第8回チャンピオンofチャンピオンバトル詩人部門 Entry6
ウイスキーをソーダで割った味が好き
ウイスキーを飲んでソーダを飲むのも好き
炭酸で舌がちりっとする
カンジが好き
だからソーダだけ飲むのも
好き。
ウイスキーの
こうばしい匂いが好き
樽が焦げたみたいなのとか
土が焼かれたみたいなのとか
身体によさそうなお薬みたいなのとか
それぞれがそれぞれによくって
鼻先にふわんと香るのが好き
氷溶けて
からん
琥珀
薄まって淡い淡い
セピアに
水滴でぬれる
グラス
両手で
くるむみたく
愛おしむのが好き。
おしごとが終わった
あと
明け方までやってるお店で
眠くて眠くって
つぶる寸前の
まぶたで
とろとろ
崩れ落ちる
ちょっと手前
カウンターの
白いシャツのおにいさんに
好きなお酒を注文するのが
好き。
今日も
たくさんの人と過ごし
よくはげみました
人には教えたことのないちょっとした事情があって
あなたにも教えたくないから詳しくは話さないけど
お金がうんと必要だったし
今もそうで
資格も経験もなくっても
たくさんお金がもらえるって聞いて
はじめたことだし
たいていは
くたくたに疲れてしまって
気持ちまでちゃんとこいびとのふりはしてあげられないし
それどころじゃないことも
けど。
わたしのおしごとも
オレンジと白のガーベラの花束や甘く香るお茶やおろしたての夏のシャツみたく
誰かにとって
ほんのわずかでも
休まる場所であれば好いと
願うこともある、
のは
時々
だけど、
本当。
いつだって大切に思ってくれる人を
同じように大切にする方法がわからなくって
上手にそんなふうに出来なくて
かなしい目に合わせてしまって
それの繰り返しで
どうしてこんなふうになってしまうのか
考えても全然わからなくて
かなしい。
買ってくれた指輪を
今でも別の指にだけどしてるのは
バカみたい。
わたしのアタマがもっとちゃんと好かったら。
才能どころか
上手に出来ることもないし
難しいことがわからないから
特別なことも出来ないけど
いつか
わたしも
「世の中のためになる」
て云われるようなことを
出来るようになれたら
どんなにか
好いと、
願う
願う。
わたしのアタマがもっとちゃんと好かったら。
今日も
たくさんの人と過ごしました
から、
一日のおしまいは
一人で過ごしたくて
でも
本当に一人きりはいやで
がやがや音があるのに
ちゃんと一人にしてくれる
いつもの
明け方までやってるお店で
眠くて眠くって
つぶる寸前の
まぶたで
とろとろ
崩れ落ちる
ちょっと手前
カウンターの
白いシャツのおにいさんに
好きなお酒を注文するのが
好き、
ウイスキーを
ソーダで割った味が好き
好き。