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第2回高校生1000字小説バトル
Entry2

新しい世界へ

作者 : トト♂
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文字数 : 968
「お前も来いよ。オレ達で新しい世界を生きようじゃないか」
信じられなかった。三日前に自殺した哲也が目の前にいたのだ。目
の前にいるのだが、どこか存在がぼやけて見えた。
「オレはおまえからみれば死んだ。だが今もこうして存在している。
死ぬことは消える事じゃないんだ。」
目の前にいるのは確かに哲也だった。なのに、僕は恐怖していた。
心のどこかで僕は哲也を否定していたんだ。
「オレが怖いのか?慧一。それはおまえにとってオレが人間とは違
う存在だからだ。獣が人間に恐怖するのに似ている。」
哲也は1人、何かに酔う様に語りだした。
「死ぬことは消える事じゃない。新しい世界への第一歩だったんだ。
昔、魚が陸に上がり、新しい世界を手に入れた。そして、人間も新
しい世界を手に入れられるのだ。魚にとって魚が陸に上がることは
死を意味する。陸に上がった魚を見て他の魚はなんて思ったとおも
う? 勇気のある魚だと思っただろうか? 違うな、バカにしたん
だ。『わざわ死にに行った』ってね。お前は自殺した俺をどう思っ
た? 」
「て、哲也は死んだんだ。いるわけがない!!」
僕はどなった。頭のどこかがおかしくなっている。ここはどこだ? 
今自分がどこにいるのかが分からなくなっていた。
「僕は存在しているんだ。慧一の知らない世界で・・・」
哲也は僕をさとす様な、優しい口調で話し始めた。
「分かりやすく言えば、幽霊になったんだ。幽霊は新しい生き物だ
ったんだ。魚は進化し、陸を手に入れた。鳥は空を、ほ乳類は大地
を………、君たち人間には、もう新しい世界や進化の余地は無いと
思っていないだろうか? 人間は完璧な生き物だと錯覚していない
だろうか? まだあったんだ。君たちが進むべき道が、体を捨て、
心だけになることだ。精神生命体とでも言おうか」
哲也は1人で興奮していた。どこか、哲也から悪意が感じられた。
「じゃあ何か?哲也はオレに死ねっていうのか。お断りだ、僕はま
だ死にたくない、僕はまだ生きたいんだ。」
体の中から異物が感じられる。この場所から逃げたかった。なのに、
今だここがどこか理解できないでいた。意識は気持ち悪いくらいは
っきりしているのに、だ。だが哲也以外がぼやけてみえるのだ。
「最初から答えは決まっていたんだ、旅立つことに………」
「哲………、何を………」



…………………………新しい世界へ…………………






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