第73回 1000字バトル結果

おめでとうございます!

今回のチャンピオン作品は、越冬こあらさん作『回収』です。
越冬こあらさんは、10回目の優勝となります!


エントリ作品作者得票
13回収越冬こあら4
08白き疑惑ごんぱち2
15タクシーアナトー・シキソ2
17『スペースエイジ』橘内 潤2
02ホームゆふな さき1
04HWITE OUT石井伸太郎1
09夜路ぼんより1
11りりいばけっと1
14スイカワリとむOK1
16鏡台立花聡1


感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。



推薦作品と感想

■回収  越冬こあらさん
 
感想:ぴかぷー。

1:人間が書けていない。いくら女性といえども、ここまでの鯖を読むというのは人間観察があまりにも浅いのではないか。思いついたアイデアのために人間描写をおろそかにしたことがショートショート衰退の一因なんじゃないかと愚考する。ギャグにもならない。

6:シュールだが、タラバガニの味噌って、おいしいのか?

8:駄目に決まっていることを何故、やるのか。人間における永遠のテーマともいえるが、なんとなくおもいついちゃって勢いで書いたようにも見える。

10:自意識の前に読者のほうを見たほうがいい。

13:うううぅ、わびしいのう。わびしいのう。
 でもこういうわびしさが大好きなんじゃ。

14:ひとり語りの文章の間の間合いが不十分。警官をどやしつけて始末するまでとか、ミサイルが出て爆風が治まるまでとか。面白いが、小説向きではない。

17:アニメなんだよなぁ。小説よりアニメの方が映えるよなぁ。

 まいりました。ええ、こあらさん、まいりました。(M)
票者:このバトルへの参加作者


感想: やっぱり、分別してないのが悪かったんじゃないでしょうか。
 混ぜればゴミ、分ければ資源って(違う)。
票者:その他のQBOOKS参加作者


感想:07「窓に見える」綾重寄之介
手つきはものすごくたどたどしくておぼつかないけど、表現しようとしてることにはとても共感を覚えた。ものすごくいい曲を書いた。けど、演奏は下手くそだ。そういう感じ。

08「白き疑惑」ごんぱち
くだらねえ! そして、面白い!

10「マイノリティサーカス」安芸賢治
自分はどう書けばいいのかが分かった人が書いた作品という印象。
こうなるとあとはいくらでも書ける。誰に何を言われても書ける。
でもまあ最後に「落とさない」方が俺は好きだ。

11「りりいばけっと」荵
シュールやなあ。クラクラするぜ。

12「キャッチングセンター」ながしろばんり
手首に手首が入るって、なに?
まあ、それはともかく。最後が好き。最後がものすごく効いてる。
あと、「キャッチャーの醍醐味」をさらに味わえるようになってる「奪三振部門」のアイディアが面白い。キャッチングセンターは、日々進化してるのか?

13「回収」越冬こあら
全部じゃないけど、越冬こあらの作品には大友克洋のニオイがする。この作品なんか特にそうだ。「アキラ」とかの大友克洋じゃなくて、なんだっけ、タイトル忘れたけど、「ショートピース」だか「ショートホープ」だかの、そういう、ひどいことになっちゃったよなあ、と思いながらも、どこかとぼけてる感じのエピソードばっかりあるやつ。神秘とかスピリチュアルとかそういう安易なところには絶対に行かないタイプの不条理世界。今回はこれかなあ。

14「スイカワリ」とむOK
おもろいわあ、とむOK。名前はふざけとるけど、才能あるわ、こいつ。
と、思った。俺はうれしいぜ。

16「鏡台」立花聡
【なぜなら、自分の嫉妬に気が付いたからである。 】まではものすごくいい。中音域のストリングスが小さな音でずーっとなってる感じが、ものすごくいい。で、例の最後の一文をどうにかしたいと思った。余計だという意味じゃない。娘が自分の嫉妬に気付いたということを伝えるのに、もっと別の言い回しはないか? と、そう思った。この一文だけ、俺には音(というか拍子)が違って聞こえる。

「回収」か「鏡台」だ。どっちかだ。……やっぱり「回収」だな。
既に読む方が「よくて当たり前」になってる越冬こあら作品って、損だよなあ。

(アナトー)
票者:このバトルへの参加作者


感想:なんと言うか、悲哀。
昼間でそこに居たんだなァと言う微妙な可笑しみも感じつつ。
票者:このバトルへの参加作者


■白き疑惑  ごんぱちさん
 
感想: どの作品にも読ませどころがあって、今回楽しく拝見しました。一部だけですが、感想を。

01 オメガ星からの脱出 のぼりんさん
 「冷たい方程式」ですか。久しぶりに見ました。オチも下世話で楽しい。
 いろいろツッコミどころがあるみたいですけど、もっと色々説明したいところ、1000字では書けないからでしょう。

04 HWITE OUT 石井伸太郎さん
 雰囲気は出てると思います。しかし「幼い」日の出来事であれば、まず大事にしていた猫の死に気持ちが向くのでは? 猫の立場はどうなるんだろう。そして「WHITE」OUT?

05 二律背反 陽芽さん
 二人は「シャム双生児」でしょうか。
 萩尾望都が「半神」という漫画を描いてますが、片割れの面倒を全て見ている双子を描くところが、似ています。漫画でもやはり片方が死にますが、死んだのはどちらなのかわからなくなる主人公の心理が悲しい。
 こちらは、何もしなかった片割れが最後、「お前は何かと便利だったのに」と、言い切ってしまう。この冷酷さに、ぞっとします。

08 白き疑惑 ごんぱちさん
 そう、その通り。

09 夜路 ぼんよりさん
 すばらしい。
 一点だけ。この流れで「三千世界」って飛躍し過ぎかなって思いました。三千世界という言葉に対する自分のイメージなので、すみません。

11 りりいばけっと 荵さん
 祝・本バトル参加。
 ずっと「葱さん」だと思ってました。ごめんなさい。
 「笑」がキーワードですね。こんな老人好きです。それ以上に、戸惑うような不安定な「笑」も惹かれます。

13 回収 越冬こあらさん
 今回、酔っ払い、夜、外っていう作品がいくつかあるけど、そういう季節なんだなあってしみじみ思ってしまった。
 いつもながら完璧。生ゴミ扱いでなくせめてリサイクルで…リサイクルの回収は家に求めるのでしょうか、それともどこか新天地なのでしょうか。

15 タクシー アナトー・シキソさん
 安直な恐怖小説にはない何かがあるのですが、自分には十分読み取れません。これを才能の差っていうんだなあ、って思います。

16 鏡台 立花聡さん
 子どもの心理を「嫉妬」より、「不安」と読みました。紅をさしてどこかへ出かけていく、娘に暴力を振るうような母親。それでも絶対的に頼っている母親。それなのに自分以外のものに気持ちを向けている母親。それが鏡台の「冷たさ」に通じるのだと思ったのですが。
票者:このバトルへの参加作者


感想:■エントリ01  オメガ星からの脱出    のぼりん
 女性が体重をサバ読むだろう、ってのは予想がつくから、そこからもう一歩進んでどう落とすのか――と思っていたので、少々拍子抜け。

 ロケット発射後、女性がせっかく積んだ物資をどかどか投げ捨てて13キロ軽くしたけれど、実はミニロケットも本当は240キロまでしか乗せられないレモン車だった――なんて落ちを想像してました。

■エントリ02  ホーム    ゆふな さき
 落ちに頼りすぎな気がする。
 背筋にぞくっと来るような展開だと思うんだけど、落ちが解説っぽくて、乗り切れなかった感が。

 ……締めの一文って難しいよね。
 分かりやすいように書きすぎても解説っぽいし、曖昧に書いてもやっぱり分かりにくいし……。
 たった一言で1000字以降の展開まで場景が浮かぶような名文句が出てきてくれればいいんだけど……ふぅ。

■エントリ04  HWITE OUT    石井伸太郎
 わざとなのかもしれないけれど、題は『WHITE OUT』なのでは?

■エントリ08  白き疑惑    ごんぱち
 突然出てきた【台魔新】に、「いや、いきなりそんな設定出されても……」と思っていたので、落ちで笑ってしまった。
 これ、好き。

 ということで、この作品に。
票者:このバトルへの参加作者


■タクシー  アナトー・シキソさん
 
感想:のぼりんさんの作品と迷ったのですが、アナトーさんに一票。
票者:このバトルへの参加作者


感想:夏はホラーの色が合うので
票者:このバトルへの参加作者


■『スペースエイジ』  橘内 潤さん
 
感想:S〜Fの評価で、03、08、14、17はB。それ以外はCとD。

03 オーバードーズ    左右田紗葵さん
笑える部分もあるし、精神的にヤバくなっている感じが良く出ていて面白かった。頭がまともに働いていない時って、こんな風に変なことが浮かんでくるものだろうなと思う。一行空けは、タイミングがきっちりしすぎているようにも思うけれど。
カナザワヨシユキ怖い。主人公をこんな目に遭わせた張本人だろうに、なんで逃げないんだろう。

08 白き疑惑    ごんぱちさん
なんで夫婦別姓? 芸名? ていうか、あの女優さん? と思ったから喋り方を思い出して読んでみた。なるほど、あの女優の口調だ。雰囲気もよく合っている。
1000字小説としては妥当なペースで話が進むけれど、日本のテレビやラジオで流すにはセリフが多すぎるだろうということで無理のあるオチなのかもしれないが、全体の流れで楽しめた。

14 スイカワリ    とむOKさん
画がないからこその作品。主人公が得ている情報に対し、事実と虚構の両方で想像できて面白かった。
カップルが羨ましくて仕方のない男が、実は自分の意思で破壊活動しているような気がする。最後は自業自得、みたいな感じ。あるいは、カップルたちによって仕組まれたドッキリとか。
「ピーポー言いよるで」って早いなー、という点がまた面白い。

17 『スペースエイジ』    橘内 潤さん
宇宙人の外見などについて書かれていないけれど、行動やセリフの書き方から、二足歩行の動物みたいなイメージを受ける。けっこういろいろ想像できて楽しかった。
「バカ宇宙人」という呼び方は、何度も繰り返すには長すぎると思うのだが、文章自体のテンポはよく、味もあって面白い。常体から敬体の話し言葉に移るところも自然だった。
読みやすく、とっつきやすい作品とも言える。

とりあえず、ごんぱちさんはもっと書けるはず、ということで外させていただいた。
左右田さんのは、タコとか、発想がすごく良いなと思うし、とむさんのは、文章力の高さを感じるし、題名のセンスも好きだ。橘内さんのは、二人のやり取りが好みで、説明オチだけど許せる気がした。
投票は橘内さんに決定。読んだ後に残るものが一番大きかったから、ということで。第一印象も一番良かった作品。
(日向さち)
票者:その他のQBOOKS参加作者

感想:しみじみバカだなあと思いました(いい意味で)
今回も最後の作品まで読んで本当に良かった。
あえて言えば、スピード感みたいなものに惹かれました。
票者:このバトルへの参加作者


■ホーム  ゆふな さきさん
 
感想: エントリ02、ゆふなさきさんの『ホーム』へ投稿します。
 台詞中心の話でありながら、台詞を「読まされている」とは感じなかった。また話自体もジンワリ迫ってくるモノがあり、言外の表現が素敵でした。
 欲を言えば、もっと洗練されるとイイなぁ、と思いました。

 他で気になったのは――
03『オーバードーズ』左右田紗葵さん
(臨場感とノリが秀逸)
08『白き疑惑』ごんぱちさん
(1000文字で笑わせてもらいました)
12『キャッチングセンター』ながしろばんりさん
(手堅い文章が読みやすい)
13『回収』越冬こあらさん
(巧過ぎです。迷ったのだけど/汗)
by千早丸
票者:その他の作者


■HWITE OUT  石井伸太郎さん
 
感想:
エントリ01  オメガ星からの脱出    のぼりん
 読みやすい! おもしろい! 体重の秘密を命かけて守るって、なかなか根性ある女性だ。私なら命を取るが……。


エントリ02  ホーム    ゆふな さき
 私の作品です。後半部分を付け足した作品もあります。1000字の関係上、消した。

エントリ03  オーバードーズ    左右田紗葵
 なんか、村上龍の「限りなく透明に近いブルー」や夏目漱石「三四郎」の終わりを連想した。
 こういう状態を心理学用語で、なんて言うんだっけ。。思い出せない。。
 
エントリ04  HWITE OUT    石井伸太郎

 この作品に票を入れました。死神と天使の関連や、絵から死神が現れたことの意味、現れることで起こる影響とか、設定が見えなかったけれど、雰囲気があると思った。

 
エントリ05  二律背反    陽芽
 萩尾 望都の「半神」って言う漫画を思い浮かべた。その「半神」って作品では養っているほうが生き残り、美しく知恵遅れのほうが死んだけれど。それの逆みたい。。
 読みやすいし、良い。

エントリ06  さるかに合戦    小笠原寿夫
 会話文から受ける年齢イメージに対する、チャレンジ。挑戦的な設定だから、読みづらくて当然なのだろうけれど。ああ、読めなかった。。

エントリ07  窓に見える    綾重寄之介
 主語がないあたりが、妙に文学的。前半部分を読み、描写力への挑戦かと思った。描写について言うと、文学的に書くにしてはちょっとありきたりかなと思った。村上春樹とか、よく読んでいるせいか。。
 後半は哲学的。「窓」とはなにか。「ガラスがなかった」元窓の向こうにいる老人たちは何をさしているのか。考えさせられる感じ。
 
エントリ08  白き疑惑    ごんぱち
 刑事ものサスペンスと思わせといて……。。
 サスペンスとしてのオチになったら、よく千字で書けるなあ、とびっくりだけど。CM(却下される)企画オチだと夢オチくらい、何でもありな気がしちゃう。。
 サスペンス仕立てのCMも、インパクト狙いで却下されない場合もありそう。。 

エントリ09  夜路    ぼんより
 前回の部屋で暴れるバージョンよりシリアスだけれど、一人称で誰も登場しないところが、同じ。共感を呼ぶ感じも。なんか、急に帰りたくなくなってどこまでも行きたくなる感覚、わかる。。
 普通、一人称で主人公ただただ思考ってパターンはつまらないけれど、ぼんよりさんのは面白い。きっと、主人公が動き回っているからだ、と思う。

エントリ10  マイノリティサーカス    安芸賢治
 小説と言うより、詩みたい。呼びかけな文章。すっごく書くのが難しいって言う、二人称っぽい。
 最後、読点で終わるところが、好きです。

エントリ11  りりいばけっと    荵
 この作品に投票しようか、ちょっと悩んだ。言葉のイメージが新鮮。村上龍の描写を薄めたような感じ。
 ただ、ストーリーが見えなかった。もっと長い文章にするか、要素を少し削ってくれたら、読みやすかったかも。

エントリ12  キャッチングセンター    ながしろばんり
 面白かったです。選ばなかったのは、野球が良くわからないから。

エントリ13  回収    越冬こあら
 ああ、捨てられてる。かわいそうに。。
 読みやすかったです。

エントリ14  スイカワリ    とむOK
 ああ!おもしろい!! 確かにスイカわりって、たたく人を人の頭に誘導したらどうなる、って言う、スリル感じる。
 関西弁(?)も素敵です。

エントリ15  タクシー    アナトー・シキソ
 涼しくなる話。

エントリ16  鏡台    立花聡
 女性らしい感じ。
 
エントリ17  『スペースエイジ』    橘内 潤
 冒頭から話に入れる感じ。ずらで済んでよかった。主語が一箇所、美知から宇宙人に替わっていて、戸惑った。(ボディーブローは地獄の苦しみ)
票者:このバトルへの参加作者


■夜路  ぼんよりさん
 
感想:不安で眠れない、何もできなかった日の夜に、いたたまれなくなって外に飛び出す感じが再現されててすごいと思いました。全然、見当違いなら、すみません。細かいところは分かりませんでした。草履とか。あんまり気にならなかったですけど。

他に越冬こあらさんの「回収」が面白かったです。うまく表現できませんが、優しい感じがしました。

ありがとうございました。荵
票者:このバトルへの参加作者

■りりいばけっと  荵さん
 
感想: 読み始めたとたんに目の前に広がる巨大なユリ、不思議な世界。架空の世界にいながらも、存在感のある人々。ほんわりしたあったかい感情にくるまれながら楽しめました。ところどころ荒く感じるところもあるけれど、ぐっと引きずり込む力のあるその魅力的な世界の前ではどうってことありません。
 ちょっと雰囲気が、椎名 誠(SFを書くときのね)
 素敵、素敵。とっても素敵。
 次の作品も期待しています。
票者:その他のQBOOKS参加作者


■スイカワリ  とむOKさん
 
感想:スラスラ読めるほど読みやすく、破天荒な話の展開に酔いしれました。
全編、心の声というのが、また、良かったと思います。
票者:このバトルへの参加作者


■鏡台  立花聡さん
 
感想:とてもいい雰囲気の作品でした。鏡台に向かう母を背中から見る状況っていうのが個人的に好きで、ラストはちょっとどうかなあって思いましたが直感的にこれがいいって思いました。
票者:このバトルへの参加作者