佐藤yuupopic

XXXXX

「オマエのカーチャン、ふぁっきんXXXXX」

XXXXXに入る五文字のアルファベットは?
制限時間は二十秒。


小二の時だ。
同じクラスの山井の母さんが。
アパートに血相変えて怒鳴り込んできた。
亭主が俺の母親に入れ込んで店に通いつめ貢ぎまくって。
家を抵当に入れる寸前に発覚したとさ。

雌犬! 
阿婆擦れ!
売女! 
山井の母さんは国語教師だって。
その豊富な語彙力による罵倒に飲まれていた、
俺の母親は。
存外お人好しで、
(知人の保証人になって逃げられたり)
義理人情に厚くて、
(嘘をつくな。目上の者を敬え。命を大切に。が三家訓で)
生粋のビッチ、には何かが足りないけど。
その稼ぎで大きくなった俺は、
サノバビッチ、てヤツだ、
一応。

「本気になるなんてルール違反よ」
俺は。

「この街にも慣れてきたのに」
いつだって。

「ごめんね」
うなずくだけで。

新しい生活になじむ端から母親は問題を抱え、
俺達は住む土地を転々とした。


我が家は。
母子家庭ってヤツで。
十六で俺を産んだ。
曰く『夜の接客業』に就きながら俺を育ててくれた。

父親は。
船乗りで海で死んだ。
刑務所で服役中。
フランス人だ。
映画俳優のKだ。
聞く度に話が違って。
真相は藪の中。

「家庭に仕事を持ち込まない」
が信条なクセに。
客に自宅を突きとめられ、
ストーカー行為に悩まされては、
次の街へ。
何度目の転校。
でも仕方がない。
バイバイ。
また次の街へ。


中三の冬。
母親の留守中に男に上がり込まれた。
結婚の約束をしていると云う。
挙動。
不審。
上着の内ポケットから取り出した両刃。
で。
自らの首筋を。
かっさばいた。
絨毯は血の海。
俺は震える指でダイヤル119。
行きがかり上救急車に同乗し男の家族に連絡を取った。
男には妻子があった。
正気に戻った男からの迷惑料を支払うとの申し出を、
母親は断った。

「約束なんてしたことない。
みんな勝手よ」
俺は。

「……違う」
何も。

「わたし……」
応えられずに。

「……思い上がっていた」
ただ。

「潮時……ね」
見つめていた。


新しい街に寄りついた時。
母親は慣れ親しんだ仕事を捨てやしなかったけど、
俺が就職して家を出るまで、
他の街に移り住むことはなかった。


なんで。
取り留めのない回想を? って。
もうじき。
奥さんになってもらう子がさ。
「お母様はどんな人?」
だって。
だから。

そうだ。
余談として。
映画俳優のKが父親なんて与太話。
本当でさ。
最近ヨリ戻してやんの。
世の中ってメチャクチャだよな。


「オレのカーチャン、ふぁっきんXXXXX」


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