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3000字小説バトル

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3000字小説バトルstage4
第37回バトル結果

おめでとうございます

今回のチャンピオン作品は、アレシア・モードさん『デモンドライバー』と決まりました。みなさま投票くださいましてありがとうございました。

投票結果
得票数 
1
サヌキマオ
1
2
アレシア・モード
2
3
庖丁
田山花袋

感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。

「私の投票がない!」「内容が違うような?」……掲載もれ、ミスなどがございましたら、QBOOKSインフォデスクのページよりご連絡ください。

推薦作品と感想

デモンドライバー
アレシア・モードさん

感想:
「ハミルトンの鯨―急」
 下手です。ずーっと構想をねっていた割に、こういう終わらせ方にせなばならなかったあたりが、下手。
 割に昔からある悪癖で、視点を変えねば物語が処理できない、という時点で失敗している。そんな気がします。
 かといって今現在はどーしようとか思いつかなかったしなぁ。あーあ、見るからに、下手です。

「デモンドライバー」
 エアコンの仕組みとか一瞬頭をよぎりはするものの、ちゃんと形にするところまではいかないところを形にしているところが、なにぶん値打ちです。
 エアコンを作った人も「なんとか涼しくなんねーかな」を形にしたところがすごいし、同じ凄さだと思います。
 加えて、このやり取りを車内で汗だくでやっていると思うと、すげえ。なんかこう、死なない呪いみたいな気配すらする。

「庖丁」
 わぁ、わかんない。
 花袋だとしてもちょっとよくわからない。包丁はどうなったのかわからないところがリアリティなんすよへへー、みたいな内容だとすると「まぁそんなものか」と納得するフリは出来るが、フリだけです。子供が嘘を突き通したにしてはアレだし、としよりが隠したにしては脈絡がなさすぎる。
 難物に出会った。
投票者: このバトルへの参加作者

感想:
まさか、最後らへんに作者本人の名前が出て来るとは思いませんでしたし、パロディー的な部分もそんなに違和感が無く大変愉快な小説でした。
投票者: その他のQBOOKS参加作者

ハミルトンの鯨―急
サヌキマオさん

感想:
ハミルトンの鯨―急
 鯨はいわゆるイマジナリーフレンドのようですが、現状を打開し、幸せをナビゲートする姫の潜在的な力でもあったのかも知れませんし、あるいは「オレ」の言ったように、城の地下に潜んでいた、鯨ではない他の黒い何かかも知れない。いずれにせよ、城から離れ伴侶も得た姫の前にもう鯨は姿を見せないのでしょうか。鯨とともに世界を巡った姫の話がリリカルで私は好きです、作品としてはこの部分を伸ばしてほしかった。
 パーシモンが娘である必要はあったのでしょうか。このエピソードが無ければ余力を持って姫と鯨の交流に注力できたと思うし、なにより……混乱の方が大きすぎて読み進められなかった。だって~急にシャロンとか言われて誰それ状態でくるくるしてる所にすかさず娘とか~アンタ120年前に獄死した幽霊でしょ~って思った途端、ひょっとして姫もパーシモンも最初から(「オレ」とはまたステージが異なるところの)幽霊なんじゃ~それとも城の崩壊で死んでしまったのかも~などと迷走が始まって、この辺りを割り切るまでかなりの時間を要しました。
 もっともパーシモンが娘でなければ城跡に戻ってきて手紙を読むこともないわけで、城を離れられない「オレ」は置き去りになってしまう、結局、主人公でもなく特に優位性もない傍観者というオレのポジションが語り手として問題だったのかもしれません。

デモンドライバー
 ええっと。よくあるダブルパロディでしょうか。今回、悪魔はもちろん、エアコンの原理そのものを含めて全て嘘です。嘘だって書きなさいと誰かに言われたんで。ええ、マクスウェルはエアコンと無関係です。ヴィータなんて乗ったこともないですよ。えっと、これでいいですかね。

庖丁
 結局、男の児の真意は何も分からないのだけど、これはたぶん男の児にも作者にも説明できないと思う。子供の刹那的な情動とかそんなものと思います。そこを理屈で分かるように説明したら、たぶん違うと思うし、「言葉にできない感情に突き動かされ」とか書くのもまた何か違う。客観に徹する花袋の手法は誠実なものと思います。
 ただ結局は、作者体験と読者体験との馴れ合いに基づく「あとはお察し」の世界であり、どこまで察してもらえるかの見極めが技量となっているあたりが限界なのかも知れない。それが花袋の限界なのか当時の小説の限界なのか私は分からないけれど、方法論として読者を組み伏せてメシを口にねじ込むような力強さに欠けるのは事実でしょう。
投票者: このバトルへの参加作者