第4回詩人バトル
poem21
あの遥かな時の向こうで、独り泳いでた君の背中に。 今、追いつくために。行こう。 ――たとえ、もう二度と戻れないとしても。 冷たい闇に抱かれて、あの日。君は言ったね。 “世界のはてへ……” ただ一度見たきりの灯(ひか)りに怯えてた僕の前で。 もう今は辿り着いたのかな? ……まだ今も泳いでいるのかな? 麗らかな静寂の中から。 旅立つ時が僕にも来たから。 流れ行く水の強さがお互いの傷をさらけ出してく。 いつか僕らも、この海の中で骨だけになるんだね。 ――だけど、僕は君に誓うよ。 “ずっと、泳ぎつづけていくから”って。 無限の青に消えた君の、言葉は。僕の心を、 ただ一度見たきりの灯(ひか)りとなって 今も、強く、強く打つけど。 なぜ、君は泳ぎ出したのかな? ……なぜ、僕は泳いでいるのかな? ありふれた「真実」の中から、 “一つきりの幻想(まぼろし)”を捜しに? 果てしない海の深さがお互いの傷をさらけ出してく。 いつか骨だけになるこの身体には、 痛みさえも甘く。刻まれて。 ……二度と会えなくても。 忘れない。 “「現実」(いま)は儚くて美しいから”。ね。
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