第8回チャンピオンofチャンピオンバトル1000字小説部門結果


おめでとうございます!
1000字小説部門のチャンピオン作品は、
とむOKさん『六畳かづら』
越冬こあらさん『時間差洗濯機』の2作品です!

エントリ作品作者得票
05六畳かづらとむOK5
07時間差洗濯機越冬こあら5
02勤勉なネズミと、怠け者のネズミごんぱち4
08ミカから聞いた話アナトー・シキソ2
01母のうた1
03泥の船青野岬1
感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……
掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。

推薦作品と感想

■六畳かづら  とむOKさん

感想:
 こあらさんの話も面白かったけれど、オチの付け方がイマイチ。

 で、しっくりと結末ついていたこちらに一票。
(投票者: このバトルへの参加作者)

 むちゃくちゃおかしな状況なのに、涙を誘う哀れさがある。自分から蔦が生えて部屋中にはびこったらどんな気持ちだろう。いや、考えたくない。でも食べなくても死なないなら未来の食糧危機は救えるナァ。蔦だらけになる点を改良できれば世紀の大発明だ。
 ところで道子=妻かと思ったんですが、違うんでしょうか?
(投票者: その他のQBOOKS参加作者)

どの作品もよかったのですが、こちらの作品から一番、愛を感じ取りました。ありえない話を書かれたら日本一の作家さんだと思います。
(投票者: その他のQBOOKS参加作者)

どれもレギュラーのバトルなら、優勝してんだろうなあっつう作品ばかりで
困っちゃったんですが、何度か読み返してみると、今度は「コレだ」ってな
押しの強い作品が見当たらない。
さてどうしたもんかと悩んだ末に、とむさんにしました。
理由、強いて言えば、オチの付け方かなぁ。他は、印象付けを狙ったためか
やや唐突だったり分かりにくかったりで、とむさんの作品が、いちばん胸に
すっと入って来たんです。ってことで、一票。
(深)
(投票者: このバトルへの参加作者)

今回のCoCは「これ!」といった抜きん出た作品はなく、どれも(小粒だが)粒ぞろいの印象。

面白かったのは、深詰さんの「みそのくん」、とむOKさんの「六畳かづら」、そして越冬こあらさんの「時間差洗濯機」でした。
その3作品で迷ったのですが「みそのくん」はCoCとしては迫力不足(もっと面白くできる作品だと思う。ちょっと残念)「時間差洗濯機」はさすが!のこあらワールドなんですが、やはりCoCとしてはちょっと……ということで、文章も上手く、ストーリーも引き込んで読ませた「六畳かづら」に票を捧げます。
(投票者: このバトルへの参加作者)

■時間差洗濯機  越冬こあらさん

感想:
色々悩んだのだが、今回は越冬こあらさんの「時間差洗濯機」かなあ。
チャンピオンオブチャンピオンなので、どれも文章がうまいなあと思ったけど、どれも決め手にかけていた感じです。
この作品も洗濯機にタイムマシンを付属させたというアイディアのみが光るだけで、おちもあまり大したことはなかった。
うーん、まあそんなとこです。
(投票者: このバトルへの参加作者)

さっすがあ! 最後の独白が効いてます。
急転直下の展開から、妙に一件落着などんでん返し。
このペーソスがたまりません。
1000字の限られた設定の中でいかに面白くまとめるか、こあらさんの右に出る人はいませんね。
(投票者: その他のQBOOKS参加作者)

作品自体もバーチャルな感じがしておもしろかったです。ちょっとした深みもよかった。
(投票者: このバトルへの参加作者)

これかなあ。もうひとひねり皮肉っぽいところがあればとも思うけど、
でもおもしろかったです。
(投票者: その他のQBOOKS参加作者)

タイムトラベル(バーチャルとはいえ)なのに洗濯機とかテレビとかの家電のおまけ、っていう発想が面白かった。
いいなぁ、新品に戻る洗濯機。
(投票者: その他のQBOOKS参加作者)

■勤勉なネズミと、怠け者のネズミ  ごんぱちさん

感想:
ネズミのセリフまわしが良かったです。葱
(投票者: このバトルへの参加作者)

「母のうた」葱
文章がチグハグだなあ。言葉を意味だけで使うから、日本語のネイティブスピーカーじゃないヤツが書いた文章みたいになる。

「勤勉なネズミと、怠け者のネズミ」ごんぱち
勤勉なネズミが実は、本当の意味で怠け者だったんだ。つまり、新しいことをやりたがらない、現状に満足する怠け者。できるだけ楽しよう、横着しようってのが、実は人間をここまでにしたのかもしれないよねえ。それにしても寓話的なもの書かせたら天下一品だなあ。

「泥の船」青野岬
女が一人で家にいるときにマスかいてる話。ていうか、誰にとっても、小説を書くということがすでにマスターベーションなんだから、わざわざ、マスターベーションがモチーフの小説なんか書かなくていいよ。いや、ま、書いてもいいけど。
モチーフはともかく、書けてるよなあ。ジツリキ(By ぼんより)あるなあ。

「みそのくん」深詰
書いた後、読み返してみた? 仕上げがスゲー雑。

「六畳かづら」とむOK
会社の試作品(育毛剤)を、こっそり自分で試してみたら、体からツタが生えてきて、どうにも日常生活に支障を来すようになった主人公が、会社も辞め、妻子とも離れて一人暮らしをするようになる。離れて暮らすようになった妻は、週に一度だけ夫の世話をするためにやってくる。離婚を決意した主人公が渡しておいた離婚届を妻が持ってくる。だが、その離婚届に妻の署名はなかった。
体からツタが生えてきて日常生活に破綻を来すというシュールな状況と、そんな主人公を見捨てることなく離婚届を突き返してきた妻の〈やさしさ〉の、どっちかに絞った方がいい。なんだか、読後の印象が散漫。二兎を追う者は一兎をも得ずという感じ。

「亀と乙姫はどこへ行った?」霜野浩行
何よりもまず書けてない。
60日間中国に行って日本に帰ってくると、すでに60年以上過ぎていて、しかも日本は中国の占領下にあったという話。つまり浦島太郎だ。だから、このタイトル。けど、そんなことをとやかくいうよりもまず、とにかく、書けてない。鍋に放り込める鰹節の絶対量が少なくて、まともな出汁が取れてないって感じ。

「時間差洗濯機」越冬こあら
最後の、とうちゃんもバーチャルなのが、どうもピンとこない。ああ、つまり、とうちゃんどころか、かあちゃんもヨシオも全部バーチャルなんだな。時間旅行が実現してしまえば、すべての時間は過去も未来も現在も〈過去〉でしかない。〈今〉を規定することができなくなってしまうからだ。ということは、「歴史」を保護するために、時間軸上のすべての〈今〉は、バーチャルに置き換えることで保護しなくてはならない。だから、みんな、バーチャルなんだ。ホントか?


千字はこう書け、という一つのお手本のような、ごんぱち先生の「勤勉なネズミと、怠け者のネズミ」を。

(アナトー)
(投票者: このバトルへの参加作者)

ごんぱち先生らしい作品を読ませて頂いた。
アメリカの自己啓発書を皮肉っているようなセンスがとても面白かった。
物語の展開にも無駄がなく、勤勉なネズミがいなくなるラストも楽しめた。
(投票者: このバトルへの参加作者)

 怠け者のネズミに、共感しました。いい話です。
(投票者: その他のQBOOKS参加作者)

■ミカから聞いた話  アナトー・シキソさん

感想:
道路から見える巨大な観音様を見た女性が恐怖に怯えるような、そんな色。それが恐怖の純粋で真っ当な形であると思う。

青野岬さん作『泥の船』は絵だった。真紫のビー玉のような綺麗であやふやなイメージが魅力でした。
とむOKさん作『六畳かづら』は柔らかく、甘ったれていないお話。子供の背伸びでは絶対書けないと思いました。(ぼん)
(投票者: その他のQBOOKS参加作者)

牧歌的な夏の昼下がりのような
くすりと好ましいミカとの会話だったのに
最後に、ぎゅうんと胃の辺が冷えてビックリした。
とりたててめずらしいお話でもないのに
ひどくビックリして、アナトーさんめ!て思った。
えーい。やられたぜい。やっぱすごいなこの人。

次点は青野岬さんの「泥の船」
夏の日射しのまざったい草の青い匂いと、
焼けた身体の温度を下げる泥のひやりとした冷たさが
肌に残って、連れて往かれた(佐藤yuupopic)
(投票者: このバトルへの参加作者)

■母のうた  葱さん

感想:
 作品の総合的な出来で云えばごんぱちさんか、葱さんなんだな。ここはイーブン。
 だがしかし、どっちのほうが次につながるか、もっといえば、未来があるかったら、葱さんだと思うのです。説話は説話であって、それ以上にはならんのです。
 これから先の文藝を考えると、CoCには葱さん、でしょう。投票。(M)
(投票者: その他のQBOOKS参加作者)

■泥の船  青野岬さん

感想:
綺麗な表現を堪能したので、喜び勇んで一票。

もし自分のところに泥の船が来るとしたら…あれじゃないかな、ほら、かちかち山の狸を乗せるやつ。
(投票者: このバトルへの参加作者)