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1000字小説バトル

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1000字小説バトルstage4
第57回バトル結果

おめでとうございます

今回のチャンピオン作品は、サヌキマオさん作『転がる』です。

投票結果
得票数 
1
サヌキマオ
2
2
40年代生まれ
ごんぱち
2
アレシア・モード
1
3
人と怪獣
ボードレール/ 馬場睦夫

感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。

「私の投票がない!」「内容が違うような?」……掲載もれ、ミスなどがございましたら、QBOOKSインフォデスクのページよりご連絡ください。

推薦作品と感想

転がる
サヌキマオさん

感想:
生命溢れると言いつつ死体の数も比例して増えるのが夏。
結局ただの割合の話、100%死ぬ以上、生者の数だけ死者がある。
転がる石には何も付かないが、転がる死体は小さくなっていく分、経済的だ。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
1 転がる
 まあ好きな素材ではある。昆虫はいいね、カラカラとして死ぬから、カラから生まれて、カラ脱いで育って、カラを残して消えるのだ。苦労感がない割に、しっかり旅立った風でずるい。人間は湿っぽいし、全然旅立ちたがらないから後には執念ばかり漂っているのだ。本作は昆虫たちの転がる乾いた視覚描写が、晴れがましさすら感じさせて好ましかった。ただ作者の性としてか人の湿った念が交えてあってそこまで純粋でもないのだけれど。

2 40年代生まれ
 なるほど確かに話はほぼ狐の思い込みの視点で進んでいるなあ。ディスコミュニケーションの本質かもしれない。獣姦もありかもしれない。ただ実際は、これは村の「茂平」という爺さんが語った話だと冒頭に書かれているわけで、よって子狐の話を借りて実は茂平と兵十との関係を描いたものかと考えられるのだ。茂平はまあ撃たれはしないものの、何か深い傷を心に負った、裏で糸を引いたのは恐らく加助でしょう。

3 アレシア先生ラーメンの夢
 まあ同じ日常に見えて少しずつでも改善している点を褒めてほしい。で申せば七味唐辛子は間違い。ここは胡椒であるべきでしょ。

4 人と怪獣
 人生は重き怪獣を背負いて長き道を行くが如しである。怪獣から手を放したら私たちは死んでしまうんだ。いや、本当なんだ。放埒な詩人風情にはそれが分からないんだ。

(アレシア)
投票者: このバトルへの参加作者

アレシア先生ラーメンの夢
アレシア・モードさん

感想:
「転がる」
 たまにそういうほうに頭の回路が。

「40年代生まれ」
 最初に<アイデア段階のものは、頭が増えたらその分様々なものが出て来る>って制約をかけてくるあたりが手練というか、すれっからしというか。
 ただ、主題をディスコミュニケーションに当てるとちとずれる気がする。「言語によるコミュニケーションが出来ない」状況において、コミュニケーション/ディスコミュニケーションそのものを前提においてしまうのはなんとなくしっくりこない。
 ぢゃあなにかというと「主観による認知の歪みおよびすれ違い」だ。今の学生はいやっちゅうほど客観性を求められる傾向にあるので「主観によってすれ違う」「主観で主観を殴る」という当たりが弱く、どこかで客観的(だと主観が認識している)描写をしようとする癖がついておる。で、先生側はその辺を理解しているのかいないのか、急に「続きを考えろ」と云われても、「ごんぎつね」当時の人間全体の主観の強さと、うまく接ぎ木できない観はずっと拭えていない。
 何を云っているのかわからなくなってきた。

「アレシア先生ラーメンの夢」
 あ、「大蜥蜴」を思い出すループ感。
 日常でふわっと自己が分離して収束する感じ、久々のヒット作と思いました。
 しかし不思議なレシピだ。ラーメンなのに味の想像としてラーメンの感じがしない。

「人と怪獣」
 絵面は面白いんだけど一枚絵以上の世界観を求めるとグズグズになるやつだ! やったー!
<しかし間もなく不可抗な無頓着さが私の全心を抑えてしまった>って書くとものものしいけど、要するに「まぁええか」と思った、ということなのである。
 この言い回しだけで1000字というのも馬鹿馬鹿しくなりそうだ。やってみるか……?
投票者: このバトルへの参加作者