第5回3000字小説バトル結果
第5回チャンピオンはテルヒロさん作『紅い花』に決定です。
おめでとうございます。
●紅い花(テルヒロ)
- 非常に泣けました。
- 雰囲気が良いと思います。
- 文章の完成度が高かった。
- 文章もきれいで情景もよく浮かび、静かでいい作品だと思います。
●プロローグ(一之江)
- 今までの一之江さんとは少し違ったスタイルでの、作品ではありますが、やっぱり一之江さんらしさが充分出ています。作者が楽しんで書いていて、読者もそれを安心して、しかも楽しんで読める。という所がいいです。もちろん他にもいい作品はありましたが、今回はこの路線でいくつか書いて欲しいという希望も込めて、『プロローグ』に投票します。
- 誰かに何かを伝えたい時、小説という形態でしか伝えられないこともある。ただ単に面白いから、好きだから書く、というのも分かるのだけど、せっぱ詰まって、やむにやまれず小説を書いている、という場合もある。それを小説家の資質と呼ぶならば、間違いなくこの作者にはその資質がある。この作品を書くことで必死に何かを伝えようとしているのが分かる。照れ笑いを浮かべてパロディの衣を三重にかぶりつつも。さあ、いよいよ始まるんだな、という感じ。是非ともその衣を脱がせてみたい。いや、脱がせなくてはならない。たとえ空が落ちてきても、大地が音を立てて裂けても。
●光と虚影症(皐秀莓)
- 新境地の発見。
- いや、面白かったですよ。上手く言えないけど。感覚とリズムとか、行間とかが。
●ROUND DANCE(川辻晶美)
- 小説の舞台がとても美しい。彼の気持ちがかなしいほどに伝わってきました。
- 自分の作品に一番愛着があるのですが、仕方ないですね、晶美さんの作品が、ずば抜けて、良かったです! 男の心をくすぐります。この作品が男性のものだったら、何、軟弱者が! といえるのですが、僕は非常に女性の繊細なセンスの良い、詠美的な感覚の活かした文に、色気を感じるのです、と言うことでした。
●クローン売ります(厚篠孝介)
- 永遠のテーマですね。
- 本当に希望通りの物(あえて物です)が送られて来るかワクワクして読み終えました。
続きが是非読みたくなります。私だったらこうしたいとか想像させられるのも良いな〜
●ファラオの呪い(小林ミヅノ)
●がんじがらめ(鮭二)
- なんとも微妙な男女関係がいきいきと描かれていて楽しませて頂きました。どんなにしいたげられてもめげない「吉村」がいじらしくて泣けます。だけどたぶん、彼女は「津田」のひねくれた愛情を信じてこそ、このような言動ができるのでしょう。幼い頃の素直になれない関係をそのまま大人になっても引き摺っているとどうなるか、という物語だと解釈します。かわいく感じられました。
●戦地に赴く(天野幾)
- 雰囲気を壊す事無く、人物それぞれの強い意志が感じられ、電話の会話だけで、すべてを描き切ってしまう。この作品を読めた事に、感謝。
●ウィンター・スノウ(奈津家亜古)
- 素顔の作者さんへ。独特の感性、文調。ハルキ調かと思えば、否、奈津家調。この物語の冬の雪は、冷たい。 けれど、かすかに、あたたかい。そしてたまらなく──切ない。毎日はあまりに不条理で、人生はひたすらやるせないけれど、それでも私たちは、私は、進んでゆく。そして、蛇足ながら。この小説がいつ、どんな心境で書かれたのかと思うと、いたたまれないものがあります。私としてはね。あなたが彼にとって天使だったのか、彼があなたにとってそうだったのか。それはもう過ぎたことだけれど、決して終わったことではないのですね。けれど今は、夏。見えない雪に、泣きましょう。
●MARIA(Yutaka Izumihara)
- 一人称で心理描写を続ける話は1000字かそれ以下向きで、3000字にはくどすぎる気がします。主観的に書き進められる分、話の構成、文章の作り込みなどが甘くなるからです。その点で、映画的でまとまった雰囲気のある『MARIA』は、イチオシです。『レオン』のイメージもありますね。ただ、主人公を「男」にし続けたせいで、ラスト近くの主語が混乱します。名前で呼ぶと気恥ずかしくなるキャラクタは、所詮記号であり作り込みが甘いだけです。キャラクタを愛しましょう。一緒にご飯ぐらい食べましょう。言わずもがなですけど。それと、字数は申告して下さいね。
(厚篠孝介さん作『クローン売ります』の感想票掲載漏れがありましたので追加訂正いたしました。お詫び申しあげますす。なお、3000字感想票専用のフォーマットは用意されていません。お手数ですが、必ず件名を表記して通常のメールでお送りください。)
●マニエリストQの感謝とお願い
感想票を送っていただいた皆様、有難うございます。心より感謝いたします。あれだけ多くの作品を読破することは大変なことであり、非常な努力を要する難行であると思います。しかし、裏を返せば、それは、3000字を読んでくださる方々が必ずいらっしゃるということであり、バトル形式効果の一つでもあるわけです。バトルに参加される作者の皆様はそこの辺りを考慮の上、出来る限り全員の感想票投票を目指してくださることをお願い申しあげます。