、激しい刺激と動揺を浴びせかけることに没頭している詩に比べ(タイマンだから)てみると、自己懐疑から脱することの出来ない重荷が、実は傷つき易い神経の先にぶら下がっているような、こちらの詩はとてもいい。バイタリティーに溢れた人間味のある母親がうらやましい。母親の行為は常に自我を中心として回転しているように詠われていますが、ここで問題にしているのは本質的には自己なのでしょうか。 薄暗く黄昏れた人生などではなく、仕事に没頭する母親が、あたかも自我のみであるかのように詠われ、導入部では「俺」の繊細な神経と冷眼をさえ感じましたが、詩の流れは、脆くそれでいて強靱な母親の自我を「俺」は、本当は、愛しているのかも知れないと感じました。自己を防衛しつつも、ともすれば孤独感や空虚感に苛まれ、落莫とした孤独と後悔に満ちた自己批判とが、逆説的表現で詩の中に滂薄しています。過去の痛みの中に安らぎを創ろうとしている母親、素晴らしい人生ですよ。私には創れない、好きなリズム、好きな詩です。三票入れたい気分です。 ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 ○推薦作:RAPE ME (あるいは後遺症の顔した依存症) 名前を見ないで読んでもどちらがどちらを書いたかすぐにわかるほど (みかさんはニルヴァーナずきなのでタイトルだけでわかってしまうが(笑)) それぞれらしさというか、いつもの雰囲気で。 逆に破壊力や驚きはどちらもあまりなかった。 どちらも過去に受けた体験(登場人物、語り手が)を基にした作品で、 個人的には想像通りというか意外性がなかった。 引き分けにしたいところだが、引き分けにするのなら投票しない、が信条なので(笑)まあ半勃起ではあるがみかさんに。 ところで、「ビッチ」というと反射的に「ミスターグッドバーをさがして」を 思い出す。 物悲しくせつない映画だったが。 俺にとってはあの映画のダイアンキートン演ずる女教師こそ 「クイーンオブビッチ」だ。 ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 ○推薦作:RAPE ME (あるいは後遺症の顔した依存症) 佐藤yuupopic XXXXX 「また次の街へ。」ここがいいな。旅人だ。 葉月みか RAPE ME (あるいは後遺症の顔した依存症) 「センチな詩は全部燃やしとけ」これはここがいいな。 自分もこれが言いたかった。ということで、葉月に一票。 ▽投票者:その他の作者 ○推薦作:XXXXX いや、これ両方面白いわ。 題材がぴったりはまった感じ。 葉月さんの作品は、ロックな音でも付ければそのまま歌詞になりそうなリズミカルな作り。 さじ加減を少し間違えれば嫌な読後感になりそうなのに、クールに仕上がっている。 ユポさんの作品は、多分に物語的。しかもなかなかコミカルでもあり人情話風でもあり。 騙されやすい、泣きぼくろのある、黒髪ウェーブ長髪のママンの姿が否応なく浮かぶ。 そして迎える大団円、愛すべきサノバビッチが胸張って、言い切る姿は清々しい。 どちらもかなり良い。かなり僅差。 僅差ながら、ラスト一言びしりと締めたユポさんに一票。 ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 ○推薦作:RAPE ME (あるいは後遺症の顔した依存症) テーマが「ビッチ」というのもすごい戦いだが、ユポさんは客観的に、みかさんは主観的に捉えているように思う。そういう意味で「クイーン・オブ・ビッチの称号」を得るべきはみかさんなのではないかと思う。「レイプ・ミー」といえばニルヴァーナだが(個人的にもっともロックだと思う曲なのだが)、葉月みかの自分を切り売りする姿勢もまさにロックだと思う。 (トノモトショウ) ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 ○推薦作:XXXXX 去年の年明け、グラチャンタイマンの『結晶』に感動して、感想メールを送ったことが、ゆぽさんと私の個人的なファーストコンタクトでした。 そのやりとりの中で、ふたりとも「同じ性に生まれながらもとても異なる資質を持つ者同士のように思われ、故、生まれる『違和感』」を感じていて、その上で、相手の作中の女の子を愛おしく思っていることを知り、私は同性の盟友ができたような気持ちになってとても嬉しく思ったことを、今回のタイマンで、また、鮮やかに思い出しました。(あまりに違いすぎる才能には嫉妬してしまいますが 笑) しかも、ゆぽさんは「遠くまで飛べる詩」を好み、私は「どこにも行けない、沼に沈んでいくような詩」に惹かれると(暗いなぁ、私)、これまた正反対な嗜好を持ち合わせているわけです。 だから。 ゆぽさんから今回の果たし状をいただいた時、こんな資質の違いすぎる私たちが本当にサシで勝負できるのか、とても不安に思いました。その一方で、同じ性だからこそ感じる違和感を突き詰めたいとも思い、「オンナ」というテーマで真っ向勝負しようと、今回のお題を決めました。 結果。 やられましたよ。 こう来たか、佐藤yuupopic。 発想の仕方がもう根本から私と違って、「やっぱ私って頭固いなぁ」って思い知らされました。『XXXXX』読むまで、女を登場させずにビッチを描くって手法に思い至らなかったもん。ほんと、ゆぽさんの作品読むと、いつも自分のイマジネーションの貧困さに辟易しちゃう。確かに、作中の母親は「生粋のビッチ、には何かが足りないけど」、そのいくつになってもピュアなあどけなさが、却って男の人を虜にしてやまないんだろうな、と思う。ファム・ファタルは、往々にして天然だ。敵わんなぁ。ずるいよ。 で、もうひとつ。 ビッチの息子、サノバビッチは、この「俺」みたいに絶対に絶対に優しい男の子。 散々ダメな男を見てきて、時には傷ついて泣かされて。 せめて自分の息子くらいは、女を泣かすような男じゃなくて、ちゃんと守ってあげられる騎士(ナイト)に育てたいじゃん。 だから、この「母親」は幸せだなぁ、と思う。「俺」は立派に騎士に成長したから。 そんなこんなで、ゆぽさんの描くビッチ物語は、やっぱり愛おしくてたまらなかったので、『XXXXX』に票を投じます。 (葉月) ▽投票者:このバトルへの参加作者 ○推薦作:RAPE ME (あるいは後遺症の顔した依存症) どちらもビッチな詩でよかったです。荒々しくって妖艶な葉月さんの作品、最後でほろりとさせられた佐藤さんの作品。甲乙つけがたいです。こうなったらもう読み手の精神状態で決めさせていただきます。 じ〜んとさせられて泣かされるストーリーを持つ佐藤さんの作品は、心の余裕があるときには味わえるのだがちょっとすさんでいる今の私には辛い。葉月さんのギンギンにとんがった詩の痛さが、いっそ心地よかったりする。 今回は、葉月さん。 お二人とも、お見事でした。気合の入ったバトル、ありがとう! ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 ○推薦作:XXXXX ある意味、QBOOKSにおいて女性実力者対決、という体のタイマンバトル。 かなり期待していたのだけど、両者とも物足りない作品だなあ、というのが 正直な感想です。 というのは、いわゆる「bitch」のイメージそのままの詩であったこと。 あまりにも想定できる範囲内のイメージでしか詩を書いていないこと。 はっきり言ってしまえば、これなら他の人でも書ける、ということです。 まず着眼点のオリジナリティがほしい。 「bitch」をそう見たか。その切り口で書くか、という驚きが欲しかった。 2人とも実力があり、評価されている詩人だからこそ、 僕はちょっと高い質のものを求めてしまった。 かってにハードル上げんじゃないよ! と怒られるかもしれませんが。 ほんとはどっちにも投票するべきではないんだけど、 まぁ「bitch」の裏、影の部分を書いた佐藤さんが僕のなかでは 一歩ぬきんでてるかな、と思い、佐藤さんに投票します。 葉月さん、これはもうあなたの自動筆記みたいに見えます。 葉月さんがこれ系のが得意ということは知っていますが、 だからこそ、この特別なタイマンの席ではそのイメージを覆してほしかった、と思います。愛をこめて。 ▽投票者:純粋読者 ○推薦作:RAPE ME (あるいは後遺症の顔した依存症) これは歌なのだと思いました。 歌う事で角が丸くなって痛みが落ち着いていく。 読後に、激しい流れの中を転がって、 やがて岸に着いた石のようなイメージを持ちました。 ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 ○推薦作:RAPE ME (あるいは後遺症の顔した依存症) 葉月さんの作品は、いつかの誰かの歌に出てきたような幾つものフレーズが、クッ、クッ、ときて心地良い。私とは全然違う境遇が描かれているのに、分かる分かるって最後まで読める感じ。 視点がビッチ自身の方が、称号に相応しいようにも思うから、こっちで。 ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 ○推薦作:RAPE ME (あるいは後遺症の顔した依存症) この度は突然のバトルの申し込みを広い心で受けて立ってくださって本当にありがとうございました! 思いっきり「大きなお世話ッ」て一笑に臥されそうだけど「俺がしあわせにしてあげたい」「俺だけが本当のきみをわかってあげたい」なんて勘違いしてしまうような読み手のわたしをひりつかせる主人公のイタさ。かなしいよ。ハードコアテクノ的速度で激しく身体を重ね続けても何も埋まらない、いや、内側の空洞化は加速するばかり。何万回の、よりほんの一回の愛あるセックス、なんて口で云うのはカンタンだけど。それ程カンタンにはいかないものだ、よね。痛い、かなしい、痛いよ。わたしにはこの痛さは怖くて書けない。本当、感服、脱帽。 こちらがチャレンジャーのクセして「みかさんの得意なお題で」なんてテーマ出しまでお願いしてしまい甘えッ放しでスミマセンでした! 今回はみかさんの手のひらの上で必死に不器用なダンスを踊るようで、ここまで圧倒的に「負けました!」と完敗感あふれる勝負もなかなかない感じでありますが、それもまた新鮮で、すがすがしくもあり、本当に貴重な経験をさせていただきました。みかさんの主人公とうちの主人公がどこかで出会ったらどんな風な会話が始まるかな、なんて想像してみるのも一興でした。ありがとうございました!(佐藤yuupopic) ▽投票者:このバトルへの参加作者 ○推薦作なし 投票締め切りギリギリまで悩んだのだけれど、 今回はどちらにも投票しないことに決めました。 お二人とも、描きたかったものは見えるのだが、 もっと削ぎ落として磨き上げることができた気が。 お二人の実力を知っているだけに、 今回の作品は両者とも不完全燃焼感が否めません。 というわけで、申し訳ありませんが 今回はドローとさせていただきます。すみません。 ▽投票者:その他のQBOOKS参加作者 |